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いーかわらばん vol.405

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2010/02/15
  • vol.405

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

平面から曲面へ、そして折り曲げ可能へ!

■ 2. 山崎発、経営を考える

効用的修羅場の買いつけ(その72)・・・ 実は「事実」は無限?!

■ 3. 今月の本棚

『ユニチャーム SAPS経営の原点』 二神軍平著 ダイヤモンド社

■ 1. 時の話題

<平面から曲面へ、そして折り曲げ可能へ!>

前々回のこの「時の話題」では、パナソニックが立体テレビを発表したことを受けて、
  「2010年以降、「立体」「三次元」「3D」がキーワード?」
と題したお話しをしました。

もうひとつ、2010年以降の際立ったものとして、平面から曲面へ、さらには折り曲げ
可能なものへ、という技術が台頭しそうな勢いになってきています。

たとえば、ジャパンゴアテックス社が開発した「3Dフレキシブル回路基板」は、可塑
性を備える液晶ポリマ(LCP)を採用しており,加熱して折り曲げ加工しても、配線の
断線やはく離を生じにくいというものです。

また、シャープなどが中心になって組織している「次世代モバイル用表示材料技術
研究組合は、液晶ディスプレーを折り曲げることができる新しい技術を開発したこと
を発表しました。

これは、ガラス基板を使っているために折り曲げられないディスプレーを、プラス
チックフィルムを高精度に張り合わせる技術を開発することにより、折り曲げることを
可能にしたものです。

今はやりのICカードや、システム手帳などに、曲面のディスプレーが取り付け可能と
なり、情報端末の使用形態が、ぐんと向上する可能性があります。

確か2003年頃には、昭和電工が、折り曲げることができる太陽電池を開発したという
ことで、大きな話題になりました。樹脂に発電材料を塗布したシート状の太陽電池を、
服に縫い付ければ、簡単に携帯電話の充電が行えるというものです。

あるいは、テントなどに張り付けたり、パソコンの表面全体が太陽電池というような
ことも可能になる、と考えられています。

昨年末には、シャープも、人工衛星などの宇宙用として、曲げたり、折りたたむことが
できる太陽電池を開発しています。

3Dに加えて、平面から、曲面、そして、折り曲げ可能な世界へ、というのも、今後注目
すべき技術になりそうです。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<効用的修羅場の買いつけ(その72)・・・ 実は「事実」は無限?!>

前回は、「自分を客観的にみる」ために、

 その1 事実と判断の峻別

が必要であることを前提に、その基本的な例を示し、なぜ、事実と判断を混同する
ことが、効果、効率に悪影響を及ぼし、もったいないことになるのかという問題提起
をしました。

そして、事実は「表に現れているもの」、判断はそれをもとに、「中に隠れているもの」
を考え、本質を引っ張り出し、何らかの結論を出すことだ、と述べました。

このことをじっくり考えてみるために、またまた、現実によくある例をあげてみましょう。

田中部長は、自分の部門が、より効率的な営業活動をするにはどうすればよいか、
と考えて、手始めに営業日報をもとに、甲、乙、丙の部下3人の得意先訪問の分析を
してみました。

この1年間の売上や粗利益をもとに、得意先をABCの三つのランクに分けて、
それぞれのランクに、3人の部下が、現実にどれだけの時間を費やし、時間当たりの
売上、粗利益はどれくらいかを整理してみたのです。

その結果、甲君、乙君は、ABCの優先順位がよくわかっていると見えて、そのランクに
沿った活動をしていたのですが、丙君は、まったくそういったことは考えておらず、行き
当たりばったりの活動をしており、したがって、営業効率も甲君、乙君に比べて、かなり
劣っていると考えました。

そこで、田中部長は、丙君を呼び出して、自分が分析した結果を示し、彼に、ABCの
ランクにしたがった営業活動をするように、指示をしたのです。

さて、田中部長の行動に対して、皆さんは、どのようにお考えになるでしょうか?
極めて合理的と考えますか、あるいは、独りよがりと考えますか?
おそらく、田中部長自身は、自分は極めて「客観的にものごとをみて」判断したと考えて
いることでしょう。

しかし、私が、丙君だったとしたら、呼び出されたときに、次のように反論したかもしれ
ません。

 「田中部長がおっしゃっているABCは、この1年間の数字です。実は、私は、
  過去3年間の得意先ごとの数字の変化をもとに、さらにお得意様の戦略や
  シェアを加味して、私なりの予測をし、その結果のABCに基づいて、活動を
  行っています。
  だから、確かに今年だけをみると、甲さんや乙さんよりも効率は低いですが、
  昨年に比べると、今年は1.3倍の効率になっていますし、来年はさらにアップ
  すると確信しています。」

こんな生意気な部下をもった田中部長はたまったものではないと思います(笑)が、
ここで、考えていただきたいのは、いったい何が「事実」で、何が「判断」かという点です。

田中部長の拾い出した1年間の数字も「事実」です。丙君の言った3年間の数字も
「事実」です。得意先の戦略やシェアも、正確に把握している限り「事実」です。

しかし、行動は異なります。それは、根拠とすべき「事実」が異なり、それをもとにした
「判断」が異なるから、「行動」が異なるのです。

この例からお分かりいただいたと思いますが、「事実」は「表に現れているもの」、
したがって、「誰が見ても同じ」と考えるのは、大きな誤りなのです。

たぶん、世の中に「事実」は、ある意味で“無限”にあるのではないか、と私は考えて
います。

というより、ある「事実」の拾い出し方に、前後左右、過去未来、その他、さまざまな
ものがあり、その拾い出し方が異なることによって、「表に現れているもの」が異って
くる、といったほうが正しいでしょう。

だからといって、すべての「事実」を拾い出し、組み合わせて考える、などということは、
現実には、不可能です。

では、このことと、

 その1 事実と判断の峻別

は、いかに関係し、また、「客観的にみる」とどのようにつながるのでしょうか。

次回、さらに深く考えていくことにしましょう。

■ 3. 今月の本棚

<『ユニチャーム SAPS経営の原点』 二神軍平著 ダイヤモンド社>

この本は、『いーかわらばん 2010/1/14 vol.401』の「山崎発、経営を考える」の
中でご紹介させていただきましたので、若干、重複すると思いますがお許しください。

著者の二神氏は、ユニチャームペットケアの社長で、荒廃した会社を蘇らせた
立役者です。
 
その事業再生のプロセスで、生まれてきたのが、SAPS経営の原型です。

SAPS経営とは、
 
 スケジュール(S)→アクション(A)→パフォーマンス(P)→スケジュール(S)
 
の四つの頭文字をとったものです。

もちろん、これは、マネジメント手法の一つですが、この仕組みがきちんと機能し、
組織として成果を生み出していく根底には、この仕組みを支える魂ともいえる
「哲学」があり、これが、第3章に詳しく記されています。

先の「経営を考える」にも掲載いたしましたが、「はじめに」に書かれている次の
文章は、非常に大切ですので、再度引用しておきます。

 ・・・そして自らの考え方やその時々の気づきを社員全員で共有するために
 「ユニ・チャーム語録」をつくりあげ、全227項目から成るそれを、自社の
 経営の原理原則としました。ユニ・チャームグループが成長を続けられる
 最大の要因は、高原慶一朗会長のもとでこの原理原則に依拠し、正しい
 思考・正しい行動に基づく正しい経営を社員全員が実践してきたことに
 あります。・・・

正しい思考、正しい行動、正しい経営の一つの姿を、この本を通じて整理して
いただきたいと思います。

■ 4. おしらせ

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