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いーかわらばん vol.322

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2008/05/22
  • vol.322

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

公益法人制度の抜本的改革、ただいま進行中!

■ 2. 山崎発、経営を考える

修羅場の効用(その26)・・・「勘」と「詰め」の繰り返し

■ 3. 事業承継の真視点

数種の株式・・・拒否権付株式(その2)

■ 1. 時の話題

<公益法人制度の抜本的改革、ただいま進行中!>

今では、誰もが知る言葉となった「NPO」は、平成10年3月25日法律第7号として
成立した「特定非営利活動促進法」にその法的な根拠があります。

それからはや10年が経過しました。この間に、小泉内閣の行政改革の一環として
推進されたいわゆる公益法人等の抜本的改革が、今まさに実行されつつあります。

実は、新しい公益法人制度が本年の12月1日より実施されることが決まっています。
これはきわめて大きな改革なのですが、その内容はあまり一般の人には知られて
いません。簡単に整理してみましょう。

公益法人には、社団法人と財団法人とがあります。これらは、民法第34条を法的
根拠としていて、設立については、現在は、主務官庁の許可が必要となっています。

抜本的改革の流れを簡単に振り返ってみますと、
 ・平成14年3月「公益法人制度の抜本的改革に向けた取り組みについて」閣議決定
 ・平成15年6月「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」閣議決定
 ・平成16年12月「今後の行政改革の方針」(閣議決定)のなかで、
           「公益法人制度改革の基本的枠組み」を具体化
 ・平成18年3月 三法律案(後述)を国会に提出
 ・平成18年5月 同 成立
 ・平成18年6月 同 公布 

ここで、三法律案とは、
 ①「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案」
 ②「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案」
 ③「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団
   法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」
の三つをいい、これが、新しい公益法人制度の根拠法律となります。

この法律の名称からもわかりますように、新しい制度では、
 ・設立に関しての許可主義を改めて、法人格を得ることと、公益性の判断を分離
 ・公益性の有無にかかわらず、登記により簡単に設立できる
 ・設立された法人につき、公益性の認定を行う
という仕組みになります。

したがって、現在の公益法人も、この法律に従い、
 ① 一般社団法人、一般財団法人
 ② 公益社団法人、公益財団法人
のいずれかを、今年の12月から5年を移行期間として選択・申請することとなって
います。

したがって、今後5年間、公益法人にはそれなりの嵐が吹くことになるでしょう。
もともと、官僚の天下り先とそこに対する補助金等の問題が浮き彫りになって改革の
メスが入ったとも一部では言われていますので、今後の行方は注目する必要があります。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<修羅場の効用(その26)・・・「勘」と「詰め」の繰り返し>

大局観の意味合いを考えながら、前回は、
 着眼大局→矛盾内包→決断→着手小局→・・・決断修正→着手小局 ・・・
という「決断修正能力の幅の広さ」の重要性と、この繰り返しが意味のある「しつこさ」に
つながることをお話しました。

今回は、「大局的しつこさ」と「勘、詰め」の関係について考えてみましょう。

大局観というのは、ある意味では、「勘」に近いものといえると思います。「勘」の
なかでも、特に「デザイン的なセンス」「構図の感性」と言ってもいいかもしれません。

よく「あの人はバランス感覚にすぐれている」とか、逆に、「彼はどうも全体像をつかんで
いないよな」と言われたりします。この「バランス感覚」や「全体像をつかむ」という表現は、
大局観のひとつの表れでしょう。

たとえば、よく遊園地などにある「迷路」を思い起こしてみてください。

「構図の感性」で、ものごとをとらえる人は、自分を見る視点を本能的に、迷路のはるか
上空に置きます。ナビゲーターのように上空から、デザイン的に自分の姿を眺めている
のです。

したがって、方向的にはあまり間違わないのですが、逆に、自分の通った跡を何らかの
基準で整理しておかないと、同じ道を何回も通って、行き止まりの壁にぶつかり、「俺の
勘も錆びついて来たな」になってしまいます。

前回例に出した将棋でもよく「第一感は5四歩!」といった表現をします。
この「第一感は」というときに頭の中にある手は、たいての場合、大局観に基づく勘に
近いもので、これは非常に大切にしなければなりません。これが最良手というケース
が9割近くあるといってもいいくらいです。

しかし、先ほどの迷路でも申し上げたように、これだけに頼っていると、なかなか勝て
ないし、上達もしません。いわゆる「詰めの甘い」「脇の甘い」状況に陥ります。
それでは、この「詰め」とは、何をすることなのでしょうか。

 この方法でうまくいくとすればどのような条件が満たされた場合だろうか。
 うまくいかない可能性があるとすれば、どういう場合だろうか。
 そのうまくいかない可能性はある程度つぶすことができるだろうか。
 もっと他によい方法はないのだろうか。
 ・・・・・

要は、自分が得た「第一感」に対して、自ら徹底した「検証」を加えることができるか
どうか、この「詰め」が大きな勝負の分かれ目だと思います。「詰め」を繰り返すこと
によって、「第一感」自体にも磨きがかかりますし、決断修正能力も向上します。

「やりきる能力」=「大局的しつこさ」は、「勘と詰め」の繰り返し、すなわち、
「構図の感性」と「その徹底した検証行為」の繰り返しから導き出されるものである、
といっていいいでしょう。

次回は、この「勘」+「詰め」の組織的な意味と、予測能力の問題について考えて
みます。

■ 3. 事業承継の真視点

<数種の株式・・・拒否権付株式(その2)>

前回は、拒否権付株式の内容と、若干の注意点についてお話をしました。今回は、
その具体的な手続きについて、例をあげてご説明をしましょう。

拒否権付株式を活用するケースとしては、
① 事前に親族等に経営権を承継して、なお、従来のオーナーが拒否権を持つ場合
② 経営を親族以外の第三者に譲るが、一定の範囲で拒否権を持ちたい場合
とに大きく分かれます。

今回は、①のケースでご説明をしましょう。

甲社の社長A氏は、新規事業の開発を進めていて、かなりの投資をしているために、
現在はトントンの状態ですが、数年後にはそれが実ってかなりの利益をもたらす
可能性が高い、と想定しています。

A氏は、利益があまりあがらず株価も低いこの機会をとらえて、長男のB氏に可能な
かぎり、株式を生前贈与してしまいたい、と考えていますが、一方で、B氏の経営能力
については、かなりの不安があるので、1株だけは、拒否権付株式にするつもりです。

さて、第一段階としては、既存の株式のうちの1株を拒否権付株式にしなければなり
ません。そのためには、株主総会の特別決議によって、定款を変更し、拒否権付株
式を発行する種類株式発行会社としておかなければなりません。

次に、既存の普通株式のうち1株を拒否権付株式に変更します。それには、既存の
普通株式を保有する株主による種類株主総会の特別決議が必要となります。

そして、拒否権付株式以外の従来の普通株式をA氏からB氏へ贈与します。贈与税
の負担を勘案しなければなりませんが、現在の株価が低いのであれば、たとえば、
相続時精算課税制度を適用するのも価値ある選択肢でしょう。いずれにせよ、一定
の期間を経て、普通株式は、B氏に贈与されていきます。

結果、多くの普通株式のほとんどは、後継者であるB氏が所有し、A氏は拒否権付
株式を1株所有することにより、B氏の独断専行を防ぐ、といったことが可能になり
ます。

この例でもわかりますが、拒否権付株式の設計の仕方によっては、何も決められ
ない状態が生ずる可能性があるということを気をつけておかなければなりません。
まるで、どこかの国の現在の国会みたいな状態に陥るわけです。

前回申し上げた、相続時に後継者以外の人が拒否権付株式を相続しないように
することとあわせて、専門家に相談するなどして、いろいろなケースを想定し、十分
な検討をしたうえで実行するようにしてください。

■ 4. おしらせ

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次回のテーマは以下の通りです。

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  • 2. 山崎発、経営を考える
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  • 4. おしらせ

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