中堅・中小企業の発揮能力最大化支援

㈱トップ支援 03-3256-4101
㈱アウトオフィス 06-6300-1787

メールでのご相談はこちら

いーかわらばん vol.422

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2010/08/18
  • vol.422

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

電子書籍の「事業」と「市場」

■ 2. 山崎発、経営を考える

効用的修羅場の買いつけ(その89)・・・ ほぼ1年間の復習?

■ 3. 今月の本棚

『デフレの正体』 藻谷浩介著 角川書店

■ 1. 時の話題

<電子書籍の「事業」と「市場」>

iPadの人気は相変わらずの状況で、その影響もあって、電子書籍があらゆる
方面で、大きな“うねり”をもたらしています。トフラーの言う『第三の波』は、
まさに、この“うねり”を予言していたのかな、と思うほどです。

さて、電子書籍を「事業」と捉えた場合、どのような機能が必要となるのでしょうか。

少なくとも四つの機能が必要です。その四つとは、
① 端末
② 通信(回線)
③ コンテンツ
④ 配信・課金
です。

ということは、従来の書籍事業とは、異なった供給連合体が必要となります。
上記①~④を考えれば、端末メーカー、通信会社、出版社、印刷会社
コンテンツ製作会社、マスコミなどがこれらの連合体を構成することになるでしょう。

従来の書店に代わって、端末メーカー、通信会社、コンテンツ製作会社などが
新たに登場するわけです。

現実に、ソフトバンク・アップル連合体は言うに及ばず、KDDI・ソニー・凸版・
朝日新聞社の連合体、NTTドコモ・大日本印刷の連合体、などが名乗りを
あげています。

また、電子書籍を「市場」と捉えた場合には、電子版の書籍、雑誌、新聞等に
掲載される「広告」に関する市場と、それらを通じての物品、サービスの販売
までが含まれることとなります。

たとえば、セブン&アイ・ホールディングスは、電子版の書籍や雑誌に掲載された
商品を注文できるしくみを開始するとともに、電子書籍・雑誌そのものの販売
すなわちダウンロード販売も始める、と発表しました。

この電子書籍をはじめ、電気自動車、太陽光発電など、多くの新しい社会
システム変革の領域では、ここ数年の間に、供給連合体の構造が大きく変化
していくことになるでしょう。

自分たちの会社が、これらの新しい社会システムに関係するかしないかにかかわ
らず、自社のポジショニングを再構築する“眼”が欠かせない時代になってきている
ことは確かです。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<効用的修羅場の買いつけ(その89)・・・ ほぼ1年間の復習?>

前回まで数回にわたり、少し横道にそれて、「未来創造の方向性を持つ」具体的な
しくみについてお話をいたしました。

これから本論に戻る予定ですが、本論が何であるかわからなくなってしまうくらい、
いろいろとお話をしていますので、ここ数十回の復習をして、全体の体系を整理してから、
次に進みたいと思います。

実は、ほぼ1年前の昨年の9月あたりにこの『経営を考える』で議論した中身が、現在の
お話の“おおもと”になっています。

まず、理念31では、

 理念31: 「人を育てる」=本人がその気になって、持てる能力を最大限に発揮
        できる環境をつくること

と記されています。

それでは、持てる力を最大限に発揮できる可能性が高くなる条件とは何だろうか、
ということで、三歳児の積木の例を取り上げ、

① やりたいこと、実現したいと強く思っているものがあるとき
② それが実現した時の、まわりの人の喜ぶ顔、満足、安心した表情がイメージ
   できるとき
③ 実現できれば、自分の存在価値がもっと高まる(進歩成長する)だろうと感じ
   るとき

の三つが導き出され、それを、大人の社会、企業に置きなおすと、結局、次の三つに
到達したわけです。

① 成長心を修得する機会
② 成長心あふれる空気
③ 成長実感のしくみ

そこで、その中の「① 成長心を修得する機会」とはどのようなものか、という
議論に入り、座学的(理論的)なものと、実践的なものとが、有機的に結び付いた、
 
  「レベル4:実践養成塾型」

が大事である、ということになったのです。
(ちなみに、レベル1は「読んでおけ!」型、 レベル2は「講義1回ポッキリ」型、
 レベル3は「メンテナンスチーム」型、でした。)

そして、この実践養成塾型を運営する際に、欠かしてはならない原則が

第1原則 個人ごとへの落とし込みと複数議論
第2原則 役割(存在価値):ゴールとその期限、計画
第3原則 タイムリーかつ継続的な振り返り
第4原則 トップ関与

の四つだったのです。

実際のお話としては、第4原則からスタートして、第1原則に戻りました。すなわち、
トップ関与の重要性から、個人ごとへ落とし込むことの大事さ、さらに複数議論の
必要性に言及したわけです。

その最後の部分「複数議論」のところで、それは「自己客観視」のために必要という
ことで、「客観的にみる」ことが強調され、そのために必要なこととして、

 その1 事実と判断を峻別する
 その2 「虫の目」「鳥の目」「宇宙の目」

まで進んできています。

そして、

「虫の目」   ≒ 探求眼 ≒ 因果関係の論理的把握  ≒ 深さの客観性
「鳥の目」   ≒ 風景眼 ≒ 全体像の直観的把握   ≒ 広さの客観性
「宇宙の目」 ≒ 位置眼 ≒ ポジションの時空的把握 ≒ 高さの客観性
                                      (高次元)
の三つの目のうち、これからの時代に最も要求される「客観的にみる」ための「目」は、
「宇宙の目」であることをお話しました。

さらに「宇宙の目」の中の、「時間的(歴史的)位置」の把握について、“見逃しやすい”、
あるいは“欠かせない”論点として、次の4つをピックアップしました。

  ・因果関係を疑う(例外察知)能力を持つこと
  ・善悪、強弱、大小などを測る“ものさし”を持つこと
  ・未来創造の方向性を持つこと
  ・そして、「空間的位置」との融合

そうしてやっと前回、三つ目の「未来創造の方向性を持つこと」のお話が終わったのです。

結構、膨大な体系ですが、「本論に戻る」といったときの「本論」の位置づけがおわかり
いただけたでしょうか。これこそ「宇宙の目」が必要かもしれませんね。

次回はもちろん本論に戻りたいのですが、それには「空間的位置」のお話が必要となり
ますので、次回も復習をさらに続けて、このあたりで、
 
 理念37: 「客観的にみる」その1
        事実と判断を可能な限り峻別し、その連鎖の背景にある価値観を探る!

でストップしている理念の追加整理を行いたいと思っています。

■ 3. 今月の本棚

<『デフレの正体』 藻谷浩介著 角川書店>

副題は、
 経済は「人口の波」で動く
となっています。

3回前の「 いーかわらばん 2010/7/22号 vol.419」の時の話題において、
「人口ボーナス」というテーマでお話をしたとおり、本書では、生産年齢人口が
減少に転じたことを、デフレの大きな要因ととらえています。

すなわち、日本においては、生産年齢人口の増減が個人所得に影響を与え、
それが個人消費を上下させ、そのことが「平成不況」や「実感なき景気回復」の
正体である、としているのです。

したがって、生産年齢人口が減少していくスピードを弱めるとともに、生産年齢の
人たちの所得を維持、増加させ、結果として個人消費の総額を増やすことを目標と
しなければならないことは、当然の帰結です。

本書では、上記のこの目標を実現するための具体策として、

  ① 高齢富裕層から、消費性向の高い若年層への所得移転
     すなわち年功賃金の見直しや、生前贈与の税制等の促進

  ② 専業主婦など有償労働をしていない女性の就労促進
     1,200万人といわれるこれらの人の労働市場への参加

  ③ 訪日外国人観光客・定期定住客の増加
   
などをあげています。

「人口」という観点から見た経済の現実をしっかり受け入れた上で、それにマッチした
システムに切り替えていくのか、あるいは、生産年齢人口が増加している国や地域に
シフトしていく戦略をとるのか、じっくりと考えるヒントにしていただきたいと思います。

■ 4. おしらせ

いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載しております。
途中購読の方で興味のある方は弊社ホームページをご覧下さい。
 http://www.nksy.co.jp   

次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. おしらせ

【web】 https://www.nksy.co.jp
【mail】 mail@nksy.co.jp

☆弊社お客様並びに名刺を頂いた方にもお送りさせて頂いております。
突然の配信をお許しください。
☆展示会等のご案内を掲載させて頂きます、ご一報下さい。
☆メールマガジンの登録・解除は自由です。配信の解除・送信先メールアドレスの変更はお手数ですが、
mail@nksy.co.jp
にご連絡ください。
☆無断転送はご遠慮願います。

いーかわらばん
著者・論文