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いーかわらばん vol.419

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2010/07/22
  • vol.419

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

「人口ボーナス」と経済成長

■ 2. 山崎発、経営を考える

効用的修羅場の買いつけ(その86)・・・ 「成功」の定義を間違えていないか?

■ 3. 事業承継の真視点

持株会社について(その22)・・・子会社役員兼任規制②

■ 1. 時の話題

<「人口ボーナス」と経済成長>

「夏のボーナスセール!」の張り紙が巷で盛んですが、「人口ボーナス」という
言葉を聞かれたことがあるでしょうか。

この言葉をご説明するには、人口に関する三つの基本的な言葉の意味から
スタートしなければなりません。それは、
 ・従属人口
 ・生産年齢人口
 ・人口転換
の三つです。

まず「従属人口」とは、0 歳から14 歳までの人口である「年少人口」と、
65歳以上の人口である「老年人口」とを合計した人口のことを言います。

その裏返しが「生産年齢人口」で、15歳以上65歳未満の労働市場に現れる
年齢の人口を言います。一般に、従属人口は生産年齢人口によって扶養
されることになります。

そして、「人口転換」ですが、これは、社会の進展に伴い,人口動態が
 多産多死 → 多産少死 → 少産少死
と変化することを言います。欧米が産業革命以後150年以上かけて人口転換
が進んだのに対し、日本は数十年でこの転換がなされたことになります。

そこで、「人口ボーナス」ですが、これは「従属人口」に比べて「生産年齢人口」
の割合が増大する時期または状態を指すものを言われています。

「人口ボーナス」の状態にある場合には、労働力は極めて豊富であるとともに、
老人や子供を扶養する負担が軽減されることになり、結果として、高い経済
成長を実現できるとともに、国家財政も豊かになります。

ここで詳細なデータを示すことはできませんが、ご承知のとおり、1990年代に
すでに「人口ボーナス」は“底をついた”と言われています。

しかも、戦争、災害、疫病等によって引き起こされる民族大移動のような、
大規模な国際的人口移動でもない限り、この「人口ボーナス」は、その国家に
おいて“一度きり”のものなのです。歴史的に見る限りですが・・・。

この議論を前提とすれば、日本の人口の現状をみる限り、景気低迷や財政
赤字を回復させる“手だて”は、根本的にずれているのではないか、と思われる
わけです。あるいは、高い経済成長は、もはやありえないということになるの
かもしれません。

少子高齢化、ゼロ成長を危機としてこれを避ける政策をとるのか、あるいは
その実態を受け容れてそれに即した社会システムへと転換していくのか、
われわれ自身がしっかりと考えて、選択する姿勢を持たなければならないのでは
ないでしょうか。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<効用的修羅場の買いつけ(その86)・・・ 「成功」の定義を間違えていないか?>

前回は、「未来創造の方向性を持つ」しくみの例として、「ネタノート」のお話をしました。

これは、「何らかの目的を持ったしくみ」を作り上げる際の二つの極意、

 ① 放っておいてもできる「上位」の人たちの意識、行動等を仔細にみて、
   可能な限り、パターン化すること ・・・ 「上位のパターン化」

 ② 対象は、「上位」でなく、「中位:凡人」ですから、上記のパターンを、
   「中位用」に 置き換えること ・・・ 「パターンの中位化」

のうち、①「上位のパターン化」の例としてあげたものでした。

しかし、前回申し上げたように、この「未来創造の方向性を持つ」しくみがある
程度機能するまで、3年以上かかりました。その理由は、②の「パターンの
中位化」がうまく進まなかった。言い換えれば、そのような風土になかなか転換
していかなかったからです。

余談ですが、多くの経営者が「風土改革」の必要性を叫びます。しかし、「風土」は
ほんの一部の上位の人たちだけができても変わりません。もちろん、「風土転換」の
立役者は間違いなく「上位の人」ですが、それが「中位の人」の“一部”にまで及んで
初めて風土が変わっていくのです。

さて、それでは、上記の「ネタノート」の会社は、どのような方法で、「パターンの
中位化」を実現させたのでしょうか。

実は、「パターンの中位化」を実現する方法は、
 体験による学習
以外にはありません。

体験には、直接体験と疑似体験がありますが、そのいずれにおいても、“おもしろい”
とか“たのしい”と感じる体験でなければ中位化は進展しません。そうは言うものの、
単なる表面的な“おもしろさ”や“たのしさ”でもありません。

より厳密な表現をすれば、
 苦しみの中から生まれる直接成功体験
を味わう場を持つしかないのです。疑似体験は、これを補完する役割を果たします。

このように申し上げると、必ず次のような質問を受けます。

「そうは言っても、成功の確率などそう多くない、直接成功体験を持つ場なんて
そうそうないでしょう。どうすればいいのですか?」

私からすれば、ほとんどの経営者が、ここで言う「成功」の定義を誤っているような
気がします。かつての私も、自分の会社に対して、そうでした。

皆さまの会社では、「成功」を、
  経営者の考える成功水準に達すること
だと暗黙のうちに考えておられないでしょうか。

そう考えてしまっている限り、成功の確率は極めて小さなものになります。いや、
自ら小さなものにしている、と言ったほうが正しいでしょうか。

中位者にとっては、苦しみだけしかなくなります。“おもしろさ”“たのしさ”など
味わえるわけがありません。結果として、永久に、「パターンの中位化」は進まず、
風土改革も進展しません。

経営者の考える成功水準に達したいなら、中位者にやらせることなど一切やめて、
経営者自身がやるべきです。そのほうがよほど早くて、確実です。もし、中位者が
それなりに、経営者の考える成功水準に達するなら、もうそれは中位者ではなく、
経営陣の一角です。

ここで、「理念16」を思い起こしてください。
 
 理念16:人の能力を、100点からのマイナスではなく、0点からのプラスでとらえる!

でした。

すなわち、一定期間に少しでも進展、発見、前進があれば、ここで言う「成功」
なのです。そして、それを中位の人が体験できること、実感できることが、「直接
成功体験」です。

実は、先ほどの「ネタノート」の会社において、「パターンの中位化」に3年以上
かかった理由は、経営者がこの「成功」の意味を「心の底から理解し実践するまで」
3年近くかかった、ということなのです。

 どんな「しくみ」や「場」をつくっても、根本のところで経営者が変わらなければ、
 会社は変わらないということを、あの時、いやというほど知った・・・
 ヤル気のない社員がいたのではなく、ヤル気の芽をつぶす経営者がいた
 ということだ!

これがその会社の社長の現在の述懐です。

では、「経営者の考える成功水準」は必要ないのか、というと決してそんなことは
ありません。

弊社のホームページをみていただくと、「着眼大局、着手小局」というモットーが
示されています。これは、現在のセブン&アイグループの伊藤雅俊氏が、鈴木
敏文氏を評して語った言葉で、違う意味も含まれていますが、ここに応用する
ことができます。

 究極の到達点は、経営者の考える成功水準、すなわち最高レベルで、
 それを意識し、目標にすべきだが、日々の「成功」は、その水準に少しでも
 近づく小さな「前進」と「発見」をいう・・・

と定義して、その「成功」を積み重ねる姿勢に経営者が変わったのです。

次回は、こののちあっという間に変わっていった先ほどの会社の「未来創造の
方向性を持つ」ための「パターンの中位化」の具体的方法を簡単にご説明する
ことにしましょう。

■ 3. 事業承継の真視点

<持株会社について(その22)・・・子会社役員兼任規制②>

前回は、持株会社とその子会社の兼任規制の概要についてお話をしました。

今回は、会社法の規定にしたがって、その中身を見てみましょう。

まず会社法第2条十五号の社外取締役の定義では、
 
 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の
 業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人ではなく、
 かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役
 若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないもの
 をいう。

となっています。

また、会社法335条第2項では、
 
 監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人
 その他の使用人又は当該子会社の会計参与若しくは執行役を兼ねる
 ことができない。

とされています。

また、会社法第2条十六号では、社外監査役の定義として、
 
 株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社又はその子会社の
 取締役、会計参与若しくは執行役または支配人その他の使用人と
 なったことがないものをいう

となっています。

最後に会社法333条第3項一号では、会計参与になることができないもの
として、

 株式会社又はその子会社の取締役、監査役若しくは執行役又は支配人
 その他の使用人

をあげています。

ややこしい法律をピックアップしましたが、ここからわかることは、

 親会社の社外取締役、監査役、会計参与は、その子会社の業務執行
 取締役にはなれない

ということです。

要は、前回も申し上げましたように、親会社の業務執行を監督是正する立場に
あるものは、子会社の業務執行をすることができない、と考えておけばよいでしょう。
子会社は親会社の一部である、という考え方が背景にあるわけです。

■ 4. おしらせ

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次回のテーマは以下の通りです。

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  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 財務ホット情報
  • 4. おしらせ

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