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いーかわらばん vol.468

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2022/05/23
  • vol.468

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

心理的安全性

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(5)

最も大事な「深いマインド」・・・共感とその奥にある感謝心

■ 3. みんなの疑問!?(5)

労務領域で何か漏れていないか心配です。近々改正されるものってありますか?

■ 1. 時の話題

<心理的安全性>

皆様から、かつての「時の話題」をカムバックして欲しいとの要望を複数
いただきました。そこで、ここ数年(いーかわらばんを休刊していた時期
を含めて)話題となっているビジネス上のキーワードについて、簡単な説
明を加えるコーナーを復活させていただくことにしました。よろしくお願
いいたします。

今回は、「心理的安全性」という、どこかで聞いたような、しかし難しそ
うな言葉を取り上げます。

心理的安全性とは、誰もが安心して発言や行動ができる職場環境のことを
言い、「サイコロジカル・セーフティ」の日本語訳です。

もともと。ハーバード大学のエドモンドソン教授によって、1999年に提唱
された組織行動学の理論ですが、Google社が2012年から4年間にわたって
実施した生産性向上のための「プロジェクトアリストテレス」が発表した
研究成果がきっかけで、一躍脚光を浴びるようになりました。

心理的安全性の高い職場では、そうでない職場に比べて生産性、情報の共
有度、やりがいなどが高まり、イノベーションも頻繁に生まれ、結果とし
て社員の定着率も高くなります。

一方で、心理的安全性が低い場合には、無知だと思われる不安、無能だと
思われる不安、邪魔だと思われる不安、否定的だと思われる不安という
4つの不安に駆られることになります。

心理的安全性をもたらす職場を作り上げるためには、お互いの意見を尊重
する、感謝心をもつ、素直に弱みを見せるなどといった職場風土を醸成す
ることが必要です。

具体的には、雑談の場の確保、1on1ミーティング、OKR(*)の個人へ
の落とし込み、評価方法の見直しなど、多岐にわたる人事の仕組みが要求
されることになります。

日本でも、多くの企業が組織目標として取り入れ、特にコロナ禍以降、
取り組みが加速しています。

3月の「今月のおすすめ3冊」で紹介いたしました『多様性の科学』も心理
的安全性と深く関連する書籍ですが、アマゾンのサイトで「心理的安全性」
について検索をすると、7、8冊がヒットします。

この機会に、ぜひ研究を進めてみてください。

(*)OKRとは、Objectives and Key Resultsの頭文字をとったもので、KGI、
KPI、KSFと並んで、戦略目標の実現に重要な概念のひとつです。

■ 2. 山崎発「新天動説」への幕開け(5)

<最も大事な「深いマインド」・・・共感とその奥にある感謝心>

前回は、「マインド」の深さが要求されるのは、人材側はもちろん、その人材を
活用する企業側にとってより重要だという点についてお話をいたしました。

そして、私が20年以上ずっと唱えて来た、

・デジタルを駆使したアナログ勝負の時代
・バーチャルを駆使したリアル勝負の時代
・ハイテクを駆使したハイタッチ勝負の時代
(『あなたの会社、次世代大丈夫ですか?』の82ページをご参照ください。)

に付け加えて、「新天動説」の時代には、もう一つ、

・「高いスキル」を駆使した「深いマインド」勝負の時代

という、「原点回帰」を目指したフレーズを提示しました。

もちろん、「原点回帰」ですので、これらは決して「新天動説」に特有のもの
ではありません。しかし、人材シェアリングを通じて「高いスキル」が普及す
ればするほど、より「深いマインド」が、競争優位性の源泉として浮き彫りに
なるのではないかと思います。

では、「深いマインド」とは何でしょうか。それこそ、「深く」かつ「広い」
ものですので、一言で言えるはずもありません。

ただ、人材側も、人材を活用する企業側も、「高いスキル」を実りあるものに
するために、最も重要なものを一つだけあげよ・・と言われたら、私は、

・共感とその奥にある感謝心

だと答えます。また、共感をあえて算式にすれば、

・共感 = 感情移入 + 自己客観視

と表現できると考えています。

共感するためには、まずは感情移入、すなわち自分の気持ちを他人の気持ちに
移し入れる、要は他人の気持ちがわかる、想像できる力が必要なことは言うま
でもありません。

一方、自己客観視とは、相手の立場に立って自分を客観的に適切に観察するこ
と、「自分で自分がきちんと見える」ことです。

では、共感するためには、人の気持ちがわかるだけではなく、なぜ、「自分が
見える」ことが必要とされるのでしょうか。そこには、避けて通れない重要な
視点が4つあります。

第一に、自分だけで相手に共感できていると思っても「おめでたい」だけで、
相手に「自分のこと、わかってもらっている」と感じてもらえなければ話にな
りません。それができているかどうか、できていないとしたらどこに問題があ
るか、と言った本能的なチェックが自己客観視です。

二つ目に、人は「自分のことをわかってくれている」と思った瞬間、嬉しさ、
喜びを感じるのが一般的なようですが、それも人によって違いがあるでしょう。
その嬉しさを本当に感じてくれているのか、その本能的な見極めが自己客観視
です。

三つ目に、お互いの気持ちが分かり、嬉しいことは大前提ですが、それだけで
お互いの成長につながるわけではありません。そこから先の成長があるかを本
能的に感じ取る力が必要になります。これも自己客観視です。

最後は、上述しました、「お互いにわかり、嬉しく感じ、成長する」という、
共感の奥底にあるのものを突き詰めていくと、そこに何があるかという点です。

それは、私がずっと「真の向上心の連鎖」と言ってきました、

真の向上心 ≒ 貪欲さ ≒ 好奇心 ≒ 謙虚さ ≒ 素直さ ≒ 気づき ≒ 感謝心
(『あなたの会社、次世代大丈夫ですか?』の102ページをご参照ください。)

という算式の終点に位置する「感謝心」だと思っています。

感謝心こそが共感を生み出す源泉であるとともに、共感の結果としてレベルア
ップするのもまた感謝心だと思います。自分の感謝心を見極め、自身の成長を
もたらしていくかを確認するところにこそ、自己客観視の必要性があるといっ
てもいいでしょう。

そして注意すべきは、いずれも「本能的」あるいは共「感」、感謝「心」と表
現されているということです。「理屈」「論理」ではなく「心の持ちよう」、
「感じ方」の問題だという点です。まさに「マインド」と呼ぶ領域であること
が伺えます。

今回は、新天道説の時代に、人材側、人材を活用する側の双方において、より
重要性を増す「深いマインド」のほんの一部について考えてみました。次回は、
この共感、感謝心を前提として、人材を活用する企業側の「深いマインド」に
ついて深く考えてみましょう。

■ 3. みんなの疑問!?(5)

<労務領域で何か漏れていないか心配です。近々改正されるものってありますか?>

vol.466でご紹介した、パパ育休も2022年10月施行でした。
その他、事業規模によって改正に注意しないといけないものがあります。

2022年10月から、従業員数101人以上の企業について、パート・アルバイトの
方の社会保険の加入が義務化されます。

まず従業員数の判定ですが、
フルタイムの従業員数 + 週労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員
(パート・アルバイトを含みます)となります。
この算式で101人以上となった場合、下記4つの要件を満たすパート・
アルバイトの方が対象となります。

◆新規加入対象者
1.週の所定労働時間が20時間以上
2.月額賃金が8.8万以上
3.2か月を超える雇用の見込みがある
4.学生ではない

10月まで、まだ期間がありますので、従業員数101人以上の企業様で、上記対象となる
従業員がいる場合には、本人への意思確認と、その上での雇用条件の変更など、整備する
必要が出てきます。

うちは、100人も従業員がいないから、関係ないや!
と、お思いになられた方もいらっしゃるかもしれません。

2024年10月、2年後には従業員数51人以上の企業にも適用されるので、
頭の片隅にでも記憶をとどめておいてください。

備えあれば憂いなし、早めのご準備をよろしくお願いします。

■ 4. 今月のおすすめ3冊

このコーナーでは、山崎が最近読んだ書籍の中から、皆様にも目を通していただけ
れば、と感じるものを3冊選んで掲載いたします。

ネット上に多くのレビューがありますので、解説は最小限にとどめます。
また、最近の出版物だけではありませんが、ご了承ください。

1『コロナ後の未来』ユヴァル・ノア・ハラリ他 文春新書  
 2年前の7月に発刊された『コロナ後の世界』の続編です。各分野において高い
見識を持つ人たちへのインタビューという形でまとめられています。コロナ後の
世の中がドラスティックに変化する、その方向性を整理するために大いに参考
となる本です。
 
2『見えないものを見る力』大平浩二 PHP研究所 
実体経済と金融経済との乖離が歪みを生じさせ、経営者に思想・哲学が消えて
いく現在。もう一度、目に見えないものの大切さ、気づきのプロセスの大事さ
を確認し、実践すべきである、という経営学者である著者の強い思いが聞こえ
てくる本です。
    
3『永守流 経営とお金の原則』永守重信 日経BP
MBAで学ぶような経営や財務ではなく、永守氏の信念と実践からほとばしり
出る「リアリティ経営」を感じる本です。赤字企業は1円でも永守氏の決済が
必要、あるいはコピー用紙や名刺にまで徹底してコスト低減を図るなど「肝」
が見えてきます。最後にある後継者選びの難しさも今回の交代劇でわかります。

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