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いーかわらばん vol.469

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2022/06/30
  • vol.469

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

人的資本

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(6)

独自の “魂” 部分に対する二つの執念

■ 3. みんなの疑問!?(6)

「女性活躍」のために、年度末に忙しそうにしていた取引先がありましたが、何かあるんですか? 

■ 1. 時の話題

<人的資本>

最近、「人的資本」(Human Capital)という言葉が新聞紙上を賑わせることが多く
なりました。

少し前には「人的資源」(Human Resource)と言われていたのですが、「資源」が
「資本」に変わり、人が持つスキル、考え方、ノウハウ等を蓄積し、価値を生み出
す源泉とする視点が強くなりました。2023年度にも、上場会社は有価証券報告書に
その内容の一部の開示が要求されることになりそうです。

この背景には、国際的、国内的に二つのきっかけがあったように思います。

一つは国際的側面で、「ISO30414」です。

これは、2018年12月に発表された「社内外に対する人的資本の情報開示のガイドラ
イン」のことで、11領域49項目が定められています。

もう一つは国内的側面で、令和2年9月に経済産業省から発表された、
「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書
   ~ 人材版伊藤レポート ~ 」
(https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kigyo_kachi_kojo/pdf/20200930_1.pdf)
です。

ここには、「変革の方向性」と題して6つのポイントが記されています。その中でも、
1 人材マネジメントの方向  人的資源管理から人的資本価値創造へ
2 アクション        人事から人材戦略へ
3 イニシアティブ    人事部から経営陣へ
の三つは、極めて重要だと思います。

1は、人材を「コスト」から「投資」へと変換させる施策が必要となりますし、2は、
CHROの役割がより高度になります。また3はより高度になったCHROが、他のCXOを
巻き込んで人的資本に関する戦略立案、実践の筆頭であることを示しています。

この機会に、企業規模の大中小を問わず、経営戦略とその振り返りにおいて、人的
資本関連のKGIやKPI、あるいはマテリアリティ(重要課題)、KSFをいかに織り込
むべきか、しっかりと整理していただくことをおすすめいたします。

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(6)

<独自の “魂” 部分に対する二つの執念>

今回は、前回記しました「共感、感謝心」を前提として、人材を活用する企業側の
「深いマインド」について整理してみましょう。

「新天動説」における人材シェアリングの世界では、高度なスキルを持っている(と
思っている)人が、数多く企業の外側に存在しています。その人たちの力を最大限
に活用して、企業が実現したい成果を生み出すためには、何が必要とされるのでし
ょうか。

ここでは、必要不可欠な「二つの執念」に絞り込んでお話をいたします。

一つ目は、会社の根本的な考え方(理念)や戦略等を外部の人材と共有すること
についての執念です。

もう一度、数回前に掲載したある上場会社の幹部の”つぶやき”をみてみましょう。

・・・弊社ではSDGsの特別チームを作り、外部から何人かの著名なプロも呼んで、
かなりの時間を割いて活動をしてきたんですが、最近 ”SDGsごっこ” をしている
ことに気がつきました。本当の意味で弊社独自の”魂”が入っていないんですよ。
カタチはきれいですが、うわ滑りしているんです。プロの方々の進め方にも問題
はあったのかもしれませんが、我々の会社の側に、プロの力をギリギリまで活用
して成果を出す、という熱意や執念、基本的な考え方が確立していなかったよう
に思います。 ・・・

専門的なスキル(上記の例ではSDGsに関する具体的なノウハウ)の提供は外部に
任せるにしても、そのスキルの活用の先にある目的や、自社における戦略的な位置
付けなど、根幹の部分については、社内で深く検討し、明確な指針として、外部の
人材との間で徹底的に共有を図るべきです。

上記の言葉を借りれば、自社独自の”魂”の部分を共有することに執念を持つべき
です。

そして、二つ目は、その独自の ”魂”の部分について、企業側がプロの人材を常に
リードする存在であることに執念を持つべきだという点です。プロの人材はあく
までも活用する対象であって、成果を生み出し思いを実現する主体は企業側なの
です。

プロ的スキルがあるからといって、その人たちに「従う、任せきりにする」のは
もってのほかで、常に彼らと議論をして、企業側が目指すレベルがほんとうに
実現できるか、とことんチェックすることを怠ってはなりません。

以上、人材を活用する側の「深いマインド」について、必要不可欠な二つの執念
に絞って記しました。まとめますと、

1 企業の”魂”の 部分を共有することについて、執念を持つこと
2 その ”魂”の 部分については、実現主体である企業側が、活用する人材側を
  常にリードすることに執念を持つこと

の二つになります。

次回以降は、人材シェアリングから派生した次のテーマに重点を移して、
「新天動説」の時代にみられる変化とその対応について考えてみることにしま
しょう。

■ 3. みんなの疑問!?(6)

<「女性活躍」のために、年度末に忙しそうにしていた取引先がありましたが、何かあるんですか? 

年度末に忙しそうにされていたのは、労働者数が101人以上300人以下の
会社の総務・人事の方々だったのでしょう。

2016年に「女性活躍促進法」が施行され、常時雇用する労働者数が301人
以上の事業主に、女性活躍の行動計画を策定・公表するように義務付けて
います。
(常時雇用する労働者数とは、パート・契約社員等名称に関わらず、無期
雇用、1年以上引き続き雇用されているもの、1年以上引き続き雇用される
と見込まれるものを含みます。)

それが、2022年4月1日より、労働者数101人 以上300人以下の一般事業主
にも行動計画の策定・届出等が義務化されました。

簡単な流れをご説明しますと、
1. 女性労働者の「活躍状況の把握」と「課題分析」
2. 行動計画を「策定」→「社内周知」→「外部公表」
3. 東京労働局に策定届を「届出」→「情報の公表」

下記、厚生労働省のHPに「行動計画策定支援ツール」についてという項目の中に
一般事業主行動計画策定入力支援ツールがありますので、簡単に作成可能となって
います。

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/kyoku_oshirase/_120743/jokatu.html

今迄の傾向から、2~3年後には、労働者数51人以上の一般事業主にも行動計画の
策定・届出等が義務化されるのではないかとにらんでいます。

今から少しずつ取り組んでいかれると慌てることなくスムーズに進むと思います。
また、事業規模に関係なく、労働者人口が減る中で、女性をいかに活用できるかが
企業の力に比例していくものと思われます。

これを機会に、「女性活躍促進」に取組んでみられてはいかがでしょうか。

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただけ
れば、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。

ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『DX CX SX』 八子知礼 クロスメディア・パブリッシング
関西経済同友会でDX戦略委員会の副委員長を仰せつかることになり、慌てて
読んだ本の一つです。DXは手段ですので、その目的である顧客満足、全体最適、
新たな価値創造など、経営との関連がしっかり書かれていて秀逸だと思います。

2『コトラーのマーケティング5.0』 フィリップ・コトラー他 朝日新聞出版
2009年の「マーケティング3.0」2016年の「同 4.0」に続くコトラーの緊急提言書。
人間中心の3.0とデジタル中心の4.0を統合した5.0のテーマは、Z世代とアルファ
世代にいかに対応するかを含めた、最新テクノロジーの活用戦略です。

3『ブルーオーシャン戦略』 W.チャン.キム他 (新版は)ダイヤモンド社
競争を不要とする戦略について記した17年前の本をあらためて読み返しましたが、
やはり素晴らしい! 2015年には新版が出ています。ただ。成功例のシルク・ドゥ
・ソレイユが経営破綻したことは、環境対応の難しさを物語っていると感じます。

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いーかわらばん
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