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いーかわらばん vol.437

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2015/06/09
  • vol.437

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

「オムニチャネル」・・・あらゆる業界に押し寄せる大きな「P波」!

■ 2. 山崎発、経営を考える

効用的修羅場の買いつけ(その103)・・・ 強い「たい」を持っている人は意外と少ない!

■ 3. 今月の本棚

『先生、イノベーションって何ですか?』 伊丹敬之著 PHP研究所

■ 4. おしらせ

株式会社トップ支援より

■ 1. 時の話題

<「オムニチャネル」・・・あらゆる業界に押し寄せる大きな「P波」!>

昨年の後半から「オムニチャネル」という言葉をいたるところで見聞きするよう

になりました。



「オムニ」とは、ラテン語を起源とする英語で、「すべて」という意味を表す

連結用語です。日本語で言えば、「総・・」「全・・」に該当します。すなわち、

リアル、 バーチャルを問わず、顧客との接点となっているすべてのチャネルを最

大に活用して、顧客にとってのベストソリューションを提供するものです。



この言葉がポピュラーになったのは、2011年に、アメリカの百貨店メーシーズが

オムニチャネル戦略を打ち出したことが大きな契機だと言われています。最近で

は、日本でもイオンやセブンなどの小売業を中心として、大々的に戦略として打

ち出しています。



IT技術の進展とともに21世紀になってから、マルチチャネル、クロスチャネル

など、チャネルにおけるリアルとバーチャルの融合が進んできました。しかし、

今回のテーマであるオムニチャネルはこれらと一線を画します。



その違いは次の三つに集約されると思われます。



第一に、マルチやクロスでは、顧客ごとにチャネルが決まっているか、せいぜい

複数を組み合わせる程度でした。この人は通販で買う人、20代の若者はネット

ショップで買うグループ、この地域の人は実際に店に来てくれる、といった具合

に区別され、そのターゲットごとに、対策が施されてきました。



オムニチャネルは、チャネルと顧客(群)の対応関係はありません。このことが、

次の第二の違いにつながります。



第二は、ある顧客にとって、リアル・バーチャルを含め、すべてのチャネルがシー

ムレスに統合されている、という点です。簡単に言えば、顧客は、その商品をどこ

で買ったのか、お金を誰に払ったのかよくわからない、でもとにかく便利でありが

たい、という状況を作り出しているのです。



たとえば、テレビのコマーシャルで商品を知り、スマホで口コミを調べ、実店舗で、

商品の大きさや使い勝手をを確認し、最安値を価格ドットコムで調べて発注し、す

ぐに必要な分はセブンで翌日に受け取り、残りは宅急便で自宅に届けてもらう・・。



一体、この商品はどこで買ったんだろう、お金は直接にはセブンや宅急便に払って

いるけれど・・・、というような感覚は今や容易に想像がつくでしょう。



第三に、上記のシームレス化からも分かるように、提供する側からみれば、顧客の

利便性を極限まで実現しようとすると、物流、金融、情報がリアルとバーチャルを

通じて、完全に一体化していなければ実現できないことがわかります。



その中で、中長期にわたり確実に利益を確保しようとすると、何かの強みをもって

「仕掛け人、元締め、胴元」となって主導権を握ることができるかどうか、それが

鍵になると思われます。



オムニチャネルは単に小売業にとどまるものではありません。あらゆる業界に押し

寄せるだろう大きな最初の「P波」のような気がします。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<効用的修羅場の買いつけ(その103)・・・ 強い「たい」を持っている人は意外と少ない!>

前回は、

第2原則 役割(存在価値):ゴールとその期限、計画

のお話に入りました。



そして、「ゴール」と「価値観」との関連を整理するにあたって考えたいポイント

として、人間の成長、組織の成長に直結する次の5点を挙げました。



ポイント1 ゴールの背景にある「べき」と「たい」のマッチング

ポイント2 ゴールにおける「目的」の重要性

ポイント3 究極のゴールをどこに求めるか

ポイント4 ゴールと行動革新との関係

ポイント5 ゴール実現の確率を高めるために



今回からしばらくは、



ポイント1 ゴールの背景にある「べき」と「たい」のマッチング



について考えてみることにしましょう。



このポイント1は、さらに次の二つに分けて考える必要があります。



ポイント1ー1 個人レベルでの「べき」と「たい」

ポイント1ー2 組織レベルでの(リーダーとしての)「べき」と「たい」



まず、ポイント1ー1である個人レベルでの「べき」と「たい」からスタートする

ことにします。



話は少し横道にそれますが、私はよく使われる「適材適所」という言葉に対して、

次のAとBの二つがマッチングしている状態であるという定義をしています。



A 自分がほんとうにやりたいこと、なりたいこと、得意にしたいこと

B (世の中、お客様、会社など)周りがこうしてほしいと意識的、無意識的に

  感じていること



まさに上記のAを「たい」、Bを「べき」と言い換えることができるでしょう。



通常は、その人の持っている性格なり、適性と呼ばれる何かが、実際にその人が

従事している仕事とマッチングしている状態を適材適所と言っているように思い

ます。



しかし、あえて、私は上記のように、適材適所を「たい」と「べき」のマッチン

グと定義しています。その理由は少し後に述べることにしましょう。



まず、マーケティングの視点から考える限り、上記のB、すなわち世の中の要請に

対応してポジション移動していくことの重要性は今さら言うまでもありません。



しかし、多くの企業をご指導している中で、むしろ上記のA、すなわち、自分のや

りたいこと、なりたいこと、得意にしたいことをしっかりと持っていない人が多い

という現実に愕然とすることが、最近頻繁にあるのです。



また、このような傾向は、昭和40年代中頃から50年代中頃に生まれた男性により

顕著に見られる、という見方もあります



こういった状況が生み出されている要因としては、次のようないくつかの仮説が

想定されているようです。



・受験戦争世代で、親や塾の先生が敷いたレールの上をひた走ることに慣れすぎて

おり、自分で強く望み、自分で決めるという主体性に乏しいこと

・いわゆるハングリーさを失った世代で、強い欲望を持たずとも、真の意味で生活

に困ることがないこと(また親が戦争体験をしていない世代の子供で、究極の窮

 乏生活の実態を直接聞いていないこと)

・先が見えない不透明な時代になって、「とりあえず」の目先に追われていること

・世の中や学校で、自分なりの明確な価値観を持つことが重要であることの教育が

希薄になっていること



もちろん、ある時点の「たい」は、ずっとそのままである必要はなく、どんどん変

化していって問題ありません。むしろ、それこそが成長の証しでしょう。



ただ、私が新規開発などのお手伝いをさせていただいている経験から、実現する

確率を高めるという点に限って言えば、その時々でそれなりに強い「たい」を持っ

ている人を多く集めることは必須条件です。



言い換えれば、強く「たい」を持っている人ほど、やりきる確率は高い、というあ

たり前の現象が、実際の開発過程についても明確に出ています。



こう言うと、必ず、次のような反論や疑問が生じてきます。



人間、自分のやりたいことだけやっていてうまくいくことなんて、そうそうないよ。

やりたいことをやらせてくれるほど、組織や社会は甘くないよ。

自分のやりたいことと、会社や顧客からの要求が違っていたらどうするつもりだ。



そこで、次回以降、人間が社会で生きていくための根源とも言える、この「べき」と

「たい」のマッチング、さらには、なぜ「たい」の強さがやりきる力につながるのか、

といった基本的な原理について、さらに深く考えてみることにします。

■ 3. 今月の本棚

<『先生、イノベーションって何ですか?』 伊丹敬之著 PHP研究所>

伊丹敬之教授は、知る人ぞ知る、日本の経営学の第一人者ですので、このかわ

らばんでも、彼の著書は過去に何冊か取り上げています。



帯には、

私たち、リノベーションのことなら分かるんですけどー

と、のたまう強敵女子5人組。

経営学者は彼女たちに「イノベーション」を理解させられるのか?

と記されています。



普段は、イノベーションとはそれほど関係のない仕事をしている5人の女性と

伊丹教授とのイノベーションに関する勉強会をもとに記された本ですので、

日常生活に密着した数々の例が記されていて、自然とイノベーションの本質

が理解できる本となっています。



たとえば、回転寿司で寿司が回るという発想は、大阪の寿司屋さんがビール

工場でビールの瓶がベルトコンベアに乗って回るのを見て思いついたそうです。



しかし、そもそも北陸の繊維産業の機械の優秀さがなければここまで広まら

なかっただろう、といった記述は、発想や構想の重要性、その発想を現実に導く

技術の蓄積、さらに市場への働きかけのあり方など、多くのことを考えさせてく

れます。



また、東北大震災でなぜ200キロ以上で走っていた新幹線が1台も脱線しなかっ

たのか、スマホの普及の先駆けとしてのポケベルの意味はどこにあったのか、

また前回の「時の話題」でお話しした『ペッパー』君のようなヒト型ロボットが

なぜ日本に多いのかなど、大変興味深い事例が次から次へと出てきます。



一方で、筋のいい技術、市場への出口、そして社会が動く、という三段階が

あってはじめて真のイノベーションと言えるなど、学者としての論理もきちんと

説明されています。



さらに、イノベーションには地層があり、その間にあるバトンタッチとブリッジ、

イノベーションと文化との関係など、企業における開発のしくみづくりにも大い

に参考になります。



この本は、豊富な実例を挙げて、非常にやさしく、しかし論理的に整理されて書

かれていますので、企業トップはもちろん、開発責任者、担当者、あるいは付加

価値を創出しようとしているプロジェクトチームにとっては必読書ともいえるで

しょう。



さらに深く研究したい方は、やはり伊丹敬之教授の『イノベーションを興す』

(日本経済新聞出版社 2009年)も合わせてお読みください。

■ 4. おしらせ

<株式会社トップ支援より>

[研修のご案内]



◇ 10月21日 (水)~6回(6カ月間)

  

  取締役検定 知識100講 労務コースの募集を始めました。

  

  現在、財務コースが進行中です。現在の受講生の大半がそのまま労務

  コースを受講されますが、卒業生もいらっしゃいますので、数人の受入

  れが可能です。

  人数が限られておりますので、ご興味のある方はお問い合わせください。



  株式会社トップ支援 担当:高橋

  お問い合わせ先:メール:mail@nksy.co.jp TEL:03-3256-4101

  

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次回のテーマは以下の通りです。

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