いーかわらばん vol.355
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2009/01/29
- vol.355
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
< 資金のリスク管理と「予約保証制度」>
100年に一度とか言われている金融経済危機を背景に、さまざまな融資制度が
創設されていますが、最近よく受ける質問のひとつに信用保証協会の「予約保
証制度」というものがあります。
簡単にご説明をしておきましょう。
これは、景気の影響をもろに受けやすい中小企業を対象として、前もって金融
機関と信用保証協会の審査を受けておくことによって、最大2,000万円までの
保証付きの融資の予約が1年間有効になるというものです。
すなわち、急な資金需要が発生した場合に、直ちに保証付き融資を受ける
ことができるわけです。
まず対象となる中小企業者の要件ですが、
① 同じ事業の業歴が3年以上
② 申込先の金融機関との与信取引が1年以上
③ リスク考慮型保証料率の適用対象であること
④ 保証料率の区分が、2~9であること
のすべてを満たしていること、です。
上記③④に見られるリスク考慮型保証料率とは、「中小企業信用リスク情報
データベース(CRD)」により判定された9区分に基づく保証料率を言います。
この制度では保証の予約時に保証料は発生しませんが、その予約に基づい
て実際に融資を受けるときには、先ほどの区分に基づき、実際の区分より
一区分リスクの大きい区分の保証料率が適用されます。つまり、保証料率が
通常より若干高くなることを、覚悟しなければならないわけです。
その他、申込みは金融機関であって信用保証協会ではないこと、利率がその
金融機関の所定のものであること、保証期間は5年であること、連帯保証人は
代表者以外不要ですが、担保は適宜必要なこと、等に留意する必要があります。
詳細は、金融機関等によって異なりますので、前もって確認する必要があるで
しょう。
こういった先が見えない経済情勢においては、複数の状況を想定し、どれだけ
早い段階で将来の資金繰りなどが読めるか、という点がリスク管理上は必要に
なります。
たとえば、私どものいくつかのお客様には、売上前年対比を、部門別に120%
~60%の間で、10%刻みに想定し、それぞれの場合の損益、資金状況をシミュ
レーションしたうえで、いち早く先を読むためのリスク対応のしくみを構築して
いただいています。
このようなしくみのもとで、黄信号、赤信号がともる部門が出てきたときに、
迅速な資金手当が必要とあらば、この予約保障制度も意味を持ってくることに
なるでしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<効用的修羅場の買いつけ(その23)>
前回は、「一流人材への成長連鎖のしくみ」の二つ目として「体験視野」のお話に
入り、そのスタートとして、「体験視野マトリックス」についてご説明をしました。
たとえば例として前回申し上げたように、縦軸に国名、横軸に分野ということで
できあがるこの「体験視野マトリックス」について、いくつかの重要な視点があります。
一つ目は、まず縦軸、横軸にどういった項目がどれくらい入るかです。これは
その人の「興味の範囲」を示しています。
二つ目は、その中で、空欄ではなく、実際に何らかの印(○◎●)が入っている
項目が、どれくらいあるかです。これは、「体験の範囲」を示しています。
三つ目は、その印の濃さがどれだけ黒(●)に近いかです。これは、それぞれの
項目の「体験の深さ、レベル」を示しています。
そして四つ目に、もしこのマトリックスをたとえば毎年一回、元旦に作成したとしま
すと、毎年そのマトリックスがどのように変化しているかです。これは、「体験視野
の成長」を示しています。
さまざまな経営者や後継者、経営幹部について作成された「体験視野マトリックス」
を見ていますと、今申し上げた、
① 興味の範囲
② 体験の範囲
③ 体験の深さ、レベル
④ 体験視野の成長
の四つが、広く、深く、また年々成長していくことは、トップに近づくうえで、言い換え
ると、経営者的人材に近づくために、極めて大事な要素のひとつである、と言っても
過言ではありません。
トップとトップ以外に大きな差があることと、この「体験視野マトリックス」に大きな差が
あることとは、かなりの確率で重なります。
また、たとえば、「大学時代に勉強はほとんどしなかった、遊びまくっていました」とか、
「クラブ活動だけで4年間終わりました」と言っている人がいたとしても、もしその遊び
やクラブ活動を通じて、この「体験視野マトリックス」が充実したとすれば、それは大き
な財産となってあらわれていることになるでしょう。人脈やネットワークなども、明ら
かに、ここに入ってきます。
前回、向上心、知識力、体験力が一流人材になるために必要な能力と申し上げまし
たが、それでは、この大事な無形の財産を、能力としてどのように位置付けたらよい
のでしょうか。
「知識力」かというと、関連はするけれどもかなり違う、では「体験力」かといえば、
広い意味ではその一部分ではあるけれどもズバリではない、向上心かというと、
それが必要だろうけれどもまた異なるもの、ではこれさえあればよいかというと、
そうでもない・・・。
結局、この体験視野という能力は、前回、私が申し上げたように、体験力を養い、
維持するための「こやし」という表現が適切な気がします。
今の日本の偏差値重視、記憶力重視の学校教育においては、このような領域はほと
んど醸成されないのではないでしょうか。
しかし、一方でこの「体験視野」は、トップとトップ以外のギャップが大きい理由のひとつ
になるとともに、「一流人材への成長連鎖のしくみ」には、必須の要素であることは間違
いありません。
とすれば、企業として、この「体験視野」をいかに醸成させるかは、大事なポイントです。
次回、この点について、さらに整理していくことにしましょう。
■ 3. 財務ホット情報
<平成21年度税制改正大綱>
平成20年12月12日、自民・公明両党は平成21年度税制改正大綱を公表しました。
世界規模の金融危機にみまわれている中での公表につき、生活防衛内需刺激が
強くうちだされた内容となっています。
主な内容としては、以下のようになります。
①中小企業への優遇税制
②住宅ローン減税の延長・拡充、土地取引における譲渡益の優遇
③上場株式等の配当・譲渡所得に対する軽減税率の延長
④事業承継税制における相続税・贈与税の納税猶予制度の創設
この中で、特に中小の法人に関係のある中小企業への優遇税制、土地取引に
おける譲渡益の優遇について簡単に、ご説明させていただきます。
①中小企業への優遇税制
~中小企業の法人税の軽減税率の引き下げ~
資本の額又は出資金の額が1億円以下の普通法人等について平成21年
4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する事業年度において、所得
のうち年800万円以下の法人税の軽減税率が、現行の22%から18%へ引き
下げられます。
~欠損金の繰り戻し還付の復活~
平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額が、
対象となります。たとえば今期の決算で赤字になれば、前期の黒字で納めた
法人税の一部が還付になります。
②土地取引における譲渡益の優遇税制
~1,000万円特別控除~
平成21年1月1日から平成22年12月31日の間に取得した土地等を5年を超えて
保有した後に譲渡した場合、その年の譲渡所得から最大1,000万円が控除され
ます。
~先行取得の課税の特例制度~
これも平成21年1月1日から平成12年12月31日の間に土地を取得した後に、
その10年以内に他の土地等を譲渡した場合、譲渡した土地等の譲渡益の
80%(平成22年取得分は60%)を減額することができます。(圧縮記帳できます)
連日の国会報道等でご存知のとおり、改正法案は国会の審議を経て関係する法律が
成立した後に実施されるので、改正事項が予定どおり実施されるかどうか今後の動き
には注意が必要で、また機会があればお知らせしていきたいと思います。
ちなみに、定額給付金は、所得税及び住民税が課されないこととなっています。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
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