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いーかわらばん vol.480

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2023/08/08
  • vol.480

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

モノ、コト、トキ、そして、イミ、エモ

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(5)

今ないものを手に入れ、何かを切り捨てる、それが戦略!

■ 3. みんなの疑問!?(17)

「健康経営」にも認定制度があるのですか? 

■ 1. 時の話題

<モノ、コト、トキ、そして、イミ、エモ>

カタカナが10文字も並んで、一瞬「なんのこっちゃ?」と思われる方もおられる
かもしれません。これらは、それぞれに、「消費」という言葉が付くことで、消費
行動の特徴を表すマーケティング用語です。

「モノ消費」はいうまでもなく高度成長経済を牽引しました。その後経済が成熟化
した20世紀の終わりから21世紀初頭にかけては、「コト消費」、すなわち体験型
の消費活動が広がってきました。

「WindowsXP」の「XP」はまさに「experience」を表しています。また、インバ
ウンド観光のコンテンツに、蕎麦打ちや舞妓・侍体験などが組み込まれるのもその
表れでしょう。

そして時代は「トキ消費」へと移ります。これは博報堂生活総合研究所が編み出し
た言葉で、「その時、その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費」と定義さ
れています。

このトキ消費には、同じ体験が二度とできない「非再現性」、不特定多数の人と感
動を分かち合う「参加性」、盛り上がりに貢献しているという「貢献性」の三つの
特徴があると言われています。

いつでもどこでも繋がることができるオンラインの普及があってこそ広まった消費
行動であり、マズローの欲求5段階説の「承認欲求」に当てはまるようです。

さらに最近は、Z世代を中心に、「イミ消費」「エモ消費」が叫ばれるようになり
ました。これは、先ほどの欲求5段階説で言えば「自己実現欲求」に該当する消費
になるのかもしれません。

SDGsなどの影響もあって環境、健康などに配慮した「社会貢献的な側面を重視す
る消費行動が「イミ消費」で、外食コンサルタントの竹田クニ氏が提唱した概念で
す。

一方、「エモ消費」はコラムニストの荒川和久氏が提唱したと言われており、若者
が使う「エモい」(=何とも言えない素敵な気持ち、心に刺さる思い)の語源であ
る英語の「emotion」からきているという説、あるいは日本語の「得もいわれぬ」
から、という説もあります。

この例としては、青春18きっぷやフィルムカメラなど一見不便、非効率と思われ
るもの、あるいは3COINSの「ヨタ活応援グッズ」のような「うまく説明できない
けれど、何かいいんだよね」と思ってしまうもの、などがあげられています。

もちろん、モノ消費がなくなったわけではありません。またイミ消費やエモ消費ば
かりになるはずもありません。しかし、ターゲットとする顧客が、その時々に、い
かなる理由で、どのような消費行動を取るかは、供給側としては深く研究しておく
必要があるでしょう。

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(5)

<今ないものを手に入れ、何かを切り捨てる、それが戦略!>

前回は、ちょっと寄り道をして、最近の私の講演の要約版を記載しましたが、今回
は流れを元に戻しましょう。

前々回まで、「新天動説」時代の経営戦略において、「深く考える」ことの重要性
と、その際に、一人ひとりが確認すべき以下の4つの重要なポイントについて、順
次お話をしてきました。

1 「動く」との関係・・・「深い思考」と「動く」はいかなる関係にあるのか?
2 「深く考える」項目・・・いかなる場合にも考えるべき不可欠な項目は何か?
3 「深く考える」視点・・・いかなる視点、観点から考えなければならないか?
4 「深く考える」主体・・・誰が深く考え、誰が実践しなければならないか?

今回はその3つ目、
3 「深く考える」視点・・・いかなる視点、観点から考えなければならないか?
について整理しましょう。

「新天動説」時代の経営戦略には、特に以下の4つの視点が重要になると考えてい
ます。

視点1 長期的
視点2 大局的
視点3 重点的
視点4 革新的

この4つを真に実践するためには、実は、「戦略」という言葉に潜んでいる、私の
指導経験から生まれた次の2つの「前提」を理解することが大事です。この2つは
当たり前過ぎて、ともすれば見過ごされてしいまいがちです。

前提1 戦略とは、今ない何かを手に入れること
前提2 戦略とは、何かを切り捨てること

「お金がないからできない」「人がいないから難しい」といった発言は、前提1から
戦略とはほど遠いものだということがわかります。今ないお金を手に入れるのが財務
戦略ですし、今いない人材を獲得し育成するのが人事戦略です。

かつてヤマト運輸は、それまで郵便局と当時の国鉄しか行なっていなかった小口宅
配の分野に進出し、一方で長距離大量輸送から撤退しました。前提1の「今ないも
のを手に入れること」と同時に、前提2の「何かを切り捨てること」を躊躇しなか
ったという意味で、まさに「戦略」を実践したことになります。

この2つの戦略の前提に照らすと、長期的、大局的、重点的、革新的という4つの
視点は、その意味合いがより浮き彫りになってきます。

まず長期的。

これは目標設定時点を、5年、3年などより長期にすることですが、大事なことは、
何回も繰り返し申し上げているように、将来から現在に戻って考える、というバ
ックキャスト発想です。

バックキャスト発想を強く持つことにより、今この瞬間から、将来を見据えた行動
へと変化が生じます。その意味で、前提1の「今ない何かを手に入れる」ためにな
くてはならない視点です。

次に大局的。

これは自分の部署という狭い範囲にとどまらず、会社全体、グループ会社全体、業
界全体、日本全体、グローバル・・・というように、より高く、より広い視野から
自部門や自社を眺めよう、とする視点です。

「長期的」が「時間的バックキャスト」だとするならば、この「大局的」は「空間
的バックキャスト」ということができます。

これは前提1の「今ない何か」の目標を最高レベルまで高めるために必須の発想だ
と言えるでしょう。町内会の野球大会で優勝したいのか、大リーグでMVPを取りた
いのか、で練習方法が変わります。前者から大谷翔平は生まれません。同様にター
ゲット顧客から見た「なくてはならない企業」も生まれないのです。

3番目は、重点的。

実現したい多くの目標がある中で、優先順位をはっきりと見極める視点をいいます。
あれもこれも、は戦略ではありません。

言い換えると、パーパスやシナジーなどを考慮したうえで、網羅的、並列的に考え
るのではなく、先に手をつけるもの、必ず実現するもの、できたらいいもの、やめ
るものなどを明確に定めることをいいます。これは前提2の「何かを切り捨てるこ
と」に関連します。

4番目は革新的。

長期的な目標の実現プロセスでは、新たな創造と同時に、いかに過去(固定観念、
既成概念、しがらみなど)をうまく断ち切っていくか、が問われます。

シュンペーターは、新しい産業が生まれ、古い生産性の低い産業に置き換わってい
く経済プロセスを「創造的破壊」という概念で説明していますが、企業内において
もその視点が必要となります。

彼は、企業家を、
「常に革新を行なって経済に新しい局面をもたらすような創造的な機能を持つ者」
と定義しています。

またドラッカーも、
「企業家とは秩序を破壊し、解体する者である。企業家の責務は創造的破壊である」
と明言しています。

もちろん、何でも破壊すればいいというものではありません。それぞれの企業がそ
の歴史の中で築いてきた「顧客から見た強み」が、将来も確実に活かせるのであれ
ば、これは維持強化すべき対象であって、捨て去ってはならないでしょう。

「新天動説」時代こそ、経営者、経営幹部の主体的な決断が求められます。原点に
帰って、シュンペーターやドラッカーの言葉を噛みしめ、2つの前提、4つの視点
を織り込んで、獲得すべきもの、切り捨てるものを峻別する必要があるでしょう。

■ 3. みんなの疑問!?(17)

<「健康経営」にも認定制度があるのですか? >

はいあります!「健康経営優良法人」 と、「健康経営優良法人ブライト500」です。

健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること
をいいます。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことで、従業員のモ
チベーションアップや生産性向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上
や株価向上につながると期待されています。

そこで、経済産業省が健康経営にかかる各種顕彰制度として、平成26年には上場企
業を対象に「健康経営銘柄」、平成28年には中小企業も含めて「健康経営優良法人」
を創設しています。さらに、「健康経営優良法人」の中の特に優良な企業を「ブラ
イト500」として選出しています。

では、具体的に何をするのかが気になるところだと思います。

・健康経営に関する経営理念・方針の社内外への発信、
・組織体制の充実、
・従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討、
・健康経営の実践に向けた土台づくり、
・従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策、
・評価・改善、
・法令遵守、
などです。

上記は大項目・中項目を記載しておりますが、小項目があり、それぞれ評価項目が
あります。その項目を実施することで、企業内では健康経営の対策ができ、従業員
は、心身共に健康で楽しく仕事に邁進できるわけです。

おまけに上記の基準項目をクリアすることで認定を受けることができるという、一
石二鳥とも言うべきお得な認定制度になっています。

人材不足が懸念される昨今、健康を維持し、長く勤めてもらうかも重要な経営戦略
になってきます。

一度健康経営について考えてみてはいかがでしょうか。

弊社では、「健康経営優良法人」認定取得のためのサポート体制を整えております!

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただ
ければ、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。
ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『アバターと共生する未来社会』石黒浩著 集英社
マツコなどのアンドロイド製作で有名な阪大教授、石黒氏の最新著書です。メタ
バースよりもその中で動き回るアバターこそ、人の働き方、生活様式、社会の姿
を変える、としており、2050年のイメージが本書を通じて具体的に見えてきます。

2『アウトプット思考』内田和成著 PHP研究所 
元ボストン・コンサルティング・グループの日本代表で、早稲田大学ビジネスス
クール教授も歴任した内田氏は、AI時代は「情報通」が評価されず差別化できな
いと主張し、アウトプット→インプットという行動の重要性を指摘しています。

3『客観性の落とし穴』村上靖彦著 ちくまプリマー新書 
著者の村上氏は、大阪大学大学院人間科学研究科教授で、医療福祉が専門です。
本書では客観的な数字だけでは説明できない部分が多々あることを強調していま
す。量的考察と質的考察を融合させることの大事さが具体的に見えてくる本です。

【web】 https://www.nksy.co.jp
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