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いーかわらばん vol.330

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2008/07/25
  • vol.330

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

勘定から感情へ・・・行動経済学

■ 2. 山崎発、経営を考える

修羅場の効用(その34)・・・過ぎたるは及ばざるが如し!

■ 3. 事業承継の真視点

数種の株式・・・まとめと注意点

■ 1. 時の話題

<勘定から感情へ・・・行動経済学>

小柴昌俊氏、田中耕一氏がそれぞれノーベル物理学賞、化学賞を受賞して、
日本が沸きかえっていたその同じ年に、ノーベル経済学賞を受賞したのが、
プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授です。

といっても、日本ではほとんど知られていない経済学者ですが、私の直感では、
おそらく将来の経済学の主流になるのではないか、と感じます。彼の理論は、
「行動経済学」の一環と言われています。

行動経済学は、きわめて学際的で、認知心理学、社会心理学等の心理学や、
人類学、生態学、生理学、社会学、倫理学から多くの影響を受けています。
特に、心理学との関係は非常に深く、「勘定から感情へ」「経済は感情で動く」
などと表現されることが多いようです。

たとえば、カーネマンが1999年に発表した「ピーク・エンド・ルール」というものを
みてみましょう。これは、経験上の快楽と苦痛の記憶は、ピーク時と終了時の
度合いによって決まり、時間の長さとは無関係である、という法則です。

①手がしびれて痛いほどの冷たい水に、1分間、手を入れている
②同じく1分間痛いほど冷たい水に手を入れるが、そののち、痛い
けれど少しはましな水の中にさらに1分間、合計2分間手を入れている

上記①②のどちらを選びますか?と質問をすると、ほとんどの人は、①と答えます。
「たとえ少しましでも痛いのはイヤだ、2分間入れるよりも、1分ですむほうがいい」
と考えるからでしょう。

しかし、実際に上記①②を体験してもらった後に、もう一度①②のどちらを体験
したいですか?と質問すると、今度は②のほうがいい、という人が俄然多くなります。

体験後は、苦痛の「時間」には無関係で、よりよい記憶が残る②を選ぶ、という
「ピーク・エンド・ルール」が見事に反映しているわけです。

単純に言えば、体験前は、「苦痛が多いのはイヤだ」と思うのですが、体験後は
苦痛は忘れて、よい思い出が心に残る、ということなのでしょう。このことは、
たとえば、ご来店していただいたお客様にどれだけ快感をもって帰っていただくか
が非常に大事、ということにもつながるでしょう。

小売業では、「経済学≒心理学」はしきりに言われていることですが、今後その
メカニズムの解明が他の分野にも及んでいくと思います。しばらく行動経済学の
進展には注目しておく必要があるでしょう。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<修羅場の効用(その34)・・・過ぎたるは及ばざるが如し!>

「プラス方向の肚」「マイナス方向の肚」の双方にまたがる「陥りやすい罠」に
ついて、過去3回にわたってお話をしてきました。

第一の罠は、「自分にとって都合のよい検証をする」ということでした。
言い換えれば、採用すべきデータに、何らかの自分の思いから、バイアスが
かかってしまう、ということです。

第二の罠は、「世間の風潮に左右される」ということでした。周りがやっている
から大丈夫という思考回路はきわめて危険である、ということです。

第三の罠は、「いずれそのうちやるべきときが来る」という発想です。
これは問題の先延ばし以外の何ものでもない、ということでした。

そして、今回最後になりますが、どうしても申し上げておかなければならない、
第四の罠は、「過ぎたるは及ばざるが如し」です。

要は「大胆に過ぎる」「慎重に過ぎる」ということですが、現実問題として、
「過ぎる」「過ぎない」かの境目などわかるわけがありません。問題は、
いかなる時に、いかなる大胆さか、という問題です。

このようなことは、どこまで行ってもケース・バイ・ケースなのですが、ただ、
多くの倒産事例や失敗事例を見ていると、よくないときに「一発逆転勝負」
「起死回生」を狙った結果、さらに事態を悪化させる、ということが多いのです。
一見「肚」のようで、そうではありません。なぜでしょうか。

ほんとうの変革はよくないときのほうがやりやすい、ということも真実ですから、
よくないときに、それなりの大胆さは必要です。ヤマト運輸やアサヒビールの
例を見ても、危機感あふれる時にあたらしい事業や商品が創出されています。

「一発逆転勝負」「起死回生」という言葉は同じでも、ポイントは、やはり
「詰め」の厳しさがあるかないか、の違いに帰着します。たいていの場合、
よくないときは、余裕のなさ、あせりから、「詰め」が甘くなりがちです。

結局、「着眼大局、着手小局」あるいは「大胆に、かつ繊細に」など、仕掛けの
大きさと、詰めの厳しさを兼ね備えることが重要だという、巷でよく言われて
いる当たり前のことが、実際にできるかできないか、にかかっているのでしょう。

■ 3. 事業承継の真視点

<数種の株式・・・まとめと注意点>

昨年の11月から8回にわたり、下記の4つの種類株式について、
特に事業承継についてどのように活用すればよいか、という点に焦点を当てて、
お話をしてまいりました。

① 議決権制限株式
② 全部取得条項付株式
③ 拒否権付株式
④ 取締役・監査役選解任権付種類株式

ここで、これらの数種の株式に共通する注意点を申し上げて、このお話を
終わりにしたいと思います。

一つ目の問題点は、それぞれの項目のところでお話をしましたが、普通株式から、
上記のような種類株式に変更をする場合には、必ず、株主総会の特別決議が
必要になる、という点です。

言い換えれば、全株式の67%の株式の承認がなければ、実際にはほとんど活用
できない、ということです。したがって、中小同族会社において、税金対策を狙って、
株式を子や孫に分散することは、将来問題を生じることになる可能性はあると思い
ます。

もちろん、本来は、そういった人たちにきちんと納得していただく説得力が必要
なのでしょうが、現実なかなかそうは行かないことも多いと思われます。

また、二つ目の問題としては、それぞれに必ず、メリットとディメリットがある、
という点です。この点については、それぞれのところで、可能な限りご説明をした
つもりですが、実施する場合には、必ず弁護士等専門家に相談をしていただいて、
落とし穴がないかどうか、念入りにチェックをしていただきたいと思います。

次回からは、普段からご質問が多いにもかかわらず、今まで、十分にご説明を
していない、持株会社について、整理していきたいと思います。

■ 4. おしらせ

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次回のテーマは以下の通りです。

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  • 2. 山崎発、経営を考える
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  • 4. おしらせ

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