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いーかわらばん vol.472

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2022/10/31
  • vol.472

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

「オープンAPI」ー DXの基盤

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(9)

「人を第一に考える経営に徹すること」 

■ 3. みんなの疑問!?(9)

ドラマで「チームビルディング」という言葉が出てきましたが何の事ですか?

■ 1. 時の話題

<「オープンAPI」ー DXの基盤>

電子帳簿保存法の施行が猶予され2024年からスタートすることは、いーかわらばん
の「みんなの疑問」でお話ししました。その前年、2023年10月からはインボイス
制度も始まります。これらは、当面の事務負担の増加もある一方で、日本のDXを
推進する契機になるとの期待もあります。

しかし、DX戦略の推進に寄与するという意味では、もう一つ、2018年6月に施行
された改正銀行法のインパクトを無視するわけにはいきません。

この銀行法改正の中身を簡単に見てみましょう。

まず「電子決済等代行業」を「電子送金サービス」と「口座管理サービス」の二つ
と定義し、その代行業者を登録制とし、利用者や金融機関に対する説明義務、情報
管理義務などが課されました。このことにより、上記の二つのサービスを行うフィ
ンテック企業が公的なポジションを獲得することができるようになります。

そしてもう一つのより重要な点は、銀行に対し、いわゆる「オープンAPI」の体制を
整備し、基準を満たすフィンテック企業と公平に連携することが求められた点です。

APIとは、Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェア、プログラム、
WEB同士を繋ぐインターフェースを指します。そのAPIがオープンになるというこ
とは、あるアプリケーションの機能やデータが、接続された他のアプリケーション
で使えることを意味します。

改正前は、顧客がIDやパスワードをフィンテック企業に提供し、フィンテック企業
が銀行口座にアクセスしていました。したがって、フィンテック企業は、提供された
IDとパスワードの範囲でどのようなデータでも取得可能でした。いわゆる「スクレイ
ピング方式」と呼ばれるものです。

一方「API方式」では、銀行とフィンテック企業のソフト同士が、顧客との契約に
基づいた限られたデータの範囲でリンクしているため、そのデータ以外の提供がな
されることはありません。

その意味では、従来のスクレイピング方式よりもはるかに安全と言えるでしょう。
さらにそこに人の手はほとんど介在せず、自動で行われることになります。

このことの効果は絶大です。すでに普及しているネットショップやバーコードによる
決済、記帳、経費精算、売掛金、買掛金の消し込みなどに関して、リアルタイム&自
動化が、さらに勢いを増して進んでいくと考えられます。

今回の電子帳簿保存法やインボイス制度により、相手先のナンバリング、金額のデジ
タル化がなされることを考えると、適切なルール化により、「日次決算」どころか、
「瞬時決算」も可能となるはずです。その結果、スピーディーな与信と資金調達が実
現します。

この「オープンAPI」は金融だけに限りません。物流、医療、農業などあらゆる領域
に広がることになるでしょう。当然ながらサーバー障害やハッキングによるデータ
流出など、セキュリティリスクは今後の大きな課題となります。

「オープンAPI」の各分野での進展に注目し、合理化効果とセキュリティを考慮しな
がら、しっかりと研究を進めておく必要がありそうです。

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(9)

<「人を第一に考える経営に徹すること」 >

この2回で、「人材育成に関する社会貢献発想」および「バックキャスト人材」の大
事さについてお話をしてきました。特に、「バックキャスト」については、
 「気がつくと、仕事に追われて目先のことしか考えていない」
という状態に陥っている人が多いのが実情です。

ここからは、「バックキャスト人材」の集積には何が必要なのか、数回にわたって考
えてみたいと思います。

結論から申し上げます。私の経験から「バックキャスト人材」の割合が多い企業には、
共通した一つの特徴があると思っています。それは、
「人を第一に考える経営に徹すること」
です。

「人がすべて」「人こそ最大の財産」など人を第一に謳う企業は多いのですが、それ
に徹しているか、というと疑問を感じることがしばしばです。その疑問は主として二
つです。

一つは、「人を第一に」と言う場合の「人」とは、何を指しているかという疑問です。

この場合の人は、「一人ひとり」です。部署でもチームでもありません。また、現場
からトップ陣まで、パート・アルバイトから正社員まで、場合によっては外部まで、
すべての「一人ひとり」です。人格の構成単位である「一人ひとり」にしっかりと焦
点を当てて「観る」ことをしない限り「人」を第一に考えたことにはなりません。

二つ目の疑問は、「徹する」です。

「徹する」のですからすべての場において、人が第一でなければならないはずです。
なのに、会議において最初に「数字」を検討しています。戦略書は「事業」が先にき
ています。結局、「人を第一に考える経営」にはなっていない!と私の目には映り
ます。

では、なぜ「人を第一に考える経営に徹すること」が「バックキャスト人材」の集積
につながるのでしょうか。

私は、研修を含めた多くの方々との話し合いを通じて、「バックキャスト」は、最終
的に「一人ひとり」の
 1 「観」(人生観、仕事観、世界観、価値観・・・)
 2 「志」(意志、初志、闘志、大志、・・・)
の二つを強く反映しているなあ、とつくづく感じます。

上記の1は、
「自分の人生において、仕事はどのような意味を持っているのだろう?」
「自分は、何のために仕事をしているのだろう?」
といった種類の自問自答を深めていくことによって生まれてくるものです。

また、上記の2は、
「仕事で、自分を突き動かしているものは何だろう?」
「自分はどのような貢献に喜びを感じて仕事をしているのだろう?」
といった種類の自問自答を深めていくことによって生まれてくるものです。

そしてこれらのことを突き詰めると、「一人ひとり」の
 A 好きなこと(愛着を感じること、喜びを感じること・・・)
 B 得意なこと(優れていること・・・)
 C 必要とされていること(求められること・・・)
 D 何か(名声、お金・・)を得られること
のどこかの交差点に、その人のバックキャストの姿が存在しています。

よく考えてみれば、「観」「志」「A〜D」は、「一人ひとり」の人生、考え方、
個性(独自性)そのものではないでしょうか。そして、本人も周りもこれらを心の
底から大事にし、第一に考える姿勢に徹しない限り、バックキャストが生まれるは
ずがありません。

裏返して言うと、バックキャストの発想や行動が乏しいということは、
・「観」や「志」を真剣に突き詰めていないか、
・A〜Dに自信が持てないか、
・そもそもそれらを大事にしていないか、
そのいずれかなのでしょう。

ここに、「バックキャスト人材」を集積するためのヒントがあります。次回以降、
「人を第一に考える経営に徹する」ことと「バックキャスト人材」の集積とのつ
ながりについて、さらに深めていくことにしましょう。

■ 3. みんなの疑問!?(9)

<ドラマで「チームビルディング」という言葉が出てきましたが何の事ですか?>

ドラマでも、その名詞が出てきましたか。
プロジェクトチーム、チームワーク、ワンチーム、チームビルディングなど、
「チーム」とつく単語は世の中にたくさんあります。

上の単語をつなげてご説明しますと、プロジェクトチームでプロジェクトを成功
させるためには、チームワークを創り上げ、ワンチームになって成果を出す。
これが、チームビルディングです。

チームビルディングには、メンバー「一人ひとり」が主体性を持ち、それぞれが違う
スキルや能力を最大限に発揮できるような組織づくりをすることが含まれています。
まずは「一人ひとり」が基本です。

では、なぜ、チームビルディングが重要と言われているのでしょうか。
IT技術、AIなどは、日に日に進化しています。
高度な技術などに対応しつつ、社会に適応していくなど、個人ができることに
は限界が生じてきました。
複雑で多岐にわたる課題に対応していくため、それぞれ違った能力を持つメン
バーが集まり、個人では達成できないことをチームの力で達成しようとしてい
るのです。そのために、企業ではチームを積極的に活用しています。

但し、チームビルディングは一朝一夕にできるものではありません。

心理学者のブルース・W・タックマンがタックマンモデルを提唱しました。
組織の成長の段階を、結成から解散に至るまで、組織の状態に応じて、
・形成期(Forming)
・混乱期(Storming)
・統一期(Norming)
・機能期(Performing)
・散会期(Adjourning)
の5つのステージに分けています。

プロジェクトチームの目標が達成できるかどうかは、そのチームが今どの状態に
あるかを見極めるのが重要となってきます。

いーかわらばんvol.465の「今月のおすすめ3冊」でご紹介した、
『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』
に書かれている、チームを作る4つのステージ
・ステージ1 命令型
・ステージ2 指示型
・ステージ3  投げかけ型
・ステージ4  サポーター型
のリーダーが取るべき方法がぴったと当てはまるような気がしています。

プロジェクトチームを発足したけれども、うまくいっていないという場合、タックス
マンモデルのどの状況にあるか一度考えてみる必要があるのではないでしょうか。

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただけ
れば、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。
ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『亀裂 』 高橋篤史著 講談社 
 副題は「創業家の悲劇」となっています。ユニバーサルエンターテインメント、
 ロッテ、大塚家具、大戸屋、セイコー、国際興業、ソニー、ゲオの8つの有名企
 業の創業家がどのような道を辿ったか、迫真のドキュメンタリーです。 

2『THE HEART OF BUSINESS』 ユベール・ジョリー著 英治出版 
 著者は、アメリカ最大の家電量販店ベスト・バイの前CEOです。帯にあるソニー
 元社長平井氏の「何をいまさら、と思うかもしれない。だが私たちは、人を大切
 にすることの本気の実践と並外れた成果をまだ知らない。」との言葉に尽きます。

3『中二階の原理』 伊丹敬之著 日本経済新聞出版
 日本屈指の経営学者である伊丹氏は、ひらがなや天皇制など、日本の社会空間は
「中二階」によって支えられ、豊かになったとしています。そして、その原理を経
 営戦略や組織マネジメント、市場システムに持ち込んだ大変ユニークな本です。

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いーかわらばん
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