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いーかわらばん vol.314

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2008/03/27
  • vol.314

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

裁判員を辞退できる「やむをえない理由」

■ 2. 山崎発、経営を考える

修羅場の効用(その18)・・・「最悪のケース」と「許される範囲」

■ 3. 事業承継の真視点

数種の株式・・・全部取得条項付株式(その2)

■ 1. 時の話題

<裁判員を辞退できる「やむをえない理由」>

2007年11月15日の「いーかわらばん」vol.298では、
 『抽選に当たれば拒否できない裁判員!』
というテーマで、裁判員制度についてお話をしました。

そこには、次のような記述があります。

  問題は、よほどのことがない限り、裁判員を拒否できないことです。まだ、政令
  で明確に定められたわけではありませんが、たとえば非常勤講師として大学で
  講義をしなければならない予定の人も、模擬裁判では拒否は認められません
  でした。出産予定や入院など明らかに不可能な場合に限られるようです。

そのまだ決められていなかった政令が、本年1月17日に
 「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号に想定するやむをえない
  理由を定める政令」
で明らかになりました。

要約して示しますと、
① 妊娠中、あるいは出産後8週間以内であること
② 要介護、要養育の親族または同居人がいること
③ 親族、同居人の通院、入院、退院の付き添いの必要なこと
④ 妻子の出産に立会いが必要なこと
⑤ 裁判所が遠隔地で出頭困難と認められる場合
⑥ その他、大きな身体上、精神上、経済上の不利益が生ずる場合
といった点です。

結局、かなりの理由がない場合を除いて辞退はできないものと考えてよさそうですので、
前回ご説明をしたとおり、本人の会社への通知義務、就業規則の整備などを急ぐ必要
があるでしょう。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<修羅場の効用(その18)・・・「最悪のケース」と「許される範囲」>

前回は、
 肚 = リスク(結果責任)を背負う本気の覚悟
と定義したうえで、そういった覚悟ができるようになるための第一として、
 最大リスクを想定しているか
という点をあげました。

私は経営者のさまざまな意思決定の場面を見てきて、この「最大リスク」のとらえ方が
経営者の能力そのものである、と思うことがしばしばあります。

というのも、この「最大リスク」という言葉の中に、その経営者の理屈と勘、過去の
経験と未来への予測、緻密さと大胆さがすべて織り込まれているように思うからです。

それでは、「最大リスク」にはどのような意味があるのでしょうか。通常二つのものが
考えられます。

まず、「最悪のケース」という使われ方があります。設定した条件が思うようにいかな
かった場合の最大損失を、数字にできるものは数字にし、そうでないものは言葉に
したうえで、「最悪、いかなる状態になるか」といった想定です。

よく「最悪の事態を考えていたら何もできない」ということが言われます。しかし、私の
周りで、成功している人は、意識的か、無意識的かはともかくとして、ほとんどこの
最悪の事態を事前に考えています。

少し考えればわかることですが、「最悪のケース」を想定するということはすべてが
うまくいかないことを想定するのではなく、うまくいきそうなこととそうでないことを「厳しく」
見極めることだからです。裏返して言えば、単に論理的に予想することではなく
 「最低でもここまではイケル!ヤル!」
という自信と意思を持つことなのです。ですから、
 「厳しい見極め」=「上滑りしない深い見極め」
が要求されます。

「最大リスク」の二つ目の使われ方として、「許される範囲」という意味があります。
「許容最大リスク」といってもいいでしょう。現在の会社の体質や体力から見て、
ここまでなら損失を被っても何とかなる、というリミットライン(限界線)のことです。

この「許容範囲」にもその人の個性(過去の経験、目指すゴール)によって大きな差が
現れます。例外はありますが、一般論として、創業者は後継者よりもこの許容範囲は
広いようです。これは、「ゼロから始めた人間は、ゼロになることを恐れない」とよく
言われることと関係しているのかもしれません。

そう言いながら、慎重さや臆病さも創業者が上、と言うこともしばしばですから、よく
わからない、と言うか、その人次第ということになるのでしょう。もちろん、この許容
範囲の広さが、結果として吉と出るか、凶と出るかは一概に言えません。

それでは、この「最悪のケース」と「許容範囲」という二つの意味が、「肚」とどのように
関連するのでしょうか。次回はこの点について考えたうえで、さらに次の視点に進み
ましょう。

■ 3. 事業承継の真視点

<数種の株式・・・全部取得条項付株式(その2)>

前回は、全部取得条項付株式についての概要をお話しました。引き続き、今回は、
それらを具体的にどのように事業承継対策に活用するか、について具体例を示して
みましょう。

甲社の社長A氏は、全体の80%にあたる8万株の普通株式を所有しているとします。
残りの20%、2万株は今後問題を生ずるであろう望ましくない株主が所有していたと
します。

①第一段階
まず、甲社は定款を変更して、全部取得条項付株式を発行できる種類株式発行会社
になります。もちろん、このためには、株主総会の特別決議が必要です。と同時に
もしこれに反対する株主がいれば、その株主には、株式買取請求権が認められます。

②第二段階
次に、現在の普通株式10万株のすべてについて、全部取得条項付株式に変更します。
これには、現在の普通株主による種類株主総会の特別決議が必要です。

③第三段階
そして、株主総会の特別決議によって、全部取得条項付株式以外の株式を、A氏の
後継者B氏に対して、募集割当てにより発行します。

④第四段階
会社が、株主総会の特別決議によって、全部取得条項付株式10万株を全株取得
します。もちろん、この買取価格に不服のある株主は、裁判所に価格決定の申し
立てをすることができます。また、会社は自社株取得となりますので、その買取金額
の総額は、剰余金の分配可能額を超えることは許されません。

この四つの段階を経た結果、甲社の株主構成は、A氏の後継者B氏が100%支配する
ことになり、好ましくない株主は排除されたことになります。

税務的には、全部取得条項付株式を会社が取得する第四段階で、譲渡した株主には、
自社株譲渡によるみなし配当課税や譲渡益課税が生ずる可能性があります。ただ、
譲渡対価としてA社株式のみ、あるいはA社の新株予約権のみであれば、この課税は
繰り延べることができるという例外があります。

これが、全部取得条項付株式の活用による望ましくない株主排除のスキームですが、
特別決議を通すだけの支配力を最初にもっていることが絶対的条件であることが
おわかりいただけることと思います。

■ 4. おしらせ

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次回のテーマは以下の通りです。

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  • 2. 山崎発、経営を考える
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  • 4. おしらせ

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