いーかわらばん vol.293
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2007/10/11
- vol.293
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
XPの販売、半年延長
■ 2. 山崎発、経営を考える
自分は、何を学び、何を向上させたか?
■ 3. 今月の本棚
『M&A大再編で消える会社、伸びる会社』 小宮一慶著 ダイヤモンド社
■ 1. 時の話題
<XPの販売、半年延長>
2008年1月にWindows XPの販売を廃止するとしていたマイクロソフトが、多くの
ユーザーの批判に屈して、2008年6月末日まで、パッケージ等の販売を延長する
旨の発表を行いました。
現在のところ、新しいOSである Windows Vista の導入比率は、せいぜい数%
から多くて10%程度ではないか、というのが現実の見方です。
この理由はいくつか考えられますが、大きくは次の二つに集約されます。
ひとつは、なんといってもアプリケーションの対応がままならない、という点です。
XPは5年間OSであり続けたわけで、それまでの、98やMeに比べるとその間にXP対応
として世に出たアプリケーションソフトは膨大な種類に及びます。それらが日々の業務
に溶け込んでしまっている状況のなかで、Vistaに移行すれば、それこそそれらの業務
がストップする事態に陥るでしょう。
もうひとつは、特に何千台というパソコンを使用している大手企業は、最近やっとXP
への移行教育、さまざまなテスト、ヘルプデスクの開設などを終えて、統一的に稼動し
始めたところ、という状況にあるというものです。
彼らにとってみれば、来年1月の販売終了など、とんでもない話、ということになります。
これらの理由がVista導入の障壁となり、結果として、XPの販売延長をもたらしたわけ
ですが、マイクロソフトの若干の翳りが囁かれるなか、今後の戦略が注目されます。
と同時に、ユーザー側としては、今後の対策を十分に練って、大きな支障を生まない
準備が必要です。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<自分は、何を学び、何を向上させたか?>
前回は、継承・伝承というテーマの総まとめとして、これらが本来「プロジェクト」
として行われるべきではなく、日常的な教育の一環としてなされるべきである、
という点についてお話をいたしました。
そして、もっとも気をつけるべき点は、日々流れていく仕事の中に、「知」という
ものの認識をすることができるかどうか、という点について触れ、
・企業買収
・海外進出
・物流アウトソーシング
・棚卸ノウハウ
といったものを例示しました。
しかし、これらはほんの一例で、数限りなく、「知」の認識はできるわけです。
このことは、言葉を変えれば、何気ない普段の業務の中から「知」として学び取る
部分を発見する、という姿勢が「知」を創発するわけで、これは経営者、経営幹部
に絶対的に必要な能力といっても過言ではないでしょう。
では、こういった認識がなされたとして、こういった「知」と認識されたものを、
日常的に継承、伝承していくためには、何が必要でしょうか。
ここには、企業の風土やさまざまなシステム、組織的なものが必要なのですが、
あえて最も重要なものをひとつだけ挙げよ、と言われたら、私の狭い経験からですが、
迷いなく、
組織の一人ひとりが、ある一定期間に、何を学び、どの部分を向上させたか、
について、日常的、継続的に、記録、閲覧、討議していくしくみ
と答えます。
これは特別なことでもなんでもないように見えて、しかし、現実には、とてつもなく
難しいことです。同時に、継承・伝承の基礎であることも事実です。
貸借対照表に計上されない「無形資産=目に見えない価値」を、ある特定の限られ
た人ではなく、組織として、増殖していく会社には、具体的な方法は違えども、
上記のようなシステムが存在するのです。
そして、これからの時代は間違いなく、土地や建物といった有形資産ではなく、こう
いった無形資産を「知」として結実させていくことに長けた会社が勝ち残っていくこ
とになるでしょう。
■ 3. 今月の本棚
<『M&A大再編で消える会社、伸びる会社』 小宮一慶著 ダイヤモンド社>
20年前、都市銀行が三つに集約されると誰が考えたでしょう。20年前、阪急と阪神が
一緒になる、という予測をした大阪人はいたでしょうか。ジャスコがマイカルとダイエー
を飲み込むと考えた流通業者も、20年前はほとんど存在しなかったでしょう。
前回のかわらばん「時の話題」では、世界一の鉄鋼会社アルセロール・ミッタルを
ご紹介いたしましたが、これらはすべてM&Aのなせる業です。
本書は次の4章からなっています。
1章 大M&A時代が到来する
2章 M&Aビジネスの「プレイヤー」たち
3章 世界と日本で起きている「業界別大再編」
4章 勝ち抜く会社、滅び去る会社
業界再編の動きの根底に供給過剰がある、という筆者の見解にはまったく同感です。
さらにそういった供給過剰が起こらざるを得ない「巨額の設備投資」というプロセスと、
その結果として生まれる価格低下が脱落者に事業売却の意思決定をもたらす、
という視点は、自社を取り巻く環境との関連で、自社の実力の分析の必要性を示唆
してくれます。
また、世界的低金利、垂直統合のメリットなどもM&Aを促す重要な要因だと説いていま
すし、「経営改善余地」の大きい会社こそ、ファンドに狙われやすいとも述べています。
しかし、最も重要な点は、戦略はビジョン達成のための手段に過ぎず、M&Aも戦略を
実践していくときのひとつの選択肢にすぎない、という部分でしょう。
ビジョンなきM&Aは失敗する、これを踏まえて、自社のM&A戦略を考えるためにはもっ
てこいの本です。
■ 4. おしらせ
山崎修一オープンセミナーのお知らせ
日時:10月22日(月) 13:30~16:30
テーマ:『上手な自社株対策・節税対策』
お問い合わせ:神戸商工会議所 078-303-5808
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テーマ:『強い会社の資金管理のツボ』
お問い合わせ:神戸商工会議所 078-303-5808
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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