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いーかわらばん vol.373

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2009/06/11
  • vol.373

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

出版・印刷業界、再編序曲?

■ 2. 山崎発、経営を考える

効用的修羅場の買いつけ(その41)・・・ ゴール(目的と成果)の設定こそ!

■ 3. 今月の本棚

『天地人』 火坂雅志著 NHK出版

■ 1. 時の話題

<出版・印刷業界、再編序曲?>

先日、この「時の話題」で、イーブックについてお話をしましたが、出版業界は、印刷
業界をも巻き込んだ、大きな再編序曲の時代を迎えています。

印刷業界最大手の大日本印刷は、昨年と今年の2年間で、
 図書館流通センター 50.35%
 丸善 51.28%
 ジュンク堂 51%
 主婦の友社 39%
と株式所有をすすめ、すごい勢いで、出版会社等の子会社化を果たしてきました。

さらに、先月には、ある会社の株式を、講談社、集英社、小学館といった出版大手が
それぞれ4.29%、大日本印刷が6.6%、さらに丸善が5.57%、図書館流通センターが
3.86%の取得をしました。

その取得の対象になったある会社とは、なんと古本業界で、フランチャイズ店を含めて
850億円の売上をあげているブックオフです。

古本はもちろん、売れないで返品されてきた新古本などを取り扱っている同社ですが、
「業界のパラサイト」などと言われて、出版不況の一因を作っているとして、出版業界
からは、冷たい目で見られてきました。

一方、インターネットが急速に普及したことによって、印刷業界も出版業界もその分野
への参入を余儀なくされてきたことも事実です。

再販制度、委託販売制度といった慣習で成立してきた出版物の流通は、インターネット
の普及と古本市場の充実によって、大きな変化、転回を迫られています。

消費者の側から見れば、読者の求める場所で、読者の求める形(アナログ、デジタル、
ダウンロード等)で出版物に接することができるシステムが、要求されてきています。

火薬、羅針盤とともにルネサンスの三大発明と言われた活版印刷がスタートしたのが、
15世紀中ごろ、それから550年の月日を経て、出版・印刷という世界も、「コペルニクス的
転回」の時期を迎えているのかもしれません。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<効用的修羅場の買いつけ(その41)・・・ ゴール(目的と成果)の設定こそ!>

前回は、不得意な(できない)部分を任せ、なおかつリスクを軽減するために、
経営者的人材として心がけるべき、三つの掟についてお話をしました。

第一の掟は、その不得意な部分を任せる「人」を、可能な限り複数持つべし。

第二の掟は、不得意な(できない)部分を任せたそれらの複数の人とのコミュニ
ケーションを、意識的に、たくさんとるべし。

第三の掟は、たとえ不得意な分野であっても、任せる人に、その目的や成果を、
確実に理解させ、その進行状況(プロセス)についてもしっかりとチェックすべし。

そして、この第三の掟を、きちんと実行しようとすると、目的や成果を設定し、
理解させ、進行状況の是非を判断できるレベルにまで、任せる側が到達して
いなければならない、と申し上げました。

ここで、キーワードは、(繰り返しになりますが)任せる側の、
 「目的や成果を設定し、理解させ、進行状況の是非を判断できるレベル」
です。

ここから、得意な(できる)部分であれ、不得意な(できない)部分であれ、
任せる側になくてはならない“二つの要素”が明確に見えてきます。

第一の要素は、「ゴール(目的と成果)」です。

第二の要素は、「進行状況の是非の判断」です。

今回は、まず、第一の、「ゴール(目的と成果)」を考えてみましょう。

ゴール(目的と成果)を持たずに人に任せるのは、実は問題外です。なぜなら、
 理念13: 経営者は、他を通して、“やりたいことを”やりきる!
が大前提だったはずだからです。

まず、「やりたいこと、実現したいこと」があって、はじめて「他を通して」すなわち、
「任せる」ことが始まるのです。

たとえば、

  こういうことを実現したい、しかし、それには、この最初の段階で、法律的に
  きちんと手を打っておかなければならないかもしれない。
  しかし、その法律の分野についての見識は持っていない。
  内部スタッフなり、外部の専門家に「任せよう」・・・

というように、その法律的課題という不得意な(できない)部分を他に任せる場合に、
そのおおもとである、実現したいこと、やりたいこと、さらにその最終の期限など、
ゴールをはっきりさせておかなければ、どうしようもないはずです。

考えてみれば当たり前のこのことを、実際には、極めていい加減にして仕事をして
いるケースが非常に多いように感じます。

それでは、この原理を、実際の仕事に簡単に応用できるように、やさしく言い換えて
おきましょう。

ものごとについて先を見て計画を立てるとは、簡単にいえば、
 ① 何のために(何を求めて)
 ② いつまでに
 ③ だれが
 ④ 何をする
という四項目を設定することでした。

任せる側は、上記の四項目のうち、
 ① 何のために(何を求めて)
 ② (最終期限としての)いつまでに
を、はっきりさせておくべきだということなのです。このことが、目的と成果をはっきり
設定し、理解させて、任せるための、任せる側の第一要素の具体的項目なのです。

この際の重要な注意点を一つだけ申し上げておきます。

それは、その目的、成果、最終期限について、任せる側、任される側の間で、
合意の確認を怠るべきではない、ということです。

任せる側がいい加減な場合、任される側が、すかさず
 「目的は?成果は?最終期限は? こういうことでいいですか?」
と確認する風土を定着させることが、最終的には必要なのです。

そして、そののち、少し前にお話しした、
 初期報告 → 経過報告 → 結果報告
へと進んでいくわけです。

次回は、第二の要素、「進行状況の是非の判断」について考えてみましょう。

■ 3. 今月の本棚

<『天地人』 火坂雅志著 NHK出版>

言わずと知れたNHK大河ドラマの原作です。前回の「時の話題」において、
昨年の『篤姫』から引き続いて、そこそこの高視聴率を保っているとお伝え
いたしました。

歴史小説としては、大変読みやすい本ですので、全三巻を“いっき読み”して
しまうのですが、読み終えた瞬間の素直な感想は、
 大河ドラマの原作に選ばれた理由が、なんとなく垣間見える!
というものです。

その一つは、何といっても、上杉謙信が貫き通した「義」の精神です。一見、
合理的な原理に見える「利」の追求は、中・長期的には極めて脆いものである、
という考えが全巻を通じて流れています。

現在の政治も経済も、あまりにも目先の「利」に翻弄されていることに対する
反省や戒めが込められているのでしょう。

二つめは、上杉謙信が直江兼続に対して言った、
 「そなたは、わしとはちがう。そなた自身の義を見つけよ」
という言葉に対し、やがて兼続が兜につけた「愛」の一文字の意味です。

ここには、民を憐れみ、家臣を憐れみ、敵をも憐れむ、仁愛の精神が表れて
います。そして、それを最後まで行動で示し続けたことが、深い思いやりの心を
失いつつある今の世の中への示唆となっているように思います。

そして、三つ目には、少し変わったとらえ方かもしれませんが、「主」と「従」の
調和と対照です。

上杉景勝に対する補佐役直江兼続、歴史の表舞台に立ち、政権を握る信長、
秀吉、家康に対する上杉、武田、伊達、真田など、また、政治文化の中心である
京都に対する越後や米沢、その他の地方・・・。

中心にあるものとその周囲を固めるものとが、ある時は調和し、対立し、補佐し合う、
その微妙な関係が大変興味深く描かれているように思います。

天地人とは、「天の時、地の利、人の和」からつけられたタイトルです。そのもとは、
  天の時は地の利に如かず
  地の利は人の和に如かず
という孟子の教えから来ているといわれます。

直江兼続という、400年前の日本をまっすぐに生きた人間から学ぶものは、非常に
大きいと思います。ドラマはもちろんですが、宮尾登美子著『天璋院篤姫』と合わせて、
この原作も、ぜひ、ご一読ください。

■ 4. おしらせ

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次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. おしらせ

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