いーかわらばん vol.318
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2008/04/24
- vol.318
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
医療データの覇権争いにグーグルが参戦!
■ 2. 山崎発、経営を考える
修羅場の効用(その22)・・・「やりきる能力」の定義
■ 3. 事業承継の真視点
数種の株式・・・拒否権付株式(その1)
■ 1. 時の話題
<医療データの覇権争いにグーグルが参戦!>
「グーグル」といえば、現段階では、押しも押されもせぬ世界NO.1の検索サイトです。
グーグルのミッションは、少しケタが外れていて、「全宇宙の情報を整理すること」、
したがって、月の情報(Google Moon)、火星の情報(Google Mars)をも提供して
います。
そのグーグルのエリック・シュミットCEOは、2月にアメリカフロリダ州のオーランドで
開催されたHIMSS(ヘルスケア情報管理システム協会)の2008年年次大会で、
ついに医療健康分野に「グーグルヘルス(Google Health)」として進出することを
発表しました。
具体的には、米国ではトップクラスといわれるクリーブランド・クリニックと提携して、
患者がクリニックにおらずとも、自分の病歴、通院歴、処方箋等の医療健康情報
を電子医療データとして、パソコンや携帯端末で確認することができる、というもの
です。
確かにこのデータベースが構築されると、医療健康機関の間でデータが共有され、
より迅速に、より的確な治療が実現する可能性が高くなります。また、いずれ、
新薬情報、予防接種情報などを、事前に患者の個別状況に合わせて提供すること
も行えるようになるでしょう。
もちろん、医療情報は高度な個人情報に該当することになるため、患者の同意なし
にデータを共有することは不可能で、セキュリティ管理は大事になってきます。
アメリカでは、このPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)という分野には、グーグル
をはじめ、マイクロソフトなどいくつかのWEB系企業が参入しており、今後ますます
その主導権争いは激化していきそうです。
病院の診療データ、薬局の薬剤データ、検査機関のMRIなど検査データが、,一元
管理できるノウハウが確立されていくと、こういった医療分野においてもアメリカ企業
にグローバルスタンダードを握られることになるのでしょうか。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<修羅場の効用(その22)・・・「やりきる能力」の定義>
前回は、最後にハロルド・ジェニーンの『プロフェッショナルマネジャー』の第5章
「経営者の条件」の中に出てくる、
「22通りの方法を試み、それでもまだ成功しなかったら、23番目の方法を試みなくて
はならない」
という記述を取り上げて、「大局的しつこさ」の象徴である、というお話で締めくくり
ました。
裏返して言えば、「プラス方向の肚」である、
①「やりきる覚悟」をもって、ことに臨んでいるか
②そして、実際にやりきっているか
という二つの質問に対し、自信を持って「YES」という答えをするためには、23番目
の方法を試みているかどうかで判断すればいい、ということです。著者は、このこと
によって所期の目的を達成すること、それ以外に「経営する」という言葉の定義は
ない、と言い切っています。(もちろん、「23」という数字はひとつの比喩ですが・・・)
何回も繰り返して恐縮ですが、この、
「22通りの方法を試み、それでもまだ成功しなかったら、23番目の方法を試みなくて
はならない」
という表現から、「プラス方向の肚」の本質について、私はいくつものことを学び、
あるいは再確認できました。そして、自分の会社に対しても、お客様へのご指導の
際にも、最大限に活用させていただいています。
学び、再確認できたことの第一は、価値のある目的ないし目標については、とことん
しつこくなければならない一方で、方法論というのは無数にあってしかるべきだ、
という当たり前のことです。
第二に、しかし、無数の方法論といいながら、相当に広い分野の人や本に接し、
多方面からできるだけ旬の情報を収集し、あらゆる視点からものごとを常に考えて
いる・・・といった「大局観」を持っていなければ、とても23通りの方法を編み出すこと
はできない、という事実です。実際真剣に挑戦してみればお分かりいただけますが、
今課題となっているテーマに対して、皆さんは、23通りの方法を考えつきますか。
至難の業です。
第三に、さりげなく記述されている「試みる」という表現です。「だれも先のことはわから
ない、やってみなければわからない」とはよく言われることですが、次から次へと試みる
からこそ、次に進める、次の案が出てくるわけです。23通りの方法は、単に頭で考える
ことではなく、試みを繰り返す過程で生み出されるものである、ということです。
そして第四に、結局、より多くの案を生み出し、より迅速に、より低コストで、目的に
近づいたものが勝ちである・・・ということに気がつきます。
「やりきる能力」の高さは、
たまたまうまくいった、いかないではなく、
限られた時間の中で、
目的に向かって、
どれだけ多くの方法を試みたかに比例する!!!
そして、そのためには「大局的しつこさ」が必要になる
これが、多くの経営者のお手伝いをしてきた、現段階での私の結論です。
■ 3. 事業承継の真視点
<数種の株式・・・拒否権付株式(その1)>
前回と前々回は、全部取得条項付株式によって好ましくない株主を排除する、
といった方法についてお話をしました。
今回は、拒否権付株式についてご説明をしましょう。
拒否権付株式とは、一定の事項について特定の株主に拒否権を与えた株式の
ことで、たとえば敵対的買収者が株式のかなりの割合を保有したとしても、経営権
を支配されることを防ぐことができます。
すなわち、株主総会で決議すべき事項のうち、拒否権付株式を持っている種類株
主が同意しない限り決定することができませんので、俗に「黄金株」と呼ばれること
も多いようです。
事業承継に関して言えば、経営権を生前に委譲した場合、元のオーナーから見て、
あまりにも独断専行が行き過ぎる心配がある場合などに、いくつかの決議事項に
ついて拒否権を有しておく、といったことが行われます。
たとえば、会社にとって命運を決するような組織再編、合併、企業買収、あるいは
役員の選任、解任、多額の借入れ、役員報酬の決定、といった決議事項です。
もちろん、こういった拒否権付株式が、もし、本来の承継者以外の人に相続されて
しまったら、それこそ大変なことになります。そこで、この株式については、遺言を
作成するか、相続発生時に拒否権付株式を無効とする規定を作成するなどして、
その防止に万全を尽くしておく必要があります。
この拒否権付株式が本質的に意味するところは、経営と所有の分離という原理
原則があるなかで、重要な経営権については、その分離を認めない、すなわち
所有者が経営に口を出す、とするところにあるように思います。
したがって、あまり多くの項目を認めてしまえば、経営権の委譲が何ら実質的に行
われていないことになってしまいますので、その項目については熟慮が必要です。
次回は、その具体的な事例を使って、ポイントを整理しておきたいと思います。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
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- 4. おしらせ
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