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いーかわらばん vol.320

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2008/05/08
  • vol.320

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

円とドル、一緒に落ちれば怖くない?!

■ 2. 山崎発、経営を考える

修羅場の効用(その24)・・・着眼大局→矛盾内包→決断→着手小局

■ 1. 時の話題

< 円とドル、一緒に落ちれば怖くない?!>

2002年1月1日、ユーロが流通をスタートさせたその日、1ユーロ=0.904ドルでした。

サブプライムローン問題が深刻化するなか、FRB(米連邦準備理事会)が緊急
利下げをおこなった今年の3月下旬は、1ユーロ=1.59ドルでした。6年の歳月を
経て、ドルはユーロに対して、何と6割を切る値打ちに落ち込んだのです。

もちろん、ドルだけではなく、円も対ユーロで価値を落としていることはいうまでも
ありませんが、日本にいると、自然と「円対ドル」に目が向いてしまいます。
ですから、「一緒に落ちれば怖くない」のかどうかわかりませんが、もう一つ実感を
持っていない人が多いと言われます。

しかし、アメリカとヨーロッパのこの関係は、いたるところに影響を及ぼし、日本も
決して無視できる状況ではないのです。その顕著な例をいくつか見てみましょう。

たとえば、2007年にニューヨーク市を訪れた観光客は、850万人に達しました。
これは前年対比で20%の増加です。そしてその増加のほとんどは欧州からの
観光客だと言われています。大西洋を真ん中にした世界地図を見ると、欧州と
ニューヨークは、決して遠い距離ではありません。

この影響は、不動産にも現れています。サブプライム問題等々で、全米全体では、
不動産価格が急落しているにもかかわらず、マンハッタン地区に限って言えば、
2007年10~12月期のアパートの平均価格は前年同月対比で、6.4%も上昇しました。

かつてのジャパンマネーと同様に、欧州の投資家が、割安になったマンハッタン
地区への不動産投資を増加させていることが理由だと言われています。

また、産油国のベネズエラは、支払いをユーロでするように求め始めている、との
ニュースも話題を呼びました。ドルの下落に耐えかねての措置とのことですが、
石油といったメジャー商品だけでなく、ニューヨークの街中でも、特に欧州品を
中心に扱っているお店などは、「ユーロでの支払いに限る」旨の張り紙がしてある、
とも言われています。

アメリカ国内でさえ、ドルに対する信頼が急速になくなっているこの事実は、対岸の
火事だと笑っているわけにはいきません。日本の外貨準備高のほとんどは米国債
であるはずですから、1兆を超えて世界第2位の準備高を誇っていても、ドルの下落
によってあっという間に目減りすることになるのではないでしょうか。

今後、ユーロがどのような展開をするのかわかりませんが、地球を少し離れた宇宙
から見てお金の全体がどのように流れているかを見る視点が要求されていることは
確かです。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<修羅場の効用(その24)・・・着眼大局→矛盾内包→決断→着手小局>

前回は、複雑多岐にわたる要因の絡み全体をそのまま全体として把握できる力、
あるいは一歩進んで、その中からいくつか重要な要素を浮き上がらせて全体構造
を捉える力、それが大局観である、というお話をしました。

しかし、それは、「一次的な意味」でした。では、大局観の意味する本質は、どう
いったところにあるのでしょうか。今回はそこを考えてみましょう。

前回、実際の経営はそのレベルが高くなるほど、単なる原因追究とそこから導き
出される真の原因の除去という直線的なプロセスだけで、ものごとが解決すると
いうわけではない、と述べました。さまざまな原因が複雑に絡み合い、時には、
原因と結果が入り乱れて循環的な様相を帯びる例もあげました。
これが経営が直面する、現実の姿なのです。

それら全体の構造を捉えることが大局観であるとすると、そこから出てくる解決策
はどうなるのでしょうか。

前回例に挙げたような循環的な因果関係のなかで解決策を求めようとすると、
その循環関係のどこかを断ち切り、スタートする地点を定めなければ解決策は
生まれてきません。

あるいは、場合によっては、あちらを立てればこちらがたたず、といった状況にも
よくぶつかります。たとえば、ある新しいビジネスをスタートさせることが、従来から
の顧客に対し、競合関係を作り出し、望ましくない結果を生み出す可能性がある、
などといったケースです。

その他さまざまなケースが想定されますが、いずれにしても、大局観を働かせて、
複雑多岐にわたる全体像を把握するということは、多くの場合、そのうちに内包
されているはずの上記のような矛盾する要因を、まずはそのままいったん受け容
れることを意味するのです。

いったん受け容れたうえで、「決断」をしなければ、策に着手できません。
循環関係や衝突関係にあるさまざまな要因に対し、その中に何らかの考えで
優先順位をつけることによって、自分の責任において選択をして着手しなければ
ものごとは始まらないのです。

以上のことはいまさら私が言うまでもないあたりまえのことですが、実際には、
次のようなケースをよく目にします。
① 「原因がいろいろあって、今整理していますので・・・」「なかなかこれといった
  策が見当たらず・・・」と言いながら決断をしないケース
② 「これは上司の指示で・・・」「こういう顧客が多いもので・・・」と言いながら、
  決断を自分の責任にしないケース
③ 複雑に絡み合う全体像を極端に単純化して、あるいは全体像の一部分だけを
  取り出して、自分に都合のよい独断的な論理でまとめてしまおうとするケース

すなわち、「大局観」は、「全体構造を捉える力」といった一次的な意味に加えて、
 複雑に絡み合う矛盾をいったん受け容れたうえで、
 自分の責任において、優先順位をつけ、
 迅速に決断、実践する力
というところにその本質的な意味がある、ということができるでしょう。将棋や碁、
もしくは野球をはじめとするスポーツが典型的に大局観を必要とする理由がよく
わかります。

私の好きな言葉の一つでありホームページにも掲載している「着眼大局、着手小局」
には、その間に必ず矛盾が存在し、だからこそ決断が要求されます。すなわち、
  着眼大局→矛盾内包→決断→着手小局
なのです。

これは、2007年4月5日(vol.268)のいーかわらばん「山崎発 経営を考える」で
述べた
 「矛盾の解決こそ価値」という視点を持つ(弁証法的視点)
と相通ずるものがあります。

さて、問題は「矛盾内包」+「決断」の中身です。この中身を考えることは、
「大局的しつこさ」の「しつこさ」と実は関連します。
次回はこのことについて整理しましょう。

■ 3. 今月の事務

●労働保険の年度更新

労働保険概算・確定保険申告書の提出・納付の締切は、本年度は
5月20日です。
石綿(アスベスト)健康被害救済の為の「一般拠出金」の申告と納付が、
石綿健康被害救済法に基づき、すべての労災保険適用事業主が対象
になっています。納付方法は、労働保険と併せて申告・納付します。
料率は、1,000分の0.05です。

●個人住民税の特別徴収の準備

個人住民税の特別徴収は、6月から始まります。各市町村から送付され
てくる各人別の納税通知書が届いたら、一部を本人に交付し、給与台帳
や給与計算表に転記したり、コンピュータで給与計算をしている場合は、
徴収額の更新を忘れずにしておきましょう。

●書中見舞い・中元・夏用制服等の準備

暑中見舞いや中元を贈る企業では、届け先のリストアップや住所等の
更新がないかを確認しておきましょう。
又、制服や作業服などを配布している企業では、数量・サイズを確認して
準備を始めましょう。

■ 4. おしらせ

いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載しております。
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次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 今月の本棚
  • 4. おしらせ

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