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いーかわらばん vol.478

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2023/05/31
  • vol.478

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題 

「コミュニティ」は、第5の経営資源?

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(3)

Want 、Why、 Must から生まれる「自社の存在価値」

■ 3. みんなの疑問!?(15)

リース会計について、何か改正の動きがあるんですか?

■ 1. 時の話題 

< 「コミュニティ」は、第5の経営資源?>

経営資源といえば、まずは「ヒト、モノ、カネ」でした。そしてトフラーが
『第三の波』を著した1980年前後から「情報」が加わり、4大資源を構成して
来ました。

それ以外にも、「時間」や「知的財産」などを加えることがありますが、ここ
数年、第5の経営資源としてひときわ注目を浴びているのが、「コミュニティ」
です。

コミュニティは、「共同体」「地域社会」、場合によっては芸能界、スポーツ
界などの「〜界」を表す言葉です。

では、なぜ「コミュニティ」が第5の経営資源と言われるようになったのでし
ょうか。

そこには、主として二つの要因があると思われます。

第一の要因は、いーかわらばん Vol.476 の「時の話題」で取り上げましたVUCA
時代に入り、一人あるいは一社だけでは変革に限界があることから、「共創力」
が問われる時代になってきたことです。

第二の要因は、オープンでフラットな組織を、日本全体はもとより、ワールド
ワイドに生み出すことができる環境が、SNS等の進展によって容易になったこ
とです。

最近のソーシャルネットワークでは、ユーザー同士が情報交換を行う交流の場
を「コミュニティ」と呼びます。限られた地域や業界の人たちとしかできなか
った情報交換や議論が、何らかの目的(パーパス)のもとに、全世界の人たち
と、リアルタイムにできるようになったのです。

言い換えると、コミュニティが「地域」や「〜界」という制約から解放されて、
それらを超えた「目的社会」に変化したことを意味します。

同じく、いーかわらばん Vol.476 の「時の話題」で紹介させていただいた、
 DAO(Decentralized Autonomous Organization :自律分散型組織)
はその典型です。

今後は、自分たちの業界やエリアを超えて、自社がどのようなコミュニティを
作り上げ、あるいはいかなるコミュニティに参加することによって「共創力」
を高めていくかが、問われることになるでしょう。

「コミュニティ」は、「ヒト」と「情報」が、「一定の目的」のもとに、高度
に結合した経営資源だということができそうです。

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(3)

<Want 、Why、 Must から生まれる「自社の存在価値」 >

今回は、「新天動説」時代の経営戦略において、「深く考える」際に、一人ひと
りが確認すべき4つの重要なポイントの二つ目、

2 「深く考える」項目・・・いかなる場合にも考えるべき不可欠な項目は何か?

について整理しましょう。

前回の最後に、「深く考える」「動く」「また深く考える」を繰り返すことがで
きる人と、できない人との差はどこにあるのか、という問題提起をいたしました。
これができるための「原動力」は何か、という問いです。これを整理することが、
「考えるべき不可欠な項目」に直結します。

原動力は、以下の3つだと私は考えています。

 第1原動力  たい=Want ( 実現したいこと )
 第2原動力  なぜ=Why ( 目的、志、パーパス・・・)
 第3原動力  べき=Must  ( 実現すべきこと)

ただし、前々回に述べましたように、「深く考える」とは「とことん自問自答を
繰り返すこと」だと定義するならば、この三つの原動力は同列に語られるもので
はなく、自問自答を生み出す局面が異なっています。

掘り下げてみましょう。

第1原動力「たい=Want」は、自問自答のスタートです。

好きなこと、やりたいこと、実現したい状況を強く持つ人間だからこそ、現在そ
れができない理由は何なのか、どうすればできるようになるかを自問自答します。

そして、それが自分一人では実現することができない、周りの力が必要だ、と感
じたときに、第2の原動力「なぜ=Why」が、新たな自問自答を生み出します。

自分以外の人を巻き込んで、納得して前向きに動いてもらい、実現に漕ぎ着ける
ためには、自分の実現したいことが、周りの人や社会に対して、どのような意味
や価値をもたらすものなのか、最近の流行語で言えば「パーパス」をはっきりと
示さなければならないからです。

以上の二つと比較すれば、第三の原動力「べき=Must」は、かなり客観的な視点
が要求されます。

自分の実現したいことをいったん傍らに置いて、世の中や顧客に内在する課題や
ニーズは何かを見極め、あるいは自分の実現したいことがその課題やニーズとい
かにマッチングするかを自問自答しなければならないからです。

このように、三つの原動力は、それぞれに自問自答を生み出す局面が異なること
が見えてきます。そして、この三つの原動力から生まれてくる自問自答の中身が、
組織で何かを実現しようとする時に、必ず考えるべき必須項目になるのです。

平たく言い直すと、
・自分はどうしたいのか、どうすれば実現できるのか
・それを実現する目的はどこにあるか、周りは納得するのか
・それは周りから要求されていることか、ありがたいと思ってくれるのか
といったことが、いかなる場合にも考えるべき不可欠な項目ということになる
わけです。

ここで、大事なことを二つ付け加えておきたいと思います。

一つ目は、すべての起点は、第1原動力「たい=Want」である、という点です。

組織の中に「たい=Want」を強く持つ人材が多く存在すればするほど、「深く考
える」「動く」「また深く考える」を繰り返す原動力が大きくなり、結果として、
目標の実現、組織の成長につながる確率が高くなります。

世の中でよく言われているように、自分の心の中からほとばしり出て動くのと、
人から言われて、あるいは頭で考えて動くのとでは根本的に違うのでしょう。

ただ、多くの会社でご指導をさせていただいて、この「たい=Want」を強く持っ
ている幹部の方々が極めて少ない現実に愕然とします。一方で、Z世代と議論を
しているとその若さも手伝ってか、「たい=Want」「なぜ=Why」に溢れた人材
がかなり多く存在するように感じます。彼らの力を大いに活用したいものです。

二つ目は、上記の3つの原動力から生まれる自問自答の中身を、経営戦略に当
てはめたときに考えるべき必須項目は何か、という点です。これは、顧客構造
戦略の根本ですので、いずれ詳しくお話しいたしますが、

・ その実現したいことは、いかなる顧客にどのような便益をもたらすか?
・その実現したいことを自社が行う、意味、独自性はどこにあるか?
 (= その顧客が、他社ではなく、自社を指名する理由は何か?)

の2つです。一言で言えば、「自社の存在価値」です。これらををいい加減に
して、結果としての利益、将来の成長は望めません。

次回は、「新天動説」時代の経営戦略において、「深く考える」際に、一人ひ
とりが確認すべき4つの重要なポイントの三つ目、

3 「深く考える」視点・・・いかなる視点、観点から考えなければならないか?

について整理することにしましょう。

■ 3. みんなの疑問!?(15)

<リース会計について、何か改正の動きがあるんですか?>

はい、覚えておられる方もいらっしゃると思いますが、2023年4月23日(日)の
日経新聞の朝刊に、「リース取引、資産計上へ」という記事がありました。

その後、企業会計基準委員会(ASBJ)から2023年5月2日に「リースに関する会
計基準(案)」等が公表されています。

これは、国際会計基準IFRS等との整合性を図るためとされています。

リース取引について、リース資産、リース負債を計上することに慣れてきた頃かと
は思いますが、今回の改正では、すべて(短期間の契約・少額なものは除外予定)
の賃貸物を対象に、資産計上することになるようです。

今まで、全く予想していなかったものとしては、事務所の家賃などです。
どのように総額を計上するのかなどは、一切情報が出ていませんので、詳細が明
らかになった段階でお伝えできればと思います。

適用時期は決まっていませんが、2026年4月ごろからではという情報もちらほら
出ています。

今までは、支払った家賃をそのまま経費計上するだけでしたが、固定資産台帳の
管理、経過勘定のチェックなど、経理部門の方は、事務作業が増えそうです。

しばらくの間、リース会計にアンテナを張っておく必要があると思います。


■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただけ
れば、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。
ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『逆境経営』 樽谷哲也著  文春新書
サイゼリア、コマツ、グンゼ、ダイソーなど著名な14社を取り上げて、リーマンシ
ョックやコロナ禍などの「逆境」にいかに立ち向かったかを記しています。逆境こ
そが経営者や、会社を強くするということをあらためて感じさせる内容です。

2『勝者の思考回路』 柴田陽子著 幻冬舎
勝った、負けた、ではない「勝者」の定義にはじまり、ブランドプロデューサーで
ある著者が「指名」される思考回路をわかりやすく説明しています。基本的な考え
方の中に、「だから成功するんだな」とうなずく点が数多く散りばめられています。

3『山奥ビジネス』 藻谷ゆかり著  新潮新書
帯には「デフレ? 少子化? 悲観するな!日本の田舎こそ成長のフロンティアだ」と
記されています。熊本県山都町など7つの自治体を取り上げており、1月にご紹介し
た『流山がすごい』と同様、工夫次第で成長可能性は無限にあるのだと感じます。

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