いーかわらばん vol.393
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2009/11/12
- vol.393
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
郊外型SCから、近郊外型SCへのシフト?!
■ 2. 山崎発、経営を考える
効用的修羅場の買いつけ(その61)・・・ 熱い「成長心」の乗り移り?
■ 3. 今月の本棚
『名言の正体』 山口智司著 学習研究社
■ 1. 時の話題
<郊外型SCから、近郊外型SCへのシフト?!>
郊外型SCが苦境に立たされています。
その象徴的な現象が、郊外型SCからのショップの撤退です。たとえば、
「イオンモールむさし村山ミュー」からは三越が撤退し、また「イオン大垣SC」
からは、数十店舗が退店するなど、歯抜けのモールがあちこちで見られる
ようになりました。
当然のように、この郊外型SCをやみくもに展開してきたイオンも苦しい状況に
立たされており、2009年2月の連結決算で、最終赤字に陥りました。最近発表
された第二四半期決算でも、最終赤字から抜け出すことができていません。
もちろん、郊外型SCだけが苦しいわけではなく、百貨店をはじめ、総合
スーパー、町の商店街など、苦しさは小売全体に及んでいるわけですが、
そのなかで、それなりに健闘しているのが、近郊外型SCです。
郊外型SCと近郊外型SCの違いは、明確ではありませんが、前者は一般的に
車でしか行けない立地、後者は電車等の駅に隣接する立地と言われています。
三回前のこの「時の話題」でご紹介した「ららぽーと新三郷」などは、典型的な
近郊外型SCということができます。
なぜ、こういったシフトがみられるのでしょうか。
ひとつは、三回前にもご説明したように、大手不動産ディベロッパーが、単なる
ショッピングのみならず、従来になかったエンターテイメント空間を巧みに演出
したことが挙げられます。
そこに、さらに、車離れ現象が影響をもたらしています。車を持たない若者や、
車はないけどお金は持っているシルバー層が、子供と一緒に丸一日過ごしても
飽きない工夫が凝らされているわけです。
百貨店、総合スーパーはこれらの傾向にいかに対処していくのか、対抗すべきか、
共存すべきか、日本の商業施設の構造も、めまぐるしい転換期のまっただ中と
言えるでしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<効用的修羅場の買いつけ(その61)・・・ 熱い「成長心」の乗り移り?>
前回は、
第1原則 個人ごとへの落とし込みと複数議論
第2原則 役割(存在価値):ゴールとその期限、計画
第3原則 タイムリーかつ継続的な振り返り
第4原則 トップ関与
という四つを、「成長学:実践養成塾」に欠かせない原則としてお話をしました。
ここで、少々重複しますが、重要ですので、もう一度、「成長学:実践養成塾」に
至った背景を整理しておきましょう。
それは、
理念31: 「人を育てる」とは・・・
本人がその気になって、持てる能力を最大限に発揮できる環境をつくること
を前提にしていました。
そして、そのために必要な三つの要素、
① 成長心を修得する機会
② 成長心あふれる空気
③ 成長実感のしくみ
のうち、①の「成長心を修得する機会」についてお話をスタートしたわけです。ここで、
成長心とは、「成長していくための心の持ち方、姿勢」といったものをいいました。
その「成長心を修得する機会」として、「成長学講座」ともいうべきものが“企業内部”に
あるべきではないのか、という問題提起をさせていただきました。
もちろん、よく考えてみれば、企業がわざわざこんなことをしなくても、学生時代、
社会人の時代を通じて、する人は、自分でちゃんとやって来ているわけです。しかし、
時代の変化もあって、そういったことを学ぶ機会と意欲が乏しくなっていていることは
紛れもない事実です。
とすれば、底上げするためにも、また、優秀な人間を少しでも早く、多く輩出するため
にも、企業が何らかの“しかけ”をしなければならないことは、言うまでもありません。
そして、その“しかけ”の代表例が「成長学講座」なのです。しかし、私自身、多くの会社
から、この種の研修のご依頼を受けて、実践しているうちに、大事なことに気づいて
きました。
それは、そういった研修が成果をあげているかどうかは、経営者の想いがその研修
等に乗り移っているかどうか、にかかっている、という点です。
しかも、その「想い」は、社員がとにかくレベルアップしてほしい、というようなレベルの
「想い」ではありません。そんなことは、経営者としては当たり前です。
それを超えた、レベルアップするための「具体的な方向や中身」に、強い「想い」があり、
それが研修に乗り移り、結果として社員に伝わらなければならないのです。
「うちのメンバーは、とにかくまだまだレベルが低いので、先生、なんとか頼みますわ」
で、人が育つなら、誰も苦労はしません。これで効果のある社員は、放っておいても
レベルアップする人であって、研修としての効果は、ほとんどないといってもいいでしょう。
私がここ数年、お手伝いをさせていただいている会社は、社員数は100数十人ですが、
その全員を、数人の小さなグループに分けて、成長心を修得する「場」を設けています。
そのすべて、100%の「場」に、社長が出席して、ひとりひとり、全員の話を聞き、全員に
コメントを言い、議論をしています。この場を通して、具体的な社長の想いを伝えてい
ます。それでも、これを、何回も何回も繰り返さなければ、伝わらないのが現実です。
上記の第四原則で、「トップの関与」というものを入れているのは、このような理由に
よります。
こういうことを考えてきますと、まず、経営者が「成長心」に関する具体的な熱い想いを
書き記したものがより意味をもつだろう、ということで、「成長心の教科書」という表現を
とったわけです。
このことが、「成長学講座」を“企業内部”に持つこと、すなわち、経営者の想いが乗り
移った「場」により、その思いが社員に伝わる“しかけ”につながると思っています。
したがって、かなり間があきましたが、しばらくぶりに、この部分を理念にしておきましょう。
理念32: 「成長心」に関する具体的で熱い「想い」が、すべてのスタートである!
次回は、上記四つの原則にみられるもう一つの重要な要素、「個人」への落とし込みに
ついて整理することにします。
■ 3. 今月の本棚
<『名言の正体』 山口智司著 学習研究社>
今回は、少し雑学的で、しかしおもしろい本をご紹介しましょう。
現在に伝わる数々の名言を、「ほんとうにそうか?」「違った意味で伝わって
いないか?」といった、誤解、捏造等の有無に踏み込んで整理した本です。
著者の山口氏は、
『生まれてすみません 太宰治 一五〇の言葉』
『トンデモ偉人伝』
など、名言に関する著作を多く出しています。
「酒は百薬の長」
酒の健康への効果をいっているわけではなく、『漢書』では、
「夫れ塩は食肴の将、酒は百薬の長、宴会の好、鉄は田農の本」
と記されていることから、塩、鉄とならんで国が専売権を持つ重要なものだと
いうことを示している、ということです。
「将を射んとすれば、まず馬を射よ」
杜甫の有名な言葉ですが、大きな目標を達成するためには、まずその基礎
となる部分から手掛けるべきだ、という意味にとられていますが・・・
敵だからといって、人を殺し始めれば際限がなく戦争が続く、無用な殺生は
最小限に抑えなければ、乱れた国家は良くならない、という悲痛な叫びだと
いうのが本来の意味だそうです 。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」
福沢諭吉の名言ですが、一般には、「人間はみな平等」の意味にとられています。
ところがそのあとには次にように続きます。
「・・・その有様雲と泥との相違あるに似たるはなんぞや・・・
されば賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり」
ここから判断すれば、平等を謳ったものではなく、努力したものとそうでない
ものとで大きな差がつく、という自己責任論を唱えたものである、ということが
わかります。
どこかのあいさつで使えるような内容ですが、一方で、正確に伝えることがいかに
むずかしいか、人と時を介してどんどん変化いしていく怖さも感じます。
ぜひ、ご一読ください。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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