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いーかわらばん vol.325

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2008/06/12
  • vol.325

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

「うまい話にはウラがある!」・・・中小企業の新事業承継税制

■ 2. 山崎発、経営を考える

修羅場の効用(その29)・・・「先見の明」≒「やり遂げる執念」

■ 3. 今月の本棚

『野村の「眼」』ー弱者の戦い 野村克也著 KKベストセラーズ

■ 1. 時の話題

<「うまい話にはウラがある!」・・・中小企業の新事業承継税制>

本年10月施行となる新しい中小企業の事業承継税制については、徐々にその
詳細が明らかになりつつあります。より厳密には、今年暮れの税制改正でさらに
細かな詰めを行った後に、10月に遡って実施されるということになります。

この話題が出た当初は、これで上場していない株式も、ある意味やっと“株式”
という枠組みから外れて、欧米並みに“事業用資産”という色合いが濃くなった
なあ、と一歩実態に近づいたことを評価する声が高かったように感じます。

ところが、どうして、どうして・・・。「うまい話にはウラがある」の典型のようなしくみ
になりつつあります。

まず、後継者がきちんと承継しているかについて、本人も周辺親族も同意してい
ることを経済産業省に申請し、5年間は代表者を続け、株も絶対に売らず、従業
員の8割は雇い続けることについて同省大臣に「誓い」(申告)を立てなければ
なりません。

「誓い」を立てたからには、ひとつでも破ったら、とんでもない「お仕置き」が
待っています。税金は即座に取り戻されるのです。すなわち、この制度は免税で
なくて、猶予にすぎないのです。

このことは、M&Aや、合併をもしにくくし、組織再編を明らかに阻害します。

さらに、兄弟で経営を継いでいても、兄が代表、弟は常務である場合、弟は適用
が受けられません。また、先代の奥さんが株式を所有し、長男が代表である場合、
先代の奥さんが代表でなければ、その奥さんの相続では、この適用がありません。
さらに、持株会社、不動産管理会社などの場合に制約がありそうで、意味の薄い
制度に成り下がってしまいました。

最後にもっとも怖いのは、あまり知られていませんが、同時に遺産取得税体系へ
の改正があることです。

今までは遺産税体系と呼ばれ、その人の残した遺産そのものに累進税率がかけ
られ、どのように分割しても原則として税金総額は変わりませんでした。しかし、
今度は遺産を取得した個人の財産に累進税率を掛けることになります。

このことにより、今回の減税分が他の相続人の相続税の減少に結びつくことを防ぐ
と同時に、基礎控除等のしくみ如何では、増税になるケースもかなり増えると想定
されます。

転んでもただでは起きない、絶対に収入は減らさないという財務省のしたたかさを
目の当たりにするような今回の改正ですが、こんなことを繰り返していると、ます
ます人もノウハウも、日本から離れ、国力を落とすことにつながるのではないで
しょうか。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<修羅場の効用(その29)・・・「先見の明」≒「やり遂げる執念」>

それでは、やっと予測との関連について考えてみたいと思います。

もちろんここでは競馬の予測であるとか、金融商品や為替の予測が当たる、当た
らないといった予測の問題を取り上げるわけではありません。より自分の意思や
力の及ぶ範囲における予測の問題です。

たとえば、「肚」との関係において、大きな決断をして設備投資をしたり、M&Aを
仕掛けたり、あるいは、新規事業に進出したりしてしばらくたったときに、
 「さすがにあの人は先見の明がある」
 「彼には、結局、先を見る目がなかったということだ」
といった言い方をされる場面に、仕事柄、数多く遭遇します。

そのたびに、「先見の明」「先を見る目」って何だろう、ある人とない人はどこが違う
のだろう、ということを考えてきました。

現段階における結論ですが、ひとつは、今までずっと議論をしてきた大局観そのも
のだろうと思います。しかし、もうひとつ、「先見の明」「先を見る目」を持っている人
に共通の特性があります。

それは、「やり遂げる」ことに並々ならぬ「執念」を持っている人だ、という点です。

新規事業開発のご指導をしているときに、必ず申し上げることがあります。それは、
「何かいい商売ありませんか」
は、最悪の質問である、ということです。

一生懸命取り組んで、試行錯誤を繰り返し、それでもあきらめずにやっと形ができ
あがり、お客様に支持をいただいたときに、振り返ってみて、はじめてそこに「いい
商売」があったことになるのであって、初めから客観的に「いい商売」があるのでは
ないわけです。当たり前のことです。

これと同じことが、「先見の明」にもいえます。客観的に(評論家的に)「先見の明」
が存在するのではなくて、みずからやり遂げる「意思」や「執念」が、「先見の明」を
創り出していると感じます。

言い換えれば、「先見の明」は、やはり「大局的しつこさ」から生まれてくる、「大局
的しつこさ」をもってやり遂げたときに、結果として、「先見の明」があったことになる
のではないでしょうか。

■ 3. 今月の本棚

<『野村の「眼」』ー弱者の戦い 野村克也著 KKベストセラーズ>

ご存知、現楽天監督、野村克也氏の本です。本日6月12日朝現在で、楽天は
パリーグ3位、しかも2位日本ハムに1ゲーム差の状況です。数年前からは、
想像できない成績です。

この本のはしがきに、秋季キャンプの最終日の監督訓示が載っています。
そこには、
 ・・・本当の出発は2008年からだ。こういう節目の年を迎える。
 本腰を入れて“優勝”を意識していく。最低でもAクラス。プレーオフ。
 そして優勝のチャンスが巡ってくる。・・・
と記されています。

現在の成績は決して、想像以上の成績ではないことになります。

その同じ、はしがきの監督訓示には、次のようなことばも見えます。
 ・・・進歩とは何かー“長所を鍛えるは短所を捨てる” 僕は違うような気がする。
 “長所を伸ばすは短所を鍛える”と僕は心がけてきた。短所と長所のギャップ
 があると、短所が長所さえも殺してしまう。・・・

また、あとがきには、
 ・・・人間、沈まないとジャンプはできないーそれが謙虚さであり、素直さである。
 それがなければ進歩はない。「感謝」というのは、人間形成の基本の基本である。
 これが無形の力ーすなわち考える力、感じる力、備える力に発展していく基で
 ある。・・・

ひとりひとりの生き方にも、もちろん経営にも、参考になる点、考えさせられる点、
新しい発見が非常に多い本です。ぜひご一読ください。

■ 4. おしらせ

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次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. おしらせ

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