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いーかわらばん vol.347

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2008/11/28
  • vol.347

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

金融危機を生み出した“もうひとつ”の本質的要素

■ 2. 山崎発、経営を考える

効用的修羅場の買いつけ(その16)・・・「真の実を結ぶ」ためには?

■ 3. 財務ホット情報

後入先出法の廃止

■ 1. 時の話題

<金融危機を生み出した“もうひとつ”の本質的要素>

3回前のこの「時の話題」では、
   今、「真の含み益」を考えるとき!
というテーマで、時価主義の限界についてお話をしました。

今回、もうひとつ、金融危機を生み出した本質的要素について、問題提起をして
みたいと思います。

かつて2004年頃だったと記憶していますが、イトーヨーカ堂の創業者、
伊藤雅俊氏が、日本経済新聞の「私の履歴書」の連載で、
  まずお客様、次に社員、そして株主・・・
といった趣旨のことを記して、株主からの批判を浴びたことがありました。

われわれには、何で批判されるのかが、まったく理解できませんでした。あまりにも
言葉の表面だけをとらえた批判ではないのか・・・。

ところが、昨日11月27日付の日本経済新聞朝刊の第二部に、世界経営者会議の
講演要旨が記載されており、その中で、中国最大の企業間取引サイト、アリババの
CEO、馬雲氏の言葉に次のようなものがありました。

 社員に訴えたもうひとつの内容は、「お客様が第一で、社員が第二、株主は
 三番目」。株主の声に耳を傾けすぎると、経営に問題が起きかねない。常に
 お客さまの意見を聞く姿勢を持とう。お金を払ってくれるのはお客様なのだ。

彼はソフトバンクの社外取締役も務める、中国が産んだ逸材の一人ですが、先の
伊藤雅俊氏の言葉が批判を浴びるなら、まったく同じことを言っている馬雲氏の
言葉も同様に批判を浴びなければならないはずです。

しかし、そういった批判は、今は、それほどなされないでしょう。これこそが、時代の
変化であり、このことは最近までの米国的な株主至上主義がいかに支配的であり、
また、その株主至上主義が、現在疑問視されているかの証左です。

しかし、ことの本質は、一番、二番といった「序列」ではないのではないでしょうか。

われわれは、次のように主張したいのです。と同時にこれは、イトーヨーカ堂
グループから学んだ視点です。

  お客様を大事にして、社員を大事にして、きちんと利益を出すことができるならば、
  配当、株価上昇等を通して、結果として、必ず、株主に貢献することができる。
  
  ただし、その逆、すなわち短期的に株主貢献をしたからといって、お客様や社員
  に貢献し、利益を生み出すことには、必ずしもつながらない。
  
  したがって、お客様や社員への貢献は「原因」であり、株主貢献はその「結果」で
  ある。

実際、「株式時価総額を最大にすること」を最高の使命に掲げてきた会社が、経営
困難に陥って、結果として株主に最大の損失をもたらした例は非常に多いのです。

経営における原因と結果のはき違い・・・、これも金融危機をもたらした重要な本質的
要素だと感じます。

最後に余談ですが、先ほどの馬雲氏の示唆に富んだ言葉をもうひとつ・・・
  
  ほかの企業が一方向へ前進している時は、少し戻ってみる
  過熱している時は冷静になってみる
  皆が大声で語る時は声を潜める
  そして皆が元気を失った時に飛び出す

さあ、みなさん、現在のような時ほど、飛び出しましょう!ただし、今までその準備を
していたものだけに与えられる特権なのですが・・・。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<効用的修羅場の買いつけ(その16)・・・「真の実を結ぶ」ためには?>

前回は、「種、芽、花、そして・・・」というテーマでお話をしました。今回は、「そして・・・」
の次の話に進みましょう。

前々回に、
  ①気づき→②初期行動→③意識の「具体的行動」化→④習慣化するまで継続
のプロセスから、さらに次の三つのことが言える、と申し上げました。

(1) その人が、成長する可能性が高いか否かは、その人に、上記①②③④の姿が
   見られるか否か、でおおよそ判断できる

(2) 成長の阻害要因が、上記①②③④のどこにあるかを判断し、本人に真剣に考え
   させる、あるいはヒントを与えるのが、指導者のひとつの役割である

(3) 上記①②③④こそ自己成長に寄与する、という風土を持った組織は、その組織
   そのものの成長可能性も高くなる

まず、(1)(2)について考えてみましょう。

これは、前回に示した、
  理念8: 意識を具体化し、無意識にできるまで継続してこそ成長の花が咲く!
という「成長の花」をほんとうに実らせていこうと思うと、

(1)成長プロセスのどこに阻害要因があるか
(2)それを本人とまわりがどれだけ真剣に考え、試みるか

という二つが重要である、ということを言っています。

人間ですから、必ずしも成長プロセスをスムーズに駆け上っていくとは限りません。
むしろ、試行錯誤するのが普通でしょう。その時に、本人に真剣さ、場合によっては
しつこさはもちろん、周りの温かい目(激励、ヒント、ノウハウの提供など)が真に
実現するために必要なのです。

言い方を変えると、成長プロセスは自分だけでなく、他人をも成長させる可能性を
もつノウハウまで昇華させてはじめて結実する、と考えていいのではないでしょうか。

ちょうど私がしつこく「ボールを見る」ことに執着したときに、「ボールの縫い目の回転」
のヒントをくれたコーチのように・・・

実際、たとえば高度な技術を持った職人のかたで、指導、継承させる立場にある人は、
自分で長年培ってきたさまざまなノウハウ、現在手掛けている新しい技能が、他人にも
通用するかどうかを常に考え、他人に実践させていきます。

当たり前と言えば当たり前ですが、自分のノウハウを自分の中だけでとどめて
おかないで、他人にも応用可能な形にまで仕上げて、それを継承させていく視点が
次の新たな発展につながっていくのです。
これこそ前回申し上げた拡大再生産の基本にある発想です。

ということで、
  理念9: 自分の成長ノウハウが他人に通用して、はじめて真の実を結ぶ!
が成り立ちます。

真の実を結ぶ・・・、「真実」「結実」という「実」まで来ました。さて次は、最後の「土」です。

■ 3. 財務ホット情報

<後入先出法の廃止>

企業会計基準委員会は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を9月26日に
公表しました。
その内容は国際的な会計基準との融合を優先させて、棚卸資産の評価方法として
後入先出法を認めないというものです。

後入先出法とは、文字通り最後に仕入れたものから先に出庫されるものとして
棚卸資産の評価額を計算する方法で、わが国では従来認められていた方法です。

この方法によると、期首の棚卸資産を超えて払い出しをしない限り、物価の変動が
大きい時でも、収益(販売価格)と費用(売上原価)が近い物価水準で対応できる
という長所があります。

一方、原価の変動が大きい時には、棚卸資産が現時点での資産価値から、かけ
はなれた以前の額で評価され、また、原価を配分する仮定と実際の物の流れが
一致しないという短所があります。

この後入先出法を認めない会計基準は、平成22年4月1日以後開始する事業年度
から適用するとされています。
これにともない、法人税法上、どのような改正がおこなわれるかは、今のところ
わかりません。

しかしながら、法人税では、一般的に公正妥当と認められる会計処理に従って課税
所得を計算することとしているので、売上原価の計算の基礎である期末棚卸資産の
評価方法について、会計上認められていない評価方法をあえて採用するとは考え
にくいものと思われます。今後の動向には注意が必要といえるでしょう。

■ 4. おしらせ

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次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 今月の事務
  • 4. おしらせ

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