いーかわらばん vol.349
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2008/12/15
- vol.349
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
「背伸び会」と「かがみ会」
■ 2. 山崎発、経営を考える
効用的修羅場の買いつけ(その18)・・・まず「経営トップ」の真剣な姿!
■ 3. 今月の本棚
『カスタマイズの法則』 富澤豊著 日本実業出版社
■ 1. 時の話題
<「背伸び会」と「かがみ会」>
前々回の「時の話題」で、中国の馬雲氏の、
ほかの企業が一方向へ前進している時は、少し戻ってみる
過熱している時は冷静になってみる
皆が大声で語る時は声を潜める
そして皆が元気を失った時に飛び出す
という日本経済新聞に記載された言葉を掲げたところ、何人かの経営者の方から
反響があり、いろいろな議論をさせていただきました。
「これができればいいけど、なかなかできないなあ・・・」
「これができるのは本当に強い会社だね」
「考えてみれば、悪いときに飛び出すのが一番合理的だよな、お金さえあれば・・・」
「こういった逆説の発想こそ大事なんだろうな」
「これこそプラス発想の基本だよ」 等々
ところで、かつて東証に上場したある会社の創業者から、堅実な上場会社の仲間
10人程度と、密かに「背伸び会」という勉強会を作っていたという話を聞いたことが
あります。
そこでの基本的な考え方は、
成長するには、必ず背伸びが必要! ただし、決して足を地面から離すな!
ということで、お互いにお互いをチェックする場でもあったようです。
その「背伸び会」のもうひとつの特徴は、その勉強会に裏の名称があることでした。
それは、「かがみ会」。
これは、「背伸び」に対して「屈む(かがむ)」という反対の言葉を示していると同時に、
自分を見る客観的な目を持つために、「鏡」という意味も持たせた名称だったそうです。
そして興味深いのは、 その時々で、その会の名称が変わるということ、ある時は
「背伸び会」、またある時は「かがみ会」。しかもその「ある時」とは・・・。
なんと好景気のときに「かがみ会」、不景気時に「背伸び会」なのです。
馬雲氏の考えと共通のものを感じないわけにはいきません。
ゴルフであれ、テニスや野球であれ、それなりのショットをするには、「ため」が必要
だと言われます。
不景気に背伸びができるためには、好景気時の「ため」=「かがみ」=「準備」こそが
大事なのですが、厳しい時代だから、と、じっと我慢をするのではなく、こういったプラス
発想、逆説発想を前面に押し出して、積極的にしかける姿勢こそ、今、経営者に要求
されることではないでしょうか。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<効用的修羅場の買いつけ(その18)・・・まず「経営トップ」の真剣な姿!>
前回は、成長を促す「風土」の要件は、
①強い向上心、挑戦意欲を持った人間
②師と仰ぐことができる一流の人間の存在
③それを踏まえて実践と体得を試みる仲間
を、どれだけ多く周囲に集めることができるかである、この①②③を満たすために、
どういったことを仕掛けていけばいいのかが、課題であることを申し上げました。
実は「仕掛け」といいながら、テクニック的なことよりも、一番大事なのは、
何と言っても「経営トップ」です。
まず経営トップが、上記①②③を満たしているかどうか、が問われます。
すなわち、
①経営トップ自身が強烈な向上心、挑戦意欲を持っているか、
②経営トップ自身が、真に一流の人間と言われるべく真剣に努力しており、
その周辺に師と仰ぐ一流の人間がどれだけ多くいるか、
③経営トップの周辺に実践と体得を試みる仲間がどれだけいるか
を謙虚に反省してみるとともに、その質と量が、年々すごい勢いで増していなければ
ならないのです。
もうひとつ、経営トップ自身が、「種→芽→花→実」を実践し、その実践してきたプロ
セスを、他人の心に響くように語る、大げさにいえば、他人の魂に訴えかけることが
できなければなりません。
魂といった強烈な表現をする理由は、トップが自己満足的に、あるいは表面的に
語っていてもダメであって、他人の心に沁み入る真剣さが要求されるからです。
私の知る限り、経営トップが上記のような要件を満たしていない会社なのに、その
会社の風土がきわめて成長意欲が高い、という状況に巡り合ったことがありません。
あたりまえですが・・・。
繰り返しますが、まずは「経営トップ」です。経営トップが、上記①②③を満たし、
自分自身の「種→芽→花→実」を他人の魂に語りかけることができるか、です。
できれば、上記①②③を手帳にでも書き出してみてください。
あるいは、自分の実践してきた「種→芽→花→実」を文字にしてみてください。
そして、それが10年前と5年前、3年前、今とで、すごい勢いでレベルアップしているか
どうか、ぜひ振り返ってみてください。
まずは、自分自身が「それなりにすごい!」と実感できなければならないと思います。
次回以降、その次の段階の仕掛けについてお話をしますが、経営トップが上記の
要件を満たしていなければ、あるいは少なくともその部分で、真剣な努力をしていな
ければ、次の段階へ行く資格はないだろうと思います。
■ 3. 今月の本棚
<『カスタマイズの法則』 富澤豊著 日本実業出版社>
マーケティングの理論書でカスタマイズを取り扱うケースはそこそこありますが、
身近なロングセラー商品を例に挙げながら、このテーマを切り口として取り上げた
本は、それほど多くないように思います。
「買い換え」は愛着をリセットすることだ、という考え方をもとにして、カスタマイズ
する人間の心の奥底にまで踏み込んだ、面白い本です。
第1章 人はなぜカスタマイズしたがるのか
第2章 カスタマイズする人間の本能
第3章 カスタマイズする製品とそのまま使う製品
第4章 ごはんで考えるカスタマイズのパターン
第5章 サービス業のカスタマイズ
第6章 カスタマイズ製品の必要条件
第7章 行き過ぎたマーケティングはロングセラーを育まない
という合計7つの章から構成されています。
そのうち第3章では、マクドナルドと吉野家というポピュラーな二つのチェーン店を
あげ、ほとんどカスタマイズしないで食べるハンバーガーと、「ツユだく」「ツユぬき」や
卵、とうがらしなど、さまざまにカスタマイズして食べる牛丼とを比較分析しています。
また、第4章では、「ごはん」を究極のカスタマイズ商品と位置づけたうえで、
・ おにぎり型
・ 牛丼型
・ 炒飯型
の三つのカスタマイズのパターンに整理し、さまざまな商品がどのパターンに属し、
どのような特性を持っているのかを整理しています。
われわれに、なじみのさまざまな商品を、「カスタマイズ」という視点で考えてみるには、
大変ためになる一冊です。
■ 4. おしらせ
12月27日(土)から1月4日(日)まで、年末年始休暇とさせて頂きます。
従いまして、新年第1号のいーかわらばんにつきましては、1月8日(木)
の配信とさせて頂きます。
尚、年内は12月25日(木)の配信が、本年最後のいーかわらばんです。
どうぞ宜しくお願い致します。
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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