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いーかわらばん vol.475

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2023/02/21
  • vol.475

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題      

「生成AI」元年!

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(12)

ロバのパン屋さんは、ストア・ヘイリング?!

■ 3. みんなの疑問!?(12)

相続税の改正が決まったって本当ですか?

■ 1. 時の話題      

< 「生成AI」元年!>

昨年後半からめざましい進化を遂げているものの一つに「生成AI」があります。

従来は、「認識AI」(「識別AI」)と呼ばれるものが中心でした。たとえば、
今や当たり前になったスマホの顔認証、音声入力などはその典型です。

その他、来店客の属性や行動分析、製造工程における不良品抽出、インフラ
設備の劣化検出、ドローンによる微量集中農薬散布など、「認識AI」は社会
に大きなインパクトをもたらしています。

一方「生成AI」は、まったく新しい創造的、独創的な画像、音声、テキスト、
また、それらを複合したアウトプットを提供するAIの総称です。

昨年の8月には、画像生成AIのMidjouneyが登場し、画像の美しさに加えて
簡単に作成できることで大きな注目を浴びました。さらに、Stable Diffusion
(画像生成)、ChatGPT(テキスト生成)などが次々と登場して話題となり、
2023年はまさに「生成AI元年」になるのでは、と思われます。

では、生成AIは、経営プロセスにどのような変化をもたらすのでしょうか。
ここでは二つの重要な側面について考えてみましょう。

一つ目の変化は、高度のクリエイティビティ、高度のマネジメント、高度の
ホスピタリティという従来のAIが苦手な分野のなかで、少なくともクリエイ
ティビティは、AIの得意分野になる確率が高い、という点です。

デザイン企画、プロダクト開発、プロモーション展開などの分野では、近い
将来、生成AIの役割が増大するでしょう。一定の指示をすれば、人間が作成
したものと全く遜色のない、むしろそれを超えた文章、画像、楽曲などを、
自動的に短時間で創出してくれるからです。

二つ目の変化は、P→D→C→A(仮説→実行→検証)というマネジメントプ
ロセスにおいて、今まで主として、C(検証)の領域で威力を発揮していた
AIが、少し先にはなるものの、P(仮説)の領域に深く入り込むだろう、と
いう点です。

人間が立てた計画(仮説)をデジタルツイン(ミラーワールド)などを活用
して精度を高める「P検証」にとどまらず、計画(仮説)そのものを「オリジ
ナリティにあふれ、成果に直結する」レベルで策定することも可能になると
思われます。

以上の二つは、いずれ、マネジメントとクリエイティビティの高度な融合が、
AIにより実現することを意味します。

もちろん、問題がないわけではありません。著作権の保護、悪用の防止は、
早急に手を打たなければならない課題です。

しかし、経営において「これらを駆使しない手はない!」ことも確かです。
ただ、AIに指示を出し活用するのは、あくまでも人間です。したがって、
人間がどのような役割を果たし「人間ならでは」の領域を高めていくべきか、
広義の人材戦略がより重要になっていくと思われます。

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(12)

< ロバのパン屋さんは、ストア・ヘイリング?!>

アメリカの「コンジャー」という会社をご存知でしょうか。日本経済新聞の1月
14日夕刊で紹介されていますが、カリフォルニアで昨年11月にアイスクリームの
「ストア・ヘイリング(store-hailing)」というサービスを始めたスタートアップ
企業です。アメリカではこのサービスが大きなブームになりつつあります。

ヘイリングとは「呼びかける」という意味で、ウーバーに代表されるライドシェ
アサービスも、「ライド・ヘイリング」と称されることがあります。

コンジャー専用のスマホアプリで注文すると、すぐに箱型トラックでアイスク
リームの店そのものが自宅の前にやってきます。注文してから平均9分。最短
2分以内で届くそうです。

先ほどの記事を参考にしながら、もう少し詳しく、このサービスにおける顧客
行動の流れを見てみましょう。

・スマホアプリにアカウントとクレジットカード番号を入力する
  ↓ 
・スマホのアプリで箱型のトラックを呼ぶ
   ↓
・トラックが家の前の着いたことを知らせる通知がアプリに入る
↓ 
・トラックのドアロックをアプリで解錠する 

・ 欲しいアイスクリームを取り出してドアを閉める
   ↓
・クレジットに課金される 

といった仕組みです。

前もって商品を指定するわけではないので、誤配送はありません。また、現段階
ではまだ運転手がいますが、顧客との接触は一切なく、近い将来自動運転になる
ようです。

さらに今後は、取扱い商品を調理済み惣菜などに拡大し、西海岸のみならず東海
岸にも進出する予定です。日本、ドバイ、オーストリアなどの海外企業も興味を
示しているとのことです。

皆様は、この事例に対してどのような疑問や感想を抱かれたでしょうか。

「いかにも新しいスタイルのビジネスだなあ!」
「人との接触がないなんて、無機質で、寂しいよ!」
「こんな方法で採算がとれるのかな?」
「なんでアイスクリームなんだ? アマゾンが本からスタートしたように何か
 深い意味があるのかな?」
「そもそもアイスクリームを自宅に届けて欲しい人、そんなにいるの?」
「スーパーやコンビニに勝てるのかな?」
「店が来るというけど昔から日本にはあったよな。ロバのパン屋さんとか、
 富山の薬売りとか、豆腐売りのおじさんとか、・・・。」

とまあ、いろいろな声が聞こえてきそうです。

確かにストア・ヘイリングは、「ヒト」が動かず、「モノ、サービス」のほうから
やってくるという「新天動説」の現象そのものです。では、このコンジャー社の
サービスは、経営戦略の視点から眺めた場合、日本に昔からあるロバのパン屋さん
と、何が違うのでしょうか。

すぐにわかるのは、
・顧客の発注があってから出向く
・発注から決済までヒトが介在しない
・顧客行動履歴の自動蓄積 
が違うという点です。

いわゆるDX戦略の有無が根本的な違いとして浮かび上がります。しかも、現時点
では、これが競争優位性の核になっています。

では、従来の経営戦略領域である、
・全社戦略(パーパス、シナジー、ポートフォリオなど)
・事業戦略(顧客戦略、商品サービス戦略、サプライチェーン戦略など)
・機能別戦略(物流戦略、人事戦略、財務戦略など)
に、「新天動説」時代特有の要素や、従来との違いはあるのでしょうか。

次回以降、「新天動説」時代の経営戦略 と称して、従来と変わらない点、大きく
変わる点について、じっくりと考え、整理することにしましょう。

■ 3. みんなの疑問!?(12)

<相続税の改正が決まったって本当ですか?>

本当です。

Vol.470で、一度取り上げた話題ですが、その時は、噂だけで相続税の改正
は決まっていませんでした。

今回の改正のポイントを簡単にご説明させていただきます。

現行法では、相続により財産を取得した相続人が、被相続人(亡くなった人)
から、 相続開始前3年以内の贈与について、その贈与財産を相続税の課税価
格に加算することになっています。

今回の改正で、それが7年に延長されることになりました。

但し、3年を超えて、7年以内に贈与した財産については、その財産の価額の
合計額から100万円を控除することができるようです。

これらの改正は令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産について適
用されます。

従って、7年間の贈与財産を加算される最初の相続開始年度は、令和13年の
相続となります。令和12年の相続は6年間の加算、令和11年度は5年間の
加算…ということになるわけです。

令和5年度に行う贈与は、加算されることがないので、大いに活用していただ
ければ幸いです。(もちろん、贈与後3年以内に相続が発生した場合は、現行法
により加算されます。)

贈与税の基礎控除110万円は廃止となっていませんので、贈与後、7年以内に亡
くならなければ、110万の基礎控除は生きてきます。

相続税対策の一番は、長生きすることですね。

(今回、相続時精算課税の改正も入っておりますが、いずれご説明させていただ
くことにします。)

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただけ
れば、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。
ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『イノベーションの考え方』清水洋著 日本経済新聞出版

つい最近刊行された日経文庫の本ですが、現時点におけるイノベーション領域の集
大成であり、入門書とも言える本です。とはいえ、かなり高度な水準で、膨大なイ
ノベーションの過去の事例の規則性に触れ、実務的にもすぐに役立つ内容です。

2『ドイツ人はなぜ年収アップと環境対策を両立できるのか』熊谷徹著 青春出版社 

表面だけではない真の環境対策と経済成長を同時に実現するためには、国家、企業、
国民が目的を明確にして意識、行動するのが必要だ、という点が理解できる本です。
SDGsを唱えるだけではなく、施策の成果をシビアに測定する視点も大事でしょう。

3『なぜ理系に女性が少ないのか』 横山広美著 幻冬舎新書 

OECD諸国の中で、理系の女子割合は日本が最低です。「理系女子問題」プロジェ
クトが導き出した重要な理由の一つが「社会風土」と呼ばれるものです。ジェンダー
平等が叫ばれる中、女性と理系の関係を扱った貴重な本だといえます。 

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