いーかわらばん vol.453
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2016/02/09
- vol.453
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
「ヒラリーノミクス」・・・その奥底にある短期主義vs長期主義
■ 2. 山崎発、経営を考える
効用的修羅場の買い付け(その118)
・・・予算会議は「組織風土の縮図」!
■ 3. 今月の本棚
『巨龍の苦闘』 津上俊哉著 角川新書
■ 4. おしらせ
株式会社トップ支援より
■ 1. 時の話題
<「ヒラリーノミクス」・・・その奥底にある短期主義vs長期主義>
アメリカ大統領選挙も白熱してきましたが、私用メールなどで問題となっている民主党の最有力候補、ヒラリー・クリントン氏は、経済政策として「ヒラリーノミクス」を掲げています。
その一つ、株式譲渡益などのキャピタルゲインに対する課税では、所有期間が短ければ短いほど段階的に高い税率を適用することとされています。
これは、四半期ごとの業績を無理によく見せて株価を吊り上げ、自社株を売却する経営陣や、短期売買を繰り返すことによって儲けようとする投資家を牽制する効果を狙っていると言われています。
実はその背景には、経済活動における長期的思考を重要視する考え方が潜んでいます。目先の利益を追えば、イノベーションが阻害され経済は弱体化していく、それはよくない、とするのが長期主義です。一方、変化が激しくスピードが要求される時代においては、短期で最大の成果をもたらしてこそ勝ち組となる、とするのが短期主義です。
一般に狩猟民族は短期主義、農耕民族は長期主義の傾向が強いと言われています。また、短期主義は格差拡大、長期主義は格差縮小につながる、とも言われます。アメリカでは、基本的には短期主義的志向が強いものの、不調になると長期主義が頭をもたげてくるようです。
1980年代中頃には、日本やドイツに比べて国際競争力が低下したのは、短期主義政策が主たる原因であるとして、長期主義の重要性が叫ばれました。
しかし、1990年代後半にシリコンバレーのIT産業がアメリカ経済のみならず世界を牽引するようになると、本来の短期主義が主流となります。
それがリーマンショックによって、再び短期主義が批判にさらされ、長期主義にシフトしています。
今回の提言は、ヒラリー・クリントンが長期的視野に基づいて格差拡大に歯止めをかけ、民主党本来の政策である、労働者の権利拡大を図ろうとするものといっていいでしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<効用的修羅場の買い付け(その118)
・・・予算会議は「組織風土の縮図」!>
前回は、 ゴールにおける「目的」の重要性
その1 とことん深く考えること
をテーマとしてお話をしましたが、今回は、
その2 とことん納得すること
について整理することにします。
わかりやすいので、ある部門の「目標売上高10億円」という例を、再び登場させることにしましょう。
予算設定の時期になって、しばしば見かける風景の一つに、「結局、予算会議で無理やり10億円にさせられてしまったらしい。こんな数字、できるわけないよ。上は、全くわかっていないよなぁ。」といった現場の『ぼやき』があります。
たいていの会社において、数値目標は、トップダウン方式、ボトムアップ方式の双方を行ったり来たりしながら、最終確定していきます。
とはいうものの、その会社や部門の置かれている状況によって、その二つの方式には偏りが出ます。厳しい時はトップダウン、好況の際はボトムアップというのが一般的と言えるでしょう。
通常、この二つの方式が何の打合せもなくきれいに一致することは少ないと言えます。そこで上記のように、何回かの予算会議で調整されていくわけですが、この調整過程に参加させていただく機会が多い私にとっては、それがリアルな「組織風土調査」になっていると言っても過言ではありません。
会長や社長などトップ陣がまくしたてて目標必達を唱えている会社があるかと思えば、非常に冷静に意見交換をしている会社もあります。
予算数字の背景とその実行可能性を事細かに詰めてイコール戦略策定会議と位置づけている会社もあれば、とりあえずやってみなければわからないと言ってしゃんしゃんで終わる会社もあります。
喧嘩をしながら熱く議論しているのにその後の飲み会で仲良く盛り上がっている会社もあれば、会議では「わかりました」と言っていても後でぼやきがあふれかえっている会社もあります。
いずれにしても「組織風土の縮図」です。ただ、方法論はともかく、中長期的に業績を伸ばしていく会社、優秀な人材が集まり育つ会社に共通な点が一つあります。
それは、予算会議に限らず、あらゆる場面において、「納得」を重視していることです。無理やりの「説得」ではなく、「納得」です。「ハラに落ちる」「体でわかる」という感覚です。
よく「どうすれば上司や部下に納得してもらえるか」というテーマに対し、ものの本には、コミュニケーションによって、お互いにわかり合えることだと記されています。
しかし、私は、大事なことは、何がわかり合えるか、だと思っています。「考え方」や「育ち」や「性格」などいろいろありますが、ビジネスの局面において最も重要なものは、やはり「目的」です。
「何のためにするのか」「何を求めて動くのか」「やった結果、何を得るのか」が体でわかって、「納得」につながるのです。「目標売上高10億円」もその目的をとことん納得することが重要、と考える会社が、先ほど申し上げたように、中長期的な成長を実現しています。
目的を追究することは、とことん深く考え、またとことん納得するために重要です。
■ 3. 今月の本棚
<『巨龍の苦闘』 津上俊哉著 角川新書>
副題には「中国、GDP世界一位の幻想」、また帯には、
中国分析に極論はいらない!
習近平は「中興の祖」となるか、「最後の皇帝」となるか。
中国は「ノーアウト満塁のピンチ」に立っている。
と記されています。
「巨龍」とは、言うまでもなく中国のことですが、著者の津上氏はもと通産省の官僚で、通商産業局で北東アジアの課長を務めるなど、中国通の一人です。
中国や習近平に関しては、さまざまな人がさまざまな意見を述べていますが、この本の最大の特徴は、冒頭に記したように、極論を避けて中立的な分析と議論がなされていることです。
特に、中国共産党に対する「体験的振り子論」「三つの運動法則」は、現在の中国の政策を考えるうえで、非常に参考になり、理解しやすいものとなっています。
もちろん、この本は一つの見方であってすべてとは言えないでしょうが、AIIBや、ニューノーマル、一帯一路から、いわゆる尖閣問題、北朝鮮問題、インバウンド消費に至るまで、従来とは少し違った観点から見ることができるかもしれません。
新書版で決して難しい本ではありませんので、ぜひご一読ください。
■ 4. おしらせ
<株式会社トップ支援より>
[研修、プロジェクト等の実施ご報告]
◇2月3日(水)
「若手経営感覚養成コースN」第4回(クローズ)
[研修のご案内]
◇ 4月21日 (木)~全6回(6カ月間)
取締役検定 知識100講 法務コースの募集を始めました。
現在、労務コースが進行中です。現在の受講生の大半がそのまま法務
コースを受講されますが、数人の受入れが可能です。
人数が限られておりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。
株式会社トップ支援 担当:高橋
お問い合わせ先:メール:mail@nksy.co.jp TEL:03-3256-4101
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次回のテーマは以下の通りです。
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