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いーかわらばん vol.477

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2023/04/28
  • vol.477

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

起業家教育は高校までが勝負?

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(2)

深い思考と行動の「仕組み化」「見える化」「底上げ化」

■ 3. みんなの疑問!?(14)

「越境学習」最近見かけますが、小学校や中学校のことではないんですか? 

■ 1. 時の話題

<起業家教育は高校までが勝負?>

日本のイノベーションランキングやユニコーン企業数が、極めて低い水準にある
こと、そして、その重要な理由の一つが「学校教育」にあることは、さまざまな
場面で指摘されています。

一方で、ベンチャーエコシステムの形成には、「産官学連携」が非常に大切であ
り、「学」の中心にあるのは「大学」だと言われています。

確かに、シリコンバレーにおけるスタンフォード大学、アメリカ東海岸のハーバ
ード大学やマサチューセッツ工科大学、中国中関村の北京大学や清華大学、その
他オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、イスラエル工科大学、インド工科
大学、シンガポール国立大学など、大学がベンチャー創出に大きな役割を果たし
ていることは事実です。

残念ながら日本の大学は、後塵を排する状況にあるといっていいでしょう。

ここで、一つ、疑問が生じます。起業家教育は、大学に入ってからで間に合うも
のなのでしょうか。

なぜなら、たとえば野球、ゴルフ、テニス、サッカーなどのスポーツをはじめ、
将棋や囲碁、その他さまざまな芸術においても、超一流と呼ばれる人たちの多く
が、小学生前後から本格的に始めているからです。

もちろん、スポーツや芸術の一部など、ピーク年齢が早いものとビジネスとでは
違いはあるかもしれませんが、それでも若い時から身につけてマイナスになるこ
とはないはずです。

ある調査によれば、日本における「高校までの起業家教育」は、先進22カ国中、
20位となっています(4月22日日本経済新聞「グローバル・アントレプレナー
シップ・モニター」調査より)。大学どころか、小学校、中学校、高校までの間
に、もはや、日本は世界から遅れをとっているように思えます。

こういった反省から、最近では、高校までの起業家教育が少しずつ軌道に乗りは
じめてきました。文部科学省は、日本型アントレプレナーシップ教育を提唱し、
多くの企業が研修プログラムの開発、提供を実施し、高校生までの世代を対象と
したさまざまなビジネスプランコンテストなどが実施されるようになりました。

特に、「体験型」起業家教育を可能な限り子供の(若い)段階から実践すること
により、
1 ビジネスの世界には絶対的正解はないこと
2 社会に好奇心、疑問を持ち、課題を発見することがスタートであること
3 失敗を恐れず(失敗をしながら)、成功に結びつけること
4 自分一人でできることには限界があること・・・
など、多くの基本精神(マインド)を早い段階で体得することができます。

上記の基本精神は、現在の受験に明け暮れる生徒が経験している学校教育とは
正反対の世界です。
1 正解を求めて一生懸命暗記をし、
2 とにかく与えられた問題をひたすら解くことを 
3 失敗しないように、ミスをしないように、
4 自分一人で
訓練しているわけですから・・・。

スポーツ界が業界をあげて少年少女の育成に力を入れることで世界に通用する
選手が生まれてきたように、ビジネス界は小中高の若い世代の実践的、体験的
起業家教育に真剣に取り組み、多くの支援を行う必要があるのではないでしょ
うか。

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(2)

< 深い思考と行動の「仕組み化」「見える化」「底上げ化」>

前回は、「新天動説」時代の経営戦略において、「深く考える」ことの重要性と、
その際に、一人ひとりが確認すべき以下の4つの重要なポイントを記しました。

1 「動く」との関係・・・「深い思考」と「動く」はいかなる関係にあるのか?
2 「深く考える」項目・・・いかなる場合にも考えるべき不可欠な項目は何か?
3 「深く考える」視点・・・いかなる視点、観点から考えなければならないか?
4 「深く考える」主体・・・誰が深く考え、誰が実践しなければならないか?

今回はその一つ目、「動く」との関係について考えてみましょう。

私が「深く考える」ことの重要性を強調しますと、必ずいただく質問の一つが、
「深く考えてばかりいても、動かなければ、何も進まないのではないですか?」
というものです。

私の答えも、
「まったくその通り!」
です。

ここで、有名なエスニックジョークを引っ張り出してみましょう。

 イギリス人は歩きながら考える
 フランス人は考えた後で走り出す
 スペイン人は走ってしまった後で考える

これは、スペインの外交官であった S.マダリアーガがその著書『情熱の構造』
の中で記したものだと言われています。行動・思考・情熱の三つの要素から国
民性を比較したたいへん興味深い文化論です。行動の中にも「歩く」と「走る」
があることがまたおもしろい視点とも言えます。

ただ、経営戦略に限って言えば、大事なことは、ただ一つ、
 人によって、事象によって、やり方に差はあるものの、
 「深く考える」「動く」「また深く考える」はワンセットである。
という点です。

このワンセットを何回も繰り返すことで、一般的にはレベルはどんどん上がって
いきます。

この重要性を、私のお客様企業のある社長は「考動」と表現されています。また
別の会社の社長は「動いてみて初めて見える景色がある」旨の発言を繰り返され
ておられます。

こんなこと、当たり前だろう、と思われるかもしれません。しかし、皆様の会社
の日々の活動の中で、社員の一人ひとりが、本当に「深く考え」「動き」「また
深く考える」を繰り返している、と確信できるでしょうか。

実は、「深く考える」「動く」「また深く考える」というワンセットを、マネジ
メントに落とし込んで簡潔に表現したものが 、「P→D→C→A」 であり、小売業
では当たり前になった「仮説→実行→検証」なのです。

したがって、PDCAや仮説・実行・検証を、形式的、表面的に実行していてもほと
んど意味がありません。そのプロセスにおいて、どれだけ深く考え、動き、また
深く考えているか、結果として一人ひとりのレベルアップにつながっているか、
が大事なのです。

そして、これらが「組織において」本当に効果をもたらすためには、

1 「深く考えて」「動き」「また深く考える」ことを「仕組み化」する
2 仕組み化したことが実践できているかを「見える化」する
3 末端まで実践、浸透させて組織全体を「底上げ化」する

の三つが必要になってきます。

私は、
「その組織のPDCAの中身を見ると、その組織のマネジメントレベルと将来の人材
の成長度合いがわかる」
と常々申し上げていますが、その真意はこういったところにあります。

では「深く考える」「動く」「また深く考える」を繰り返すことができる人と、で
きない人との差はどこにあるのでしょうか。言い換えると、これを繰り返すための
「原動力」は何なのでしょうか。

それが、次回お話しする、
2 「深く考える」項目・・・いかなる場合にも考えるべき不可欠な項目は何か?
につながっていきます。

■ 3. みんなの疑問!?(14)

<「越境学習」最近見かけますが、小学校や中学校のことではないんですか? >

小学校や中学校は、住む場所によって、入学する学校が定められていますよね。
校区と違う学校に入学ることを「越境入学」と呼んでいます。
最近よく目にする「越境学習」は、この「越境入学」とは違います。

先月のいーかわらばんvol.476「時の話題」でVUCA時代というワードが出てきまし
たが、経済産業省が越境学習によるVUCA時代の企業人材育成として「未来の教室」
事業を推進しています。

「越境学習」とは、所属する組織や会社を越境し、異なる組織や会社などで、異なる
価値観やスピード感など非日常の体験を得る機会を指します。

越境学習では、
・不確実で変化の激しい時代を切り拓くリーダーとしての成長
・困難にぶつかる経験
・自己の価値観や想いを再確認する内省効果
・新しいアプローチや着眼点の発見
・自律型人材の育成
などが期待されています。

ぎりぎりの人数で運営している中小企業にはかなりハードルが高いように思いますが、
長い目で見て、将来の会社に必要な「人材の育成」と位置付けるならば、導入を検討
することも必要になってくるかもしれません。

越境学習の導入事例や、越境学習研修などが経済産業省のHPに掲載されていますの
で、一度、下記HPをご確認いただけると幸いです。

<経済産業省HP>
https://www.learning-innovation.go.jp/recurrent/#c02

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただけ
れば、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。
ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『AIが書いたAIについての本』 AI 著  フローラル出版
今後は「AI 著」の本を紹介することが多くなるのでしょうか。監修は『7つの習
慣』の訳者でも有名なジェームス・スキナーですが、「はじめに」「監修者からの
ひとこと」「後書き」以外はすべてAIが書いたものです。ぜひご賞味ください!

2『価値循環が日本を動かす』 デロイト トーマツ グループ著 日経BP
「変われなければ日本は沈む」を前提に、「ヒト」「モノ」「データ」「カネ」の
循環モデル、4つの発想の転換の必要性、日本を動かす10の需要創出シナリオなど
が、かなり具体的に記されており、まだまだ日本は成長可能だ!と感じます。

3『伊藤忠』 野地秩嘉著 ダイヤモンド社
表紙には副題の「財閥系を超えた最強商人」に続き、「稼ぐ、削る、防ぐ キーワ
ードはか・け・ふ」という岡藤正広氏のビジネス三原則が記されています。160年
の歴史をたどりながら、近江発祥の商人道の真髄を学ぶことができる内容です。

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いーかわらばん
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