中堅・中小企業の発揮能力最大化支援

㈱トップ支援 03-3256-4101
㈱アウトオフィス 06-6300-1787

メールでのご相談はこちら

いーかわらばん vol.476

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2023/03/31
  • vol.476

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

VUCA時代、DAOがじわじわ・・・!

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(1)

ネットやAIで、思考力が衰える人、深まる人

■ 3. みんなの疑問!?(13)

ドラマのような名前の税制、小耳にはさんだのですが・・・?

■ 1. 時の話題

< VUCA時代、DAOがじわじわ・・・!>

アルファベットがいっぱい並んだタイトルですが、VUCA、DAOとも最近、頻繁に
登場するキーワードです。

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語です。もともと、1990年代に冷戦が終結
して戦略が見にくくなったことを表すアメリカの軍事用語だったようで、将来の予測
が困難な状況を示す言葉です。

一方、DAOとは、Decentralized Autonomous Organization の頭文字をとったもの
で、「自律分散型組織」と訳されます。管理者からの指示ではなく、構成員一人ひと
りの自律的な活動によって運営されるフラットな組織を指し、中央集権的なヒエラル
キー組織の対局に位置するものです。

DAOは、Web3.0 時代に入りブロックチェーン技術が普及したことにより、VUCA
時代の新規事業開発、製品開発、組織開発などにおいて、大きな効果が期待されて
います。

株式会社の株式に代わるものとして暗号資産(トークン)を割り当て、高いレベル
で参加者の叡智やアイデアを集め、投票による意思決定を通して目標を実現できる
ことが大きなメリットです。

まだまだ、実例は限られていますが、3月14日の日本経済新聞にいくつか掲載され
ていましたので拾ってみましょう。

たとえば、医療の分野では、バイブバイオが、希少疾患を対象にDAO組織によって
研究を進めています。人間の長寿研究の活性化を目指すビータDAOには9000人の
参加者が集い、15の研究プロジェクトが進行しています。

また、サッカーJリーグのアビスパ福岡は、選手の育成、メタバース観戦などの新し
いイベント企画に DAOを活用しています。教育の分野では、マサチューセッツ工科
大学、ハーバード大学、オックスフォード大学など世界の有力大学が「EduDAO」を
結成しています。

一方、新潟県長岡市では、消滅した山古志村が「デジタル村民」を集めてDAOを形
成し、メタバース上の町おこしにチャレンジしています。

発展途上ですので、まだまだ法は整備されていませんし、意思決定のスピードも速い
とはいえず、何より参加者の高度なセルフマネジメント能力が問われるなど、課題を
あげればキリがありません。

しかし、先が見えないVUCA時代において、一定の条件のもとでは大きな効果が期待
できる次世代組織形態の一つだと思われます。今から研究しておく価値は十分にある
のではないでしょうか。

■ 2. 山崎発「新天動説」時代の経営戦略(1)

<ネットやAIで、思考力が衰える人、深まる人 >

今回からは、
「新天動説」時代の経営戦略
と題してスタートします。

前回申し上げましたとおり、「新天動説」時代において従来と変わる点、変わらな
い点に着目しつつ、経営戦略の原点の原点、言い換えれば、当たり前にやらなけれ
ばならないはずなのに、実際にはなかなかできていない点に焦点を当てて、話を進
めていきたいと思っています。

まず、経営戦略の本題に入る前に、強く認識し、メンバーに浸透させておかなけれ
ばならない前提があります。それは、「深く考える」ことの大切さです。私の指導
経験から、「深い思考」は経営戦略の成否を決定する重要な要素の一つです。

「いい加減に考えて策定したり、実践したりするはずないじゃない!」という抗議
の声が聞こえてきそうです。しかし、策定プロジェクトの一人ひとり、そしてその
戦略を実践する幹部や社員の一人ひとりが、どれだけ深く考えて取り組んでいるか、
疑問を感じる場面が多々あるのも事実です。

では「深く考える」とは何をすることなのでしょうか。

それこそ広くて深い概念ですので本来一言で言えるものではありませんが、
「とことん自問自答を繰り返すこと」
とシンプルに定義し、実践することが大事だと私は考えています。

自ら質問を発して、自ら答える・・・、
さまざまな角度、視点から、次から次へと・・・。
研修などでよく使われる言葉に置き換えると、「質問力」や「問題発見力」「問
題解決力」などを駆使する思考プロセスです。

ここで、「深く考える」際に、一人ひとりが確認すべき4つの重要なポイントが
あります。

1 「動く」との関係・・・「深い思考」と「動く」はいかなる関係にあるのか?
2 「深く考える」項目・・・いかなる場合にも考えるべき不可欠な項目は何か?
3 「深く考える」視点・・・いかなる視点、観点から考えなければならないか?
4 「深く考える」主体・・・誰が深く考え、誰が実践しなければならないか?

これらについては、次回以降、順次じっくりと整理していくことにしましょう。

では、「新天動説」時代、「深く考える」ことに従来との違いはあるのでしょうか。

先日、あるDXの勉強会で、専門家から
  ネットやAIの普及により考えない人が増えてきた。一方で、それらを活用
 してとことん考え、急速にレベルアップする人も生まれてきた。・・・
というお話がありました。

サイト、SNS、AIなどを、単にたくさん使っているかどうかではなく、その位置付
けや活用の仕方が、成長に大きな差をもたらす、という実に示唆に富んだ見方です。

私の趣味の話で恐縮ですが、このほど六冠を獲得した将棋の藤井聡太竜王を見てい
て、この言葉にすごく共感します。将棋のプロの世界でも、この数年急速に進化し
たAIが指し示す棋譜を暗記しようと躍起になっている棋士が多いと言われています。

しかし、先日の羽生善治九段との王将戦、渡辺明棋王との棋王戦を観戦していて感
じるのは、超一流棋士に見られる「AIから外れた時の飛び抜けて深い思考力」です。
AIから外れた時こそ、普段からAIをいかに活用し、思考力に磨きをかけているかが
問われる場面なのでしょう。そして、その外れた時の対応いかんで、勝負が決しま
す。まさに人間対人間のぶつかり合いなのです。

この「深く考える」ことの大切さは、従来の比ではない!と私は感じています。な
ぜなら、ネットやAIの浸透により「情報のコモディティ化」が生じ、それらを使う
限り、差がつかない範囲が格段に増えているからです。

このことは、ビジネスで言えば、ちょっとやそっと考えたくらいでは差別化できな
い、あるいはすぐに追いつかれ競争優位性や独自性が続かない時代になりつつある
ことを意味しています。結果として厳しい価格競争の世界が待っています

一方で、相手から見て、しっかりとした理念(パーパス)に基づいた独自性を真に手
に入れ、持続することができるのであれば、私の造語である「指名経済」において、
「価値」と「勝ち」につながります。

「新天動説」は、以前に述べましたように「一人ひとりが軸になってこそ、その周
りに意味(価値)が生まれる」時代です。その軸(理念に基づいた独自性)に至る
までの深い思考が不可欠です。

したがって、戦略指導の現場において、「USP(Unique Selling Proposition)」を
メンバーの共通用語として、深く考えていだだくように強く要請していますし、こ
のコーナーでも、今後繰り返し登場することになると思います。

「新天動説」の時代に、どこまで「深く考える」べきかという一つの到達点が、
しっかりとしたパーパスに基づいた独自性の確立にあることは、ほぼ間違いのない
ところでしょう。

■ 3. みんなの疑問!?(13)

<ドラマのような名前の税制、小耳にはさんだのですが・・・?>

そのドラマって、スピンオフドラマのことですね。

確かに、スピンオフ 税制というものがあります。

スピンオフとは、自社内の特定の事業部門又は子会社を切り出し、独立させること
をいい、企業の事業再編の手段の1つとして注目されています。

スピンオフには、分割型分割と、株式(現物)分配の2つの方法があります。

分割型分割とは、事業部門を切り出して新会社を設立し、その会社に割り当てられ
る株式を元の会社の株主に配当する方法です。

一方、株式(現物)分配とは、100%子会社を切り離して、元の会社が保有する
切り離した会社の株式を株主に配当として引き渡すことをいいます。

いずれにしても、法人には、譲渡損益にかかる法人税、個人には配当課税として税金が
課せられます。

但し、2017年の税制改正により、適格要件を満たせば、課税の繰り延べが認められ
ることになり、組織再編がやりやすくなるということで、注目を集めました。

さらに、昨年末に発表された令和5年の税制改正大綱にて、スピンオフ税制の拡充
が盛り込まれました。

現時点での情報では、令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に産業競争
力強化法上の事業再編計画の認定を受ければ、元の法人が有する完全子会社の発行済
株式の一部(20%未満)を元の法人に残しても適格要件をみたし、課税の繰り延べが
認められるようです。いわゆる「パーシャル・スピンオフ」です。

現行法では、元の法人が有する完全子会社法人の発行済株式の全部を株主に交付す
る必要がありました。

今のところ、1年限りのお試しとなっていますが、経済産業省は次年度の税制改正
にて、この措置の恒久化を求める予定で、それが認められるかどうかが今後の注目
ポイントです。

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただけ
れば、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。
ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『伊能忠敬』 童門冬二著 河出文庫 
9年前に刊行された本です。恵まれない子供時代を過ごし、養子先の傾いた家業
を復興し、家督を譲った後、55歳から、緯度一度の正確な長さを求め、皆が楽し
く旅ができる地図を作成するために測量を開始します。「生涯現役」の見本です。

2『シリコンバレー最重要思想家 ナヴァル・ラヴィカント』
         エリック・ジョーゲンソン著 櫻井祐子訳 サンマーク出版 
日本ではあまり知られていませんが、ナヴァルは多くの会社を起業し、ファンド
を作ってTwitterやウーバーに投資し、エンジェル投資家とスタートアップを繋
ぐ巨大SNSを立ち上げました。その思想には、一度触れてみる価値があります。

3『付加価値のつくりかた』 田尻望著 かんき出版
「付加価値」は大変よく使われる言葉ですが、実際のビジネスでどうすればそれ
を生み出すことができるのか、かなり難しいものの一つです。キーエンス出身の
著者が、生産性向上の視点を織り込みながら、その内容について整理しています。

【web】 https://www.nksy.co.jp
【mail】 mail@nksy.co.jp

☆弊社お客様並びに名刺を頂いた方にもお送りさせて頂いております。
突然の配信をお許しください。
☆展示会等のご案内を掲載させて頂きます、ご一報下さい。
☆メールマガジンの登録・解除は自由です。配信の解除・送信先メールアドレスの変更はお手数ですが、
mail@nksy.co.jp
にご連絡ください。
☆無断転送はご遠慮願います。

いーかわらばん
著者・論文