いーかわらばん vol.337
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2008/09/18
- vol.337
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
「本業」 回帰が必要? 最近の金融!
■ 2. 山崎発、経営を考える
効用的修羅場の買いつけ(その6)・・・善悪>好き嫌い>損得
■ 3. 今月の本棚
『江戸商人の経営』 鈴木浩三著 日本経済新聞出版社
■ 1. 時の話題
<「本業」 回帰が必要? 最近の金融!>
サブプライムローン問題は、底なしの様相を呈してきました。
アメリカの大手住宅会社2社の破たんに始まり、証券会社のリーマンブラザーズ、
保険会社のAIGと、立て続けに経営困難に陥っています。
もともと、住宅の値上がりを前提として、サブプライムローンを拡大し、あるいは
証券化すること自体、当初から「ほんとうに大丈夫か」という声は、(小さいながら
も)いたるところで起こっていました。
その懸念が、臨界点を超えて、昨秋から、一気に吹き出し、本格化したというのが
真相でしょう。
いずれにせよ、遅かれ早かれ、こういう事態が訪れる“しくみ”だったのです。
言い換えれば、
“どこかおかしい?最近の金融!“
ということになるのではないでしょうか。
問題の本質はどこにあるのでしょうか。
短期的な収益確保を目指すあまり、金融本来の役割よりも、マネーゲームに、
より資金とエネルギーが投入されている、という主客転倒の実態にあるのでは
ないでしょうか。
実体経済が、着実に実質付加価値を増加させることができるように、可能性の
ある対象を選別して、側面支援をすること、ここにこそ、金融の本来的役割が
あるという点を重視する姿勢が、一部で忘れられているような気がしてならない
のです。
それは、排出権取引を「金融のチャンス!」ととらえる見方にも表れています。
排出権取引自体は、付加価値を生む実体経済ではありません。これによって、
本質的に、排出量が減るわけではないからです。そこに多額の資金を流し込む
ことが、金融の本来の役割なのでしょうか。
従来のエコ・ファンドにも、なんでこの会社が組み入れられているんだ、という
疑問が生じるようなケースが多々ありました。
目先の排出量取引を無視せよ、というつもりはありませんが、将来の環境改善
技術の促進や、環境に配慮した事業活動推進にこそ、より積極的に資金が
供給されてしかるべきだと思います。
そして、金融がこの「本業」を貫く限り、金融自体のノウハウレベルが向上する
ことは大いにあっても、第二、第三の金融崩壊はありえない、と思うのですが、
偏見でしょうか。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<効用的修羅場の買いつけ(その6)・・・善悪>好き嫌い>損得>
理念1:ダメ・ムリだと思った時がスタート!
理念2:周りが「できない」と言ったらチャンス!
理念3:やりたいことをやりきる!
について、それが効用的修羅場の買いつけにつながる意味合いと、その理念を
浸透させる方法について記してきました。
今回は、第四の理念
善悪>好き嫌い>損得 (「善悪 大なり 好き嫌い 大なり 損得」)
について、お話を進めていきましょう。
これは、この「いーかわらばん」でも、過去に説明をしたことがある理念です。
が、ここでもう一度申し上げるのは、「理念3:やりたいことをやる!」との関連に
おいて、その「やりたいこと」への優先順位づけ、あるいは規制やチェックにつながる
ものだからです。
ここで、
善悪 = 倫理的(道徳的)価値観
好き嫌い = 感性的(感覚的)価値観
損得 = 金銭的(物質的)価値観
と置き換えることができるでしょう。
もちろんこれらは、ここに記されているように、すべてが「価値観」であって、
絶対的な基準ではありません。
したがって、個人によって、あるいは同じ個人でもそのおかれている状況によって、
善と悪、好きと嫌い、損と得の間の線引き基準が大きく変わるでしょうし、また、
善悪、好き嫌い、損得という三つの順番が、ときとして変わることさえあっても
しかたないと思います。
しかし、自分のやりたいことについて、常に、チェック項目として、考えておくべき
順番であることは間違いありません。
それぞれを簡単にみてみましょう。
善悪=倫理的(道徳的)価値観が、優先順位のトップに来ることはいうまでもない
ことでしょう。
前回例に出した秋葉原の殺傷事件をあげるまでもなく、最近頻繁に起こる食品偽
装問題なども、この範疇に入ります。「やりたいこと」について真っ先に自己チェック
すべき項目です。
法律的に問題ないか、は当然のこととして、周りの人たちがほんとうにどれほど
喜んでくれたり、感動してくれたり、気に入ってくれるか、という使命感につながる
価値観です。
好き嫌い=感性的(感覚的)価値観が、なぜここに入ってくるのか、と疑問に思う
人もおられるでしょう。
講演などでこの話を持ち出すと必ず好き嫌いってそんなに大事ですか、という質問が
飛んで来ます。小さい時から、「好き嫌いで人やものごとを判断してはダメだよ!」
といったことを、親や先生から何度も言われた経験があるからではないかと思います。
しかし、われわれの行動の大部分は、好きなものを選択するところにあります。
好きな人と結婚し、好きな服を着て、好きな車に乗り、好きなレストランに行って、
好きなものを食べ、好きな趣味を楽しむ・・・
もちろん、誰しも好きなことを好きなだけできるわけではありませんが、人間は少し
でもそこに近付こうと、本能的に、感覚的に、行動することは確かです。
また、別の見方をすれば、自分のやりたいことを真にやりきるためには、周りの人
から少しでも自分を好きになってもらうように努力をすること、同時に、周りの人の
中に好きな部分を見出そうとする姿勢も、それなりには大事だということを意味して
いるように思います。自分の個性を殺してまでする必要はありませんが・・・。
そして、最後が損得=金銭的(物質的)価値観です。世の中では、これが真っ先に
来ることが多く、さまざまな問題を引き起こす引き金にもなっています。
これについては、いまさら多くを語る必要はないでしょう。
次回は、これら三つの価値観と、善悪>好き嫌い>損得のなかに潜む意味をさらに
深く検討してみたいと思います。
■ 3. 今月の本棚
<『江戸商人の経営』 鈴木浩三著 日本経済新聞出版社>
最近、東欧数カ国を歴訪してきましたが、社会主義からの移行過程においては、
さまざまな課題が山積みしており、その解決には、強力なリーダーシップのもとに、
スピーディなシステム構築が必要であることを実感しました。
たとえば、ある工業をひとつ育成するにも、人の調達のシステム、金融システム、
道路や港湾整備などの物流システム、水、電気、ガスなどのインフラ整備、徴税
のシステムなど、多くの解決課題が存在します。
その意味では、日本の明治維新の際、西欧に追い付け追い越せ、のかけ声の
もとで、文明開化、富国強兵を実践する旗振り役であった政治家、実業界のトップ
たちは、すごかったなあ、とつくづく思います。
しかし、そこには、明治維新につながる、江戸時代からのすばらしい経済、文化が
日本に存在したからこそ可能であった、ということが、この本を読むとよくわかり
ます。
本の帯には、
M&A、IPO、CSR ―
現代顔負けの熾烈な競争!
成熟した市場経済システムのなかで
培われた「日本の企業経営」の
ルーツを探る
と記されています。
日本的経営なのか、欧米型経営なのか、といった議論が無意味になるほど、世界
に誇ることができるシステムを江戸経済のなかに読み取ることができる気がします。
このことは、現在の日本の経済や企業をみる視点をワンランクアップさせることに
つながるでしょう。ぜひご一読ください。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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