中堅・中小企業の発揮能力最大化支援

㈱トップ支援 03-3256-4101
㈱アウトオフィス 06-6300-1787

メールでのご相談はこちら

いーかわらばん vol.301

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2007/12/06
  • vol.301

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

ヴェネチアン・マカオ・リゾート

■ 2. 山崎発、経営を考える

修羅場の効用(その5)・・・予想因果関係を持っても修羅場は訪れる!

■ 3. 今月の本棚

『撤退の研究』 森田松太郎 杉之尾宜生著 日本経済新聞出版社

■ 1. 時の話題

<ヴェネチアン・マカオ・リゾート>

2006年度のマカオのカジノ収入は70億ドルに到達したといわれています。
ラスベガスのカジノ収入が約66億ドルですから、あっという間に追い越してしまった
ことになります。

その象徴的なできごとが、2007年8月28日のヴェネチアン・マカオ・リゾートのオー
プンです。知る人ぞ知る、ラスベガスの巨大カジノ資本が、24億ドル(約2,800億円)
を投資してできただけあってその規模も想像を絶するものです。

まずカジノ場の面積ですが、約50万平方メートルに及びます。東京ドームの面積が
客席まで入れて5万平方メートルですから、その大きさは推して知るべしというところ
でしょうか。

そこに、カジノテーブル1,000台と3,000台を超えるスロットマシーンが居並びます。また、
ホテルはすべてスウィートルーム仕様で、当初1泊1,200香港ドルだったものが時期に
よっては2,000香港ドルくらいにまで上昇してきているとのことです。

高層のホテルと隣接している低層の建物には、超豪華ショッピングモール、国際
会議場、サーカス劇場などがあり、15,000人収容といわれる超豪華ホールでは、NBA
の公式ゲームが行われるのではという推測も流れています。

もともと、マカオのカジノ市場は、スタンレー・ホー氏に独占されていました。しかし、
マカオ政府は返還後の2001年に、マカオを「東洋のラスベガス」にする目論見のもと、
ラスベガス・サンズ社とウィン・リゾート社に対して、カジノ経営権を与えました。

それを受けて、マカオ初のラスベガス式カジノ「サンズ(金沙)・マカオ」がオープン
したのが2004年、そしてその2年後の2006年には、スタンレー・ホー氏の「リズボア」
の前に、「ウィン(永利)・マカオ」がオープンしました。さらに今年、同じくサンズ社により
ヴェネチアン・マカオ・リゾートが開業のはこびとなったのです。

今後の予定としては、MGM・ミラージュ社がウィンのすぐ裏の海沿いに「MGMグランド」
を年内にオープン、スタンレー・ホー氏が本拠地リズボアの隣に球形の黄金巨大カジノと
ともに、来年には高さ228メートルの新リズボアホテルが完成予定です。さらに、サンズ
社は、2009年までの2年間に120億ドルを投じて、全部で14のホテルを建設する計画です。


ロシア人、イタリア人、アメリカ人、そして中国人が4大カジノ好きの国民だといわれますが、
ヴェネチアンにも最初の1週間で45万人が入場し、そのほとんどが中国人。
現在、公式に発表されている平均国民所得が本当にそうなのか、あるいは、相当な所得
格差があるのではないか、と疑いたくなるほどのマカオのカジノ人気の実態です。

百聞は一見に如かず、ぜひ一度訪れてカジノの熱気を実感してみてください。ただし、
くれぐれも無一文になってしまって帰国できないということがないように・・・。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<修羅場の効用(その5)・・・予想因果関係を持っても修羅場は訪れる!>

前回まで数回にわたって、単なる混乱を引き起こしているケースと、修羅場と呼ばれる
ものとの違いについて、お話を進めてきました。

繰り返しになりますが、その中では、単なる混乱は、明確な予想因果関係を持たないか、
持っていても“低レベル”であることをご指摘しました。そして、その“低レベル”のひとつ、
5W1Hがあいまいであることを防ぐ手立てとして、私の経験から、
 ① 「あいまい語」で終わらせない
 ② 「アウトプット(具体的成果物)」を用意する
という二点をお話しました。

次に、予想因果関係が“低レベル”であることの二つ目の中身は、
 因果関係がかみ合わない(論理的でない)
という点でした。

これは、実は、先ほどの①「あいまい語」で終わらせないという点と、②「アウトプット
(具体的成果物)」を用意するという二点を実行していれば、かなりの部分で解決できま
す。単なる混乱を引き起こす最大の原因は、実はこの因果関係をいい加減にしか意識
しないところにありますので、上記二つを実行すれば、否が応でも意識せざるを得ない
ことになるのです。

それでは、この二点をそれなりにレベルアップすれば、修羅場を防ぐことは出来るので
しょうか。

答えは「NO」です。今まで何回も申し上げたように、これらは単なる混乱を防ぐことには
なるかもしれませんが、修羅場は、もう一つか二つ上の次元で起こるのです。

修羅場の条件として、vol.298の「修羅場の効用(その2)」では、
 ① 先の見えないことへのチャレンジ
 ② 因果関係(筋書きと結果)の予想違い
 ③ 短時間
という三つをあげました。

ここで注意すべきは、②について
 因果関係(筋書きと結果)の「予想違い」
と示していることです。

これは、予想因果関係をそれなりに持っていて、論理性がある程度あるにもかかわらず、
実際にやってみると、①に示す先が見えないこともあって、予想通りにはいかない、
ということを言っています。単なる混乱とはこの点が違います。

「どうせ予想通りにはいかないんだから・・・」とか、「先が見えないことを考えてみたって
無理なものは無理!」といってどこかでさめている人は、「修羅場の効用」どころの話では
なく、その時点で、すでに経営者的人材を目指す資格がありません。もっと厳しく言えば、
「企業人」としても問題になるでしょう。

なぜなら、すべての企業の活動の本質が、先の見えないことに対して何らかの仕掛けを
することにあるからです。だからこそ「企てることを業とする=企業」と名付けられ、それを
動かす最高責任者として経営者が存在するわけです。先が見えないから、と言ってあき
らめていたのでは話になりません。

では、なぜ、予想通りにはいかないのでしょうか。言い方を変えると、予想因果関係が
“低レベル”でないにもかかわらず、修羅場を迎えてしまう原因はどこにあるのでしょうか。
さまざまな答えが用意できると思いますが、私は、集約すれば次の二つだと思います。
 
ひとつは、人間の力の及ばない突発的なできごとが起こること、そしてより重要なもう
ひとつは、社会の営みは「人間」がおこなうものであり、その人間は「命」をもっている
という事実です。

次回以降、こういった非常に奥深い部分について、修羅場との関係で考えてみましょう。

■ 3. 今月の本棚

<『撤退の研究』 森田松太郎 杉之尾宜生著 日本経済新聞出版社>

副題は、『時機を得た戦略の転換』、そして帯には、
 無理な論理にしがみつくな! 
  軍事と企業の実例から、的確な情勢判断、スピーディな決断と
  タイミングのよい実行を選ぶ
と記されています。

「出店より、退店のほうが難しい!」
「就任の仕方より、退任の仕方で評価が決まる!」
「結婚より離婚のほうが大変!」 等々
さまざまな場面で、「撤退」の難しさが言い伝えられています。

この本の特徴は、帯にも記されているように軍事と企業を比較対照させながら、「撤退」
について8つのポイントを整理していることです。軍事と企業経営とを比較対照させた点
では、野中郁次郎教授らが著した『失敗の本質』が有名ですが、それとはまた違った味を
持った本だと思います。

8つのポイントは以下のとおりです。

第1章 事前に的確な見通しが必要 (大東亜戦争開戦前夜 ダイエー拡大戦略の挫折)
第2章 無理な論理は駄目 (日露戦争 松下電器の七転び八起き)
第3章 決断は迅速に (信長の金が崎撤退 日産自動車日本的経営からの脱皮)
第4章 事実を見る目 (南京で「ビスマルク的転換」がなぜ起きなかったか
                       旧石川島播磨重工業海から空へ)
第5章 先見の明 (戦争様相を激変させた「電撃戦」 ノキア勇気ある決断)
第6章 タイミングが大切 (キスカ撤収作戦 ブラザー工業新規事業への進出)
第7章 臨機応変に (旅順攻略乃木大将の戦場統帥 ニチロ撤退と転換の繰り返し)
第8章 隠された事実 (日露戦争と帝国陸軍 カネボウ真実の隠蔽)
      (上記のうち、括弧書きは字数の関係で原著と一部表現を変えています)

お正月休みにぜひご一読ください。

■ 4. おしらせ

12月29日(土)から1月6日(日)まで、年末年始休暇とさせて頂きます。
従いまして、新年第1号のいーかわらばんにつきましては、1月10日(木)
の配信とさせて頂きます。
尚、年内は12月20日(木)の配信が、本年最後のいーかわらばんです。
どうぞ宜しくお願い致します。

いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載しております。
途中購読の方で興味のある方は弊社ホームページをご覧下さい。
 http://www.nksy.co.jp

次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. おしらせ

【web】 https://www.nksy.co.jp
【mail】 mail@nksy.co.jp

☆弊社お客様並びに名刺を頂いた方にもお送りさせて頂いております。
突然の配信をお許しください。
☆展示会等のご案内を掲載させて頂きます、ご一報下さい。
☆メールマガジンの登録・解除は自由です。配信の解除・送信先メールアドレスの変更はお手数ですが、
mail@nksy.co.jp
にご連絡ください。
☆無断転送はご遠慮願います。

いーかわらばん
著者・論文