いーかわらばん vol.279
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2007/06/28
- vol.279
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<広がる「アウトソーシング」の成否を分けるもの>
電話のオペレータや、伝票処理などの間接業務を、アウトソーシングすることに
より、全体の生産性を著しく向上させる、といった仕組みづくりは、アメリカを始め
とする先進諸国で激しい勢いで進んでいます。
英語圏ということもあり、その先端に位置しているのがインドといわれていますし、
同様の理由で、フィリピンはもちろん、最近ではアフリカのケニアも注目されてい
るようです。
日本の企業も大中小を問わず、アウトソーシングを効率化の手法として採用
するケースが目立ってきています。ドラッカー流に言えば、
管理職や専門性の高い地位に昇進する可能性のない仕事、たとえば、
一般事務、保守管理業務、株式仲介業者の事務部門、大手建築事
務所の製図室、病院の薬剤室は外部に委託するようになる・・・
のです。(『未来企業』1992年 より)
しかしながら、セブンアンドアイグループを始め、アウトソーシングを成功させて
いる企業と、そうでない企業の間には、アウトソーシングに対する考え方に大き
な開きを感じます。
私どももアウトソーシングの専門会社を別会社として持っていますので、かなり
のお問い合わせをいただきますが、その際に、ほんとうにアウトソーシングを成
功させ、企業全体として効率化を実現していくことが可能な企業か、そうでない
企業かは、少し生意気かもしれませんが、最初のお話の段階である程度見え
てしまいます。
効率化が程遠い企業の場合には、私どもとしては、根本的な考え方の変更や、
仕組みの構築を迫るか、どうしようもなければお受けしない、ということにもなる
のですが、それでは、その成否の分かれ目はどこにあるのでしょうか。
それは、効率化という目的は当然として、アウトソーシングしたあとの社内に残
った業務の質の向上、人の能力のレベルアップについて、明確で、強い、意思
や計画をもっているかどうか、です。
言い換えれば、残った業務の質をレベルアップさせるための価値ある方法の一
つとしてアウトソーシングがあるのであって、このあたりを理解していない人をア
ウトソーサーをコントロールする立場におくと、かえって悲惨な状況になります。
たとえば、伝票処理をアウトソースするのであれば、今まで伝票処理に携わって
いた人は、
・より有効な伝票処理システムを構築すること
がテーマとなり、この構築能力を身につけなければ何の意味もないのです。
真の効率化は、こういったプロセスを経て実現できるわけです。
アウトソーシングは、現在の業務を単に外部に置き換えるものではない、という
ことを理解し、実践できるかどうか、このあたりが成否を分けるポイントと言えそ
うです。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<滅び行く、正反対、矛盾、成功の四つに注目!>
vol.268から10回あまりをかけてご説明をしてきた「弁証法的視点」もいよいよ
最後のまとめの段階に入りました。
もともと、仮説を構築する際に意識すべき大事なポイントとして、
① 「想い」を「かたち」にする(暗黙知と形式知)
② 高い「価値観」を持つ(価値判断基準)
③ 「矛盾の解決こそ価値」という視点を持つ(弁証法的視点)
の三つが大事だとして、その3番目の視点が弁証法だったのです。
ここでは、重要な弁証法的視点として、
弁証法的視点1: 矛盾の解決こそ価値を生み出す
弁証法的視点2: 量的変化には必ず臨界点があり、それは質的変化に
よって次のステージにあがる
弁証法的視点3: ものごとは、長い目で見れば、反転を繰り返す
弁証法的視点4: よき昔は、(反転しながらレベルアップして)再び来世に
現れる
弁証法的視点5: 反転現象は、両者の融合化、類似化をもたらす
の五つを考えてみました。
このことから、世の中を見る前提として、さまざまな仮説を構築する際に、
① 滅び行くもの
② 正反対のもの
③ 矛盾しているもの
④ 成功しているもの
といった四つを常に意識しておくことが大事であることがわかります。
では、意識することが大事だとして、「何を」意識しておけばよいのでしょうか。
今までの弁証法のお話の復習になりますが・・・
①の「滅び行くもの」については、ニーズがなくなったから滅びつつあるのか、
ニーズはあるのに採算性が悪いから滅んでいくのか、を考え、後者であれば
価値を生み出す絶好のチャンスになりうる、ということです。
②の「正反対のもの」については、なんとか両者の「いいとこどり」(融合化、類似化)
が、と考えることで、価値を生み出すことができる可能性があるということです。
③の「矛盾しているもの」は、最初の段階で何回もご説明をしたように、この矛盾
の解決(止揚)をすること、イコール価値創出だということです。
④の「成功しているもの」については、成功しているものが必ず臨界点(限界)を
迎えることがあると想定して、その限界をもたらす要素を追究することにより、新
しい価値を付加する方向性を見渡すことができる、ということです。
これらの四つは、普段から意識をし、そういった世の中の事象に巡り合うたびに
メモをしながら考えてみる、といった習慣をつけるとよいでしょう。価値のある仮説
を構築するために欠かせない訓練の一つだと思っています。
■ 3. 財務ホット情報
<相続税の課税価格減額規定>
前回のいーかわらばん「事業承継の真視点」では、6月12日付の日本経済新聞
一面記事についてご紹介致しました。
今回の財務ホット情報では、その新聞記事に関連する相続税の課税価格を減額
できる優遇規定について内容を整理し、ご紹介したいと思います。
租税特別措置法に規定する相続税の課税価格を減額する優遇規定は、大きく
2つあります。
①土地等について最大80%減額する規定
②特定同族会社株式について最大10%減額する規定
です。
①土地等について最大80%減額する規定
お亡くなりになった方やその親族の方が、生前その宅地を
(a) 事業の用(不動産貸付業は除く)
(b) 居住の用
(c) 国の事業の用(特定郵便局の認可)
に利用しており、お亡くなりになった後も引き続き継続して利用している場合には、
その宅地面積のうち下記面積の部分について80%減額が認められます。
(a) 事業の用(不動産貸付業は除く) 400㎡
(b) 居住の用 240㎡
(c) 国の事業の用(特定郵便局の認可) 400㎡
また、不動産貸付事業に利用しているなど、上記の要件に該当しない事項がある
場合には、50%減額となります。
②特定同族会社株式について最大10%減額する規定
事業の承継者である子などが相続などにより特定同族会社株式等を取得した場
合には、その株式等の課税価格について10%減額が認められます。また、この
規定は相続財産だけでなく、相続時精算課税贈与を適用し、その贈与時に一定
の届出を提出することにより、その贈与財産(株式)も適用対象となります。
ただし、その株式について、発行済株式数の2/3までの部分で、10億円以下の金
額についてしか適用できません。
上記2つの規定は、基本的にいずれかの選択適用となっておりますので、減額割合
の大きい①を適用するケースが多かったと言えます。
そこで、今回の新聞記事のような新法が制定されれば、②の規定が利用しやすくな
り、事業承継がスムーズになるというわけです。
これらの規定を適用する場合には、細かな要件があるものがございますので、一度
弊社スタッフまでお問い合わせ下さいませ。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
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