いーかわらばん vol.338
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2008/09/26
- vol.338
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
日本にも「経済スパイ法」が必要!
■ 2. 山崎発、経営を考える
効用的修羅場の買いつけ(その7)・・・「もうひとつの目」と「結果」
■ 3. 事業承継の真視点
持株会社について(その2)・・・純粋持株会社と事業持株会社
■ 1. 時の話題
<日本にも「経済スパイ法」が必要!>
経済産業省に、
「技術情報等の適正な管理の在り方に関する研究会」
という長い名前の研究会があります。
その研究会が、企業の技術情報を不正に取得する行為を、法律によって罰する
制度を整備すべきだという報告書をこのほどまとめました。さらに議論を詰めた
うえで、2009年の通常国会に法案を提出する予定です。
アメリカでは、「経済スパイ法」という法律があります。
これは、1996年に制定されたもので、産業スパイ行為、あるいは企業秘密を盗む
ことを犯罪行為とするものです。
この法律を有名にした事件に、「遺伝子スパイ事件」と呼ばれるものがありました。
2001年に、アメリカ連邦大陪審において、アルツハイマー病の研究をしていた
日本人研究者が、遺伝子サンプルを不正に持ち出し、日本の理化学研究所に
持ち込んだとして、起訴された事件です。
その時の根拠になった法律が、上記の「経済スパイ法」と呼ばれるものでした。
現在の日本では、不正競争防止法によって、不正取得した技術情報などを使用
または開示したりした場合には、処罰対象となるものの、その立証には大変な
困難が伴うことが多いといわれています。
使用・開示ではなく、不正取得した段階で刑事罰を科することができる法律が
必要、というのが今回の報告の趣旨といえます。
新しい技術情報に対する国際的競争はますますその厳しさを増しています。
その中で知的財産を管理保護するための法的整備が叫ばれていますが、その
一環ととらえることができるでしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<効用的修羅場の買いつけ(その7)・・・「もうひとつの目」と「結果」>
前回は、
善悪>好き嫌い>損得
という理念について、お話をいたしました。
これを、価値観という言葉を使って書きかえると、
倫理的(道徳的)価値観>感性的(感覚的)価値観>金銭的(物質的)価値観
となることについてもお話ししました。
今回は、この理念に関する私なりの意味をもう少し深めておきたいと思います。
この三つの中で、最も重視するのはなにか、と聞かれたら、迷いなく、
好き嫌い=感性的(感覚的)価値観
だと答えます。
それは、「理念3:やりたいことをやりきる」からも明らかで、やりたくないこと、
いやなこと、きらいなことをやろうと思っても、なかなかうまくいかないし、やりがい
にもつながらないと思われるからです。
では、この好き嫌いと善悪とは、どういう関係にあるかと言えば、前にも述べた
ように、「好き嫌い」という主体的かつ主観的な視点に対するチェック要素である、
と私はとらえています。
ほんとうにやりたいこと、好きなことをやっていいのか、周りの人は喜んで
くれるのか、逆に迷惑をかけることはないのか、自分自身の主義や主張に抵触
するような行動にはならないだろうか・・・
言い換えれば、感性的、感覚的、主観的な「好き嫌い」に対して、より広い目で
客観的に、それを自己チェックするための「もうひとつの目」がこの価値観、
すなわち「善悪」であるといえるでしょう。
その結果、「悪」であれば、たとえ「好き」であってもそこはあきらめなければ
ならないわけで、その意味では、明らかに、善悪>好き嫌い です。
それでは、善悪、好き嫌いと、損得とは、どういう関係にあるのでしょうか。
それは、ずばり因果関係です。単純にいえば、損得は「結果」であることを、
しっかりと認識しておきたいと思っています。
すなわち、善悪>好き嫌いの部分が、きちんとしていれば、そのなりの「得」と
してあらわれてくるでしょうし、そうでなければ、「損」という結果につながる
でしょう。その意味で、明らかに、善悪>好き嫌い>損得となるのです。
しかし、その「結果」であるはずの損得が、真っ先に来てしまって、結果と原因を
混同したり、あるいは、その結果を極めて短期に求めることによって、いわゆる
「目先の利益」に目が眩んで・・・、ということも、かなりの頻度で起こってしまいます。
といいながら、一方で、やはり、「結果」を無視してはなりません。
この部分は、「原因と結果のとらえかた」という、ほんとうに大事なところですので、
次回さらに整理しておきたいと思います。
■ 3. 事業承継の真視点
<持株会社について(その2)・・・純粋持株会社と事業持株会社>
前回は、持株会社の定義についてお話をしました。
今回は、前回の定義とも関連しますが、事業持株会社と純粋持株会社について、
整理しておきたいと思います。
自らも事業を行いながら、いくつかの子会社を傘下に抱えている、しかし、
その子会社の株式を持つことを「主たる事業」とはしていない会社を、
事業持株会社、あるいは、事業兼営持株会社
といいます。
一方、他社の株式を所有することを通して、事業活動を支配することを
「主たる事業」としている会社、したがって収入のほとんどがその他の会社からの
配当金で占められているような会社を
純粋持株会社
といいます。
では、事業持株会社と純粋持株会社のグループ経営における実質的な相違点は
どこにあるのでしょうか。
純粋持株会社の場合には、グループ経営とは言いながら、子会社の経営体と
しての独立の程度は、相当に高いものと考えられます。
すなわち、事業そのものはもちろんのこと、財務面、総務面等の間接部門に関
しても、独立した事業体としての運営がなされることが多いと思われます。
言い方を変えれば、純粋持株会社の傘下にある子会社どうしでは、強力な支配
従属関係があるわけではなく、お互いに対等の関係にあるといっていいでしょう。
したがって、純粋持株会社の場合には、M&Aで、他の事業体を傘下に置いたり、
既存の事業体を売却したり、ということがよりやりやすい状況にあるといえます。
それに対して、事業持株会社の場合には、親会社の力が非常に強く、人事権や
財務権を握っているケースが少なくありません。たとえば親会社の保証を前提
として初めて子会社は資金調達が可能、などといったケースがよくあります。
さまざまなバリエーションはあるものの、総じて言えば、純粋持株会社に比べて、
事業持株会社の場合には、より支配従属関係が強いグループ経営がなされる、
といっていいでしょう。この点がグループ経営的な視点における実質的な相違点
です。
■ 4. おしらせ
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