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いーかわらばん vol.321

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2008/05/15
  • vol.321

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

統計に見る訪日外客数

■ 2. 山崎発、経営を考える

修羅場の効用(その25)・・・「決断」は仮説に基づくひとつの「試み」!

■ 3. 今月の本棚

『人生生涯小僧のこころ』 塩沼亮潤著 致知出版社

■ 1. 時の話題

<統計に見る訪日外客数>

前回は、ユーロ高の影響もあって、欧州の人たちが大西洋を越えて、ニューヨーク
周辺へ旅行するケースが増加していることをお話しました。

今回は、日本に来る外国人について、少し覗いてみましょう。

東京ディズニーランドへ行っても、秋葉原の電気街を歩いていても、中国をはじめ
としたアジア系の観光客が多いことは身をもって体験しますが、では、統計数字で
はどうなっているのでしょうか。

国土交通省の所管する独立行政法人に国際観光振興機構(JNTO)という組織が
あります。これは2003年に一連の独立行政法人化の一環として成立したもので、
2010年までに、ビジット・ジャパン・キャンペーンを通じて、訪日外国人旅行者
1,000万人を達成することを目標としています。

それでは、統計数字を見てみましょう。
(いずれも、下記国際観光振興機構ウェブサイトより抜粋)
  http://www.jnto.go.jp/jpn/tourism_data/visitor_data.html

2007年度(1月~12月)の訪日外客数は、
 韓国 260万人(前年対比 22.8%増)うち観光客208万人
 台湾 138万人(同 5.8%増)うち観光客125万人
 中国  94万人(同 16.1%増)うち観光客41万人
 香港  43万人 (同 22.6%増)うち観光客40万人
となっています。

ちなみに、同期間に
 米国 82万人(前年対比 0.1%減)うち観光客49万人、
 欧州全体 88万人(前年対比 10.0%増)うち観光客49万人
となっています。

また、2000年度では、
  韓国106万人、台湾91万人、中国35万人、香港24万人、米国73万人
の訪日外客数となっていますので、この7年間でアジアからの伸びが大きいことは
統計上も明確であるわけです。

また、中国は訪日外客数としては伸びていますが、そのうち観光客の割合は50%を
きっています。どちらかというと、米国や欧州と同様の傾向が見えます。

おもしろいのは、国際観光振興機構のウェブサイトを閲覧した地域のアクセスラン
キングです。(①②・・・はランキングを示します)
http://www.soumu.go.jp/hyouka/dokuritu_n/gijiroku/pdf/070530_1_7.pdf#search=
'国際観光振興機構'

英語       ①新宿 ②秋葉原 ③銀座・日本橋 ⑨箱根 ⑬京都駅周辺
韓国語      ①新宿 ②渋谷 ③池袋 ⑨梅田 ⑬大阪城 ⑭心斎橋
中国語簡体字 ①新宿 ②銀座・日本橋 ③渋谷 ⑥心斎橋 ⑦梅田 ⑪道頓堀
中国語繁体字 ①小樽 ②新宿 ③お台場 ④函館 ⑤富良野 ⑦軽井沢 ⑫心斎橋

新宿の人気は圧倒的ですが、関西では心斎橋の人気が、また台湾では北海道の
人気が高いことが伺えます。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<修羅場の効用(その25)・・・「決断」は仮説に基づくひとつの「試み」!>

前回は、「着眼大局、着手小局」には、その間に必ず矛盾が存在し、だからこそ
決断が要求されること、すなわち、
  着眼大局→矛盾内包→決断→着手小局
であることを申し上げました。

今回は、「矛盾内包」→「決断」→「着手小局」の中身について考えてみましょう。

ちょっと将棋の例を取り上げます。つい先日、5月8日、9日に将棋の名人戦七番
勝負第3局が福岡で行われました。二日目の夕方7時頃までは、圧倒的優位だと
思われていた森内名人に対し、粘りに粘った羽生挑戦者が「50年に一度」と言わ
れるくらいの大逆転を演じたのです。

このレベルになれば、十数通りのパターンを用意し、そのうち一つのパターンに
ついても、必要ならば、おそらく何十手か先まで読んでいるでしょう。その中で、
実際の盤上で指す手は「ただ一つ」です。それが「決断」であり、着手小局です。

しかし、その実践が進むにつれてうまくいかないことがわかれば、そのつど、
考え直さなければなりません。場合によっては、少し前(将棋で言えば数手前)
までさかのぼって、本来何を目指すべきだったのか、そのとき考えていた方法で
まだ可能なものはないのか、この先いかなる事態が待ち受けているのか・・・等々
を考え直して、また新たな仕掛けをすることになります。

すなわち、決断は矛盾を断ち切ってその中の一つの方法を採用し、着手すること
ですが、当然ながら、常にその進み具合を見ながら、採用しなかった他の方法も
含め、考えを修正していかなければなりません。ということは、採用しなかった他の
方法を、決して、あっさりと捨て切ってしまってはだめだ、ということなのです。
それを隅っこでいいから、どれだけ確実に保持しているかは重要です。

あえて一言で言えば、「決断修正能力の幅の広さ」です。考えてみれば、先が見え
ないことに直面し、なおかつ矛盾に満ちたものごとに対して決断をするのですから、
それが一発でうまくいく確率など、そんなに高いわけはないのです。

今回の羽生挑戦者の差し回しを見ていると、まさに、
 22通りの方法を試みて、それでも成功しなかったら、23通りの方法を試み
 なくてはならない!
を盤上で実践していたように思います。その「しつこさ」が、森内名人をもって
「8六桂」の可能性を見落とす、といった世紀の大ポカを引っ張り出したように私には
見えました。

 大局的にものごとを見なければ、何通りもの方法は生み出せない、
 その何通りもの方法には、メリットがあり、デメリットもあり、矛盾だらけである、
 それをしっかり考えた上で、矛盾を断ち切り、決断をする、
 結果として、一つ、二つの方法に着手する
 徹底的に実行するも、うまくいかなければ、残りの方法に時の変化を加えて
 再度考え直す
 さらに決断をして実行する
 上記を繰り返しながら、結果としてやりきる

決してスマートではないかもしれませんが、そしてまたあたりまえのことかもしれま
せんが、やりきる人間の典型的な動きです。決断とは、仮説にもとづく一つの「試み」
に過ぎない、ということです。

次回は、この「大局的しつこさ」と「勘、詰め」の関係を整理していきたいと思います。

■ 3. 今月の本棚

<『人生生涯小僧のこころ』 塩沼亮潤著 致知出版社>

著者は、吉野山金峯山寺で出家得度、その蔵王堂から大峯山、山上ヶ岳までの
片道約24キロを1日で往復し、合計4万8,000キロを歩く大峯千日回峰行を成し遂げ
た人です。金峯山寺の1,300年におよぶ歴史の中で、二人目の快挙です。

千日回峰行は、千日ぶっ通しではなく、山を歩く期間は、5月3日から9月22日まで
と決められています。したがって、千日回峰行が満行するには、9年の歳月を必要
とします。

しかも、たった一つだけ掟があって、それは、行にいったん入った限りは、足の骨
を折っても、不慮の事故にあっても、決して後戻りはできず、もしやめた場合には、
短刀で腹をかき切って自害するか、紐を木に結び付けて命を絶たなければならない、
というものです。

この厳しい行のなかで、著者が感じたことは、ある意味当たり前のことです。
しかし、その当たり前のことができない人が何と多いことか、そして、その当たり前
のことをからだで会得することの重要性が、この本を通じてほんとうによくわかります。


「山崎発、経営を考える」では、今、「やりきること」について考えていますが、
分野は違えども、「やり切った」人の典型的な例といっていいでしょう。

 何事も、根気よく、丁寧に、ぼちぼちと
 今日より明日、明日より明後日、そういう向上心が絶対に欠かせない
 本当の喜びは、当たり前のことに自分が気がついた瞬間に湧き上がってくる
 やらされている、と思わないこと
 10の力があれば10を出し切る
 限界を超えるのではなく、限界を押し上げたい、そこに成長がある
 「百をなさんとすれば九十を半ばとす」
 自分で痛い思いをして一つ一つ気づいていくから実になる
 人生において1回目の失敗は失敗ではなく経験と捉えるべきである
 そして・・・
 人生生涯小僧のこころ

こころがほのぼのして来て、勇気が湧いてくる本です。ご一読ください。

■ 4. おしらせ

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次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. おしらせ

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