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いーかわらばん vol.470

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2022/08/31
  • vol.470

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

デジタルツイン

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(7)

「人」は天下の回りもの?!

■ 3. みんなの疑問!?(7)

贈与税の基礎控除「110万円」が廃止されるって噂、どうなりました?

■ 1. 時の話題

<デジタルツイン>

「DX戦略」があらゆる企業において必要不可欠な時代を迎えました。
その戦略の中核をなすのが「デジタルツイン」だと言われています。

デジタルツインとは直訳すれば「デジタルの双子」、現実世界のデータ
をそのまま仮想空間に再現する技術のことです。現実世界が再現されて
いるという点で、実際には存在しない空間を構築しているメタバースと
は、厳密には異なる概念です。

では、なぜ、デジタルツインがDX戦略の中核となるのでしょうか。

さまざまな効果がありますが、最も重要な点は、あらゆる分野において、
低コストで、迅速に、仮説や計画という不確実な未来への精度をレベル
アップさせることができる、という点ではないでしょうか。

従来は、PDCAという言葉のとおり、計画を立てて、実行してみて、
初めて検証が可能となりました。しかし、実際に行わなくても、デジタ
ルツインの中だけで、PDCAがハイレベルで完結するのです。

現在デジタルツインがいちばん進んでいるのは製造業ですが、たとえば、
新工場を建てたり、新しい機械や設備を導入した場合の効果や問題点は、
スピーディにかつ正確に、デジタルツイン上で確認でき、それをフィー
ドバックして、よりレベルの高い計画を、再度作成することができるよ
うになってきています。

また、「バーチャル・シンガポール」では、シンガポールという国土を
丸ごとデジタルツインに再現し、都市計画や交通機関のあり方などに活
用しようとしています。

デジタルツインと収集すべきデータのあり方、プラットフォームとの
連携など、DX戦略との関連は奥深いものがあります。詳しくは、少し
先になりますが、『山崎発「新天動説」への幕開け』の中でじっくり
と検討することにいたします。

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(7)

<「人」は天下の回りもの?!>

前回まで、人材シェアリングについて、人材側と人材を活用する企業側に
分けて、主に理念的、心理的側面から重要な点を整理してみました。

今回と次回は、人材シェアリングから派生する社会的、教育的側面につい
て考えてみたいと思います。

日本の人材レベルが世界の先進国からかなりの遅れをとっていることは、
多くのデータから明らかになっています。それらを踏まえて、政府もリスキ
リングなどに予算を投じようとしていますが、それを実現するための基本的
な考え方にまだまだ問題があるように感じます。

根本にある大きな問題は二つあると私は考えていますが、今回はその一つ、
企業側の「人材育成に関する社会貢献発想」の欠如について整理してみま
しょう。

まず、「人材育成」と言っても社員一人ひとりがその気にならなければど
うしようもないことですので、むしろ「成長環境づくり」といった方がよ
り正確です。

また、社会貢献というと奉仕活動等を思い浮かべることが多いかもしれま
せんが、ここではそういった意味ではありません。

 「せっかく育成に時間やエネルギー、コストをかけても、辞められてし
  まっては意味がないよ・・・」という狭い考え方から抜け出して、
  「成長環境づくり」は全体の人材レベルを押し上げることにつながる、
   社会資本の増強なのだ、という大局的な見方

を、ここでは社会貢献と考えています。言い換えれば、人材の囲い込み、
抱え込みからの脱却した、「オープン人的資本」の発想です。

人材流動性の観点から見てみますと、かつて典型的な日本的経営といわれた
終身雇用は人材の流動性はゼロでした。一方で、ずっと述べてきた人材シェ
アリングは、それが実現されている範囲に限れば、人材流動性が100%に近
い状態になっています。

人材側はその卓越した能力を世界中の企業に提供できる、企業側は世界中の
優秀な能力を活用することができる、このような人材流動性の高さが、実は
両者のレベルをさらに向上させます。

これは、人材側から見れば多くの企業が、企業側から見れば多くの人材が、
自分の周りを回っているというまさに新天動説の姿です。

「金」だけでなく「人」こそ「天下の回りもの」になっているのです。

そしてそのためには、家庭、学校、企業、政府が一体となって、目一杯の成
長環境づくりを実現することが要求されるでしょう。労働基準法をはじめと
した法改正も必要かもしれません。

松下幸之助氏が語ったといわれる、
「松下電器は人をつくっています。電気製品もつくっていますが、その前に
まず人をつくっているのです。」
という言葉を、今の私たちはもう一度、噛み締める必要があるのではないで
しょうか。

次回は、根本にあるもう一つの大きな問題、人材側の「バックキャスト発想」
について考えてみます。

■ 3. みんなの疑問!?(7)

<贈与税の基礎控除「110万円」が廃止されるって噂、どうなりました?>

現段階では、法律では決まっていません!

現在、贈与税の基礎控除が110万円で設定されています。
ほとんどの方はご存じだと思いますが、贈与税の税額計算について簡単に算式を
記載しておきます。

(その年分の贈与財産の価額の合計額-110万円)×税率-控除額

上記の110万円の基礎控除がなくなるのではないかと、ずっと話が出ていまし
たが、今のところ、確定ではないようです。

なぜ、こういう噂が立ったのでしょうか。

それは、令和3年の税制改正大綱の基本方針で、相続税・贈与税の一体課税に
ついてうたわれたからです。

これは、次世代への移転時期を問わず、トータル的に支払う税金は同じ体制に
しようというものです。贈与しようが相続であろうがどうせ税金が同じであれ
ば、意思 が反映できる贈与を早めに実施しようという誘因が高まります。

お金の必要な若い世代に、高齢者の貯蓄財産を移転し、若い世代が使うことで
経済を活性化しようという考えです。

具体的には、110万円の基礎控除廃止と共に、過去の贈与財産を相続財産に
加算するという方法になるでしょう。

現在、日本の相続税法では、亡くなった日以前3年以内に贈与された財産は、
相続税の財産に加算して計算することになっています。

それを、ドイツ方式の10年さかのぼる方法、フランス方式の15年さかのぼる
方法などを採用し、相続税で精算する方式に移行するのではないかと予測され
ています。

今後時間をかけて検討すると言われていますので、改正までにはまだ若干余裕
があると思います。

改正までは、110万円の基礎控除を有効活用しつつ、様子を見ていただければ
と思います。

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただけ
れば、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。
ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『リーンマネジメントの教科書』 細野真悟著 日経BP
副題は「あなたのチームがスタートアップのように生まれ変わる」となっています。
新しい未知の世界へ飛び出す新規事業は、既存事業とは根本的にマネジメントの手法
が異なります。どのように周囲を味方につけて成功に導くか、その道筋を学ぶ本です。
 
2『ジェフ・ベゾス』 ブラッド・ストーン著 井口耕二訳 日経BP
副題にあるとおり「忖度無しのAmazon物語」です。いかに失敗と成功を繰り返して
今日に至っているかを、赤裸々に記してあります。翻訳本なので若干の読みにくさは
ありますが、大いに参考になります。
  
3『顧客起点の経営』 西口一希著 日経BP
3年前にベストセラーとなった『顧客起点のマーケティング』の著者による第2弾
です。「顧客の立場に立つ」とは、どのような視点で何をすることなのか、社内で
具体的な仕組みを構築する際にぜひとも活用したいノウハウが詰まっています。
 

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