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いーかわらばん vol.479

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2023/07/07
  • vol.479

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題 

フリーランス保護新法が成立

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(4)

ちょっと休憩! 最近の講演要旨

■ 3. みんなの疑問!?(16)

「えるぼし」「プラチナえるぼし」って何のことですか?

■ 1. 時の話題 

<フリーランス保護新法が成立>

2023年4月28日、参議院本会議にてフリーランス保護新法が可決・成立しました。
1年半以内の施行が規定されていますので、来年秋くらいまでにはスタートすること
になります。

この法律案の正式名称は、
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案
  (フリーランス・事業者間取引適正化等法案)」
という大変長いものになっています。

簡潔に内容をご紹介しましょう。

まず保護の対象である「特定受託事業者」は、「業務委託の相手方であって従業員
を使用しないもの」と定義されています。週20時間以上の労働者を雇用している
コンビニなどは保護の対象となりません。一人親方やギグワーカーを含め、ほとん
ど一人で動いている人が対象となるわけです。

一方、規制の対象となる「特定業務委託事業者」は、「特定受託事業者に業務委託
をする事業者であって、従業員を使用するもの」と規定されています。

次に、取引面の規制内容としては、
・フリーランスに対して、書面やメールで取引条件を明示すること
・募集には虚偽の内容を示してはならないこと
・報酬支払いは、納品(完了)後60日以内のできるだけ短い時期で行うこと
・ハラスメントの防止、妊娠、出産、育児などへの配慮をすること  など
が規定されています。

今まで、フリーランスを保護していた法律は、下請法(「下請代金支払遅延等防止
法)」でした。ただ、下請法は「資本金1000万円以下の法人」は規制の対象にな
らないため、中小企業から受託したフリーランスは、保護されなかったという問題
がありました。

そのため、口頭発注により内容を後日変更されたり、代金を無理やり減額されたり、
支払が遅れたり、ひどい場合にはそんな発注をしていないと言われたり・・・
といったトラブルが後を絶たなかったようです。

「新天動説」時代には、雇用と請負の区別がなくなる可能性が高くなることはこの
かわらばんでも再三指摘しています。実際、多くの会社で、新規開発などに、優秀
で専門性の高いフリーランスを活用する会社が急増しています。

終身雇用へのこだわりが薄れ、日本の造語である「キャリアオーナーシップ」への
意識が高まることは、雇用の流動化を促し、経済の活性化には非常に有意義だと言
われています。フリーランス保護法は、まさにその下支えの役割を果たすことが期
待されています。

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(4)

<ちょっと休憩! 最近の講演要旨 >

最近は「アフターコロナの経営戦略」「AI時代の人材のあり方」などといっ
た講演テーマでお話しすることが多くなりました。今回は、ちょっと休憩し
て、某会合で行われた講演要旨を記します。ここ最近の「いーかわらばん」
と重なる部分が多々ありますが、ご容赦ください。

<講演要旨> *************************************************

VUCA時代の経営は表面的には大きな変化があるものの、その本質はほとん
ど変わっていないと私は考えています。

たとえば、日本人の労働時間の長さはOECD 38カ国中28位(2021年)、また
副業を認めている会社は経団連調査では53%(2022年)に及ぶなど、ここ何
年かでデータ的には様変わりをしました。しかし、その本質である「一人ひと
りの発揮能力を最大化する」という目的自体は従来と変わっていません。

またチャットGPTをはじめとする生成AIの進展も、第二の波である手足の
「外部化」、第三の波である目耳口の「外部化」に続く、第四の波である頭
の「外部化」と捉えると、本質自体は変わっていません。「外部化された機
能」を、いかに人間自身の成長に活用するかが重要である、という点では、
数百年、変わってはいないのです。

本日は時間の関係もあり、特に最近私が大事だと考える3つのリーダー人材
を中心にお話をさせていただきます。

第一のリーダー人材は、「深速考動人材」です。

「考動」は私のお客様の社長がずっと言い続けている行動基準で、深く考え、
速く動く、それもとにまた深く考える、を繰り返してレベルアップすることを
意味します。これを仕組みにしたものの一つが「PDCA」というマネジメント
プロセスと言えるでしょう。

第二は、「バックキャスト人材」です。

VUCA時代はともすれば目先の問題解決に縛られがちですが、こういう時こそ、
長期的な大局観、構想力が問われます。言い換えると、目指す最高レベルを設
定して、それを実現するためには、今、何をすべきか、と将来から現在を見る
発想です。

大谷翔平も、藤井聡太も、間違いなくバックキャスト人材です。しかしこれが
本当にできる人は非常に少ない…。ここには、まず強烈な「Want」、次にそれ
を「Must」とマッチングさせる能力、さらにその奥にある「Why」(目的)を
明確にしてそれを周りに納得させるパワーが要求されます。SDGsをはじめとし
て最近パーパスが重視される理由もここにあります。

第三のリーダー人材は、私の造語「楽観的完遂人材」です。

ベンチャーキャピタルの方々と議論している間に浮かんできた言葉で、私はす
ごく重視しています。ベンチャー企業などのご指導をしていると、本当に一握
りではあるものの「自分は”ついている”人間だから必ずできる!」と信じて、
目指す最高レベルを実現してしまう経営者がいます。

この人たちに共通している点が二つあります。

一つは、経営者自身がスキルよりもマインドを重視している、という点です。
能力を大きくスキルとマインドに分類したとして、誤解を恐れずに言えば、ス
キルは他に活用されて報酬を得る能力、マインドは主として他を活用する能力、
言い換えると周りを巻き込む能力だと思います。ありとあらゆる周りの力を活
用して、最高レベルの実現にこぎつけるマインドパワーを彼らは有しているよ
うに感じるのです。

二つ目の共通点は、自分の運の強さを心の底から信じている、という点です。
そしてこの「運の強さ」は「事実」ではなく、事実に対する「考え方」です。

有名なブラックジョークを紹介しましょう。

どうしようもない極悪人の父親に双子の男の子がいました。そのうちの一人は
みんなに慕われる有名な牧師になりました。もう一人は、親を超える極悪人に
なりました。ある人が、どうしてこうなったのかを問いました。すると、さす
がに双子だけあって同じ答えが返ってきました。
「親があのような極悪人だったから・・・」

一人は極悪人の父親を持ったことを「運がよかった」と考え、もう一人は「運
が悪かった」と考えたのです。「事実」は同じでも「考え方」が違えば人生は
これだけ変わる、という一つの例えなのでしょう。

この考え方の違いは、どこから来るのでしょうか。実は「深い感謝心」の有無
から生まれます。

感謝心がない人は、うまくいかない時は、他人が悪い、運が悪い、うまくいっ
た時は自分が頑張った、と考えます。

一方、深い感謝心を持っている人は、うまく行った時は、周りのお陰、運がよ
かったと考え、うまくいかない時は自分が悪い、と考えます。結果として、自
分がどうすればよいかを真剣に考え、どんどん成長します。

以上がリーダー人材についてのお話です。最後に、これらを組織に応用して、
新幹線論、四輪駆動論という二つの視点を申し上げましょう。

なぜ新幹線があれだけのスピードで走れるのか、それは機関車が先頭車両だけ
しか駆動しないのに対し、新幹線はすべての車両が駆動機能を持っているから
だと言われています。組織も同じです。トップだけが引っ張るのではなく、ど
れだけ多くの人たちが、「自ら」深速考動できるか、それが組織の強さを決定
します。

もう一つの四輪駆動論ですが、四つのタイヤが同じスピードで走らなければ、
その場でクルクル回って前には進みません。組織で言えば、たとえば営業、製
造、開発、管理などがそれなりのレベルで同じ方向に向かって動く力を持つこ
とができるかどうかが大事です。

以上、私が戦略構築指導や経営者研修で実践しているエキスのみを取り上げま
した。皆様の経営実践において頭の隅に置いていただければ幸いです。

*********************************************** <講演要旨 以上>

■ 3. みんなの疑問!?(16)

<「えるぼし」「プラチナえるぼし」って何のことですか?>

「えるぼし」「プラチナえるぼし」とは、厚生労働省が主体となって力を入れてい
る認定制度の名称です。

えるぼし認定とは、一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の
活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に認
定されるものです。

プラチナえるぼし認定とは、えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標
達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を
満たした場合に認定されるものです。

認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マーク「えるぼし」又は「プラチ
ナえるぼし」を商品やHPなどに付すことができ、また、プラチナえるぼし認定企
業は、一般事業主行動計画の策定・届出が免除されることになります。

それだけ?
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
今の情報社会、学生は就職するにあたり、色々な情報を仕入れます。
女性でも活躍できる場があるとアピールできることが、いい人材採用の決め手に
繋がると思います。

労働人口が減少する中、女性活躍推進は、企業にとってプラスに働きますし、男性
社員も一緒に成長していける風土が形成されます。

「えるぼし」の「L」は、Lady(女性)、Labour(働く、取り組む)、Lead(手本)
という意味が含まれているそうです。

弊社では、えるぼし認定取得のためのサポート体制を整えております!

いろいろな省庁で認定制度を創設しています。
この機会に数回にわたり、これから必要となるであろう認定制度についてご説明して
いきます。

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただ
ければ、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。
ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『人口亡国』 毛受敏浩著 朝日新書
「移民で生まれ変わるニッポン」の副題が示すとおり、著者は移民賛成派で、移民
研究の大家だそうです。人口減少が大きな社会課題となる中で、新しい可能性を求
めて、日本の歴史やドイツの例を織り交ぜた移民政策の入門書と言えるでしょう。

2『能力はどのように遺伝するのか』 安藤寿康著 講談社ブルーバックス
副題は『「生まれつき」と「努力」のあいだ』となっています。行動遺伝学は双生
児から遺伝を研究するものですが、著者は日本の第一人者です。「遺伝的」「能力」
「努力」「学習」などを科学的に考察していて「人を観る」際の参考になります。

3『中小企業の新・幸福経営』 近藤宣之著 日本経営合理化協会出版局
少し前の勉強会で著者の講演を聞き、即座に購入した本です。著者は(株)日本レ
ーザーの会長ですが、倒産寸前の会社を引き継ぎ26期連続黒字に導きました。真に
社員を大切にする会社とは何か、心と考え方と仕組みが具体的に見えてきます。

【web】 https://www.nksy.co.jp
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いーかわらばん
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