いーかわらばん vol.313
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2008/03/13
- vol.313
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
JAPAiN(苦痛に満ちた日本)
■ 2. 山崎発、経営を考える
修羅場の効用(その17)・・・肚とは、リスク(結果責任)を背負う本気の覚悟!
■ 3. 今月の本棚
『「残業ゼロ」の仕事力』 吉越浩一郎著 日本能率協会マネジメントセンター
■ 1. 時の話題
< JAPAiN(苦痛に満ちた日本)>
昨日、2008年3月12日(水)の日本経済新聞、第6面の特集、
ニッポンの停滞
海外の厳しい目
という見出しの記事をお読みいただいたでしょうか。
これはイギリスのエコノミスト誌の日本特集の抄訳ですが、その雑誌の表紙では、
JAPANにiを加えて、
「JAPAiN」
と表記し、苦痛という意味のPainを掛け合わせたものになっています。
ここでは、日本の経済が停滞し、「失われた10年」から本質的に脱却できていない
のは、問題の根本的な解決、特に経済改革に取り組んでこなかった政治家と、その
政治を許している有権者に問題がある、と言い切っています。
根本的に実行しなければならない経済改革としては、
・外資規制の緩和
・輸入食品などの関税引き下げ
・農業補助金の削減
・貿易自由化の促進
・外資系企業に対する税制優遇
・企業を補助金漬けにしている制度の廃止
・労働市場の流動性向上
・民営化の推進 ほか
をあげています。
そして、これらの経済改革を阻んでいる責任者について、
第一に、安部前首相
第二に、福田首相を担ぎ出した、自民党の旧世代の大物たち
第三に、民主党小沢党首
の三者を名指しし、2008年度の予算案において、結局、農家と土木業者が大盤振る
舞いにあずかり、日銀総裁ひとり決められないようでは日本に期待することはできない、
あるいは、生産性が低い日本に対してとても投資などできない、と指摘しています。
日本の現状を外部から見たものとして、考えさせられるところが多々あります。
われわれが有権者として何をなすべきか、を含めてじっくりと考えてみる必要がある
でしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<修羅場の効用(その17)・・・肚とは、リスク(結果責任)を背負う本気の覚悟!>
前回は、人間の力の及ばない突発的な出来事から生じるような修羅場を防ぐ、
あるいは最小限に食い止めるために必要なリスクマネジメントの奥底にあるのが、
「肚(はら)」というものであることまで、お話を進めました。
「肚」とは、肉体的には、臍下丹田というヘソの下の部分だと言われています。
俗に、「肚が座っている」であるとか、「肚に力を入れて」とか表現される場合の「肚」は、
その部分を指し、「気」との関係で語られることも多いようです。
また、ヘミングウェイの『日はまた昇る』や『ポー詩集』を訳した詩人の加島祥造氏は
『肚・・老子と私』(日本教文社)という有名な本を記しています。
ここでは、日本における肚意識、西洋における肚意識、老子にみられる肚意識に共通
するところは何か、また、頭と肚、すなわち「考えること」と「思うこと」、といった非常に
ユニークな視点から人間の命の問題や生き方に迫っています。
それでは、経営者的人材の育成の視点から、「肚」を考えるときには、どのような定義を
与えるとよいのでしょうか。
私は、
肚 = リスク(結果責任)を背負う本気の覚悟
と考えています。
まさに「肚が座っている」というのは、この覚悟ができているがゆえに、少々のことでは
あたふたしない、物事に動じない、といった姿を表わしているのでしょう。
ところが、肚の定義について、言葉では、このように簡単に示すことができたとしても、
実際のさまざまな場面で、その覚悟ができるか、というと、そう簡単なものではありません。
だれも、リスクなんか背負いたくありませんし、危なければさっさと逃げる、というのが
人間の本能だろうと思います。
それでは、そういった覚悟のできる人とできない人とは、どこが違うのでしょうか。
言い換えると、リスクを背負う本気の覚悟ができるようになるためには、何かそれが
できるようになるための条件が必要なのではないか、ということに気がつきます。
次回以降、その条件について順次考えてみたいと思います。一つ目は、
最大リスクを想定しているか
という点です。
■ 3. 今月の本棚
<『「残業ゼロ」の仕事力』 吉越浩一郎著 日本能率協会マネジメントセンター>
著者の吉越氏は、2006年までトリンプ・インターナショナルの社長を務め、日本経済
新聞社による「平成の名経営者100人」にも選ばれています。
彼は、「完全ノー残業」や「がんばるタイム」などのしかけを実行に移して、19期連続
の増収増益を実現したことで有名で、社長退任後は講演活動にも精力的ですので、
ご存知の方も多いと思います。
第1章 御社の残業がなくならない理由
第2章 問題はとにかく「分けて」考える
第3章 次に「会議」を変えていこう
第4章 「残業ゼロ」の達成まで
第5章 「速くて強い」チームの作り方
第6章 「仕事の常識」はこれだけ変わった
第7章 本当のワークライフバランス
といった全7章から構成されています。
ただ、気をつけなければならないことがあります。それは、読みやすい本ですが、
表面的に読んでしまうと矛盾を感じて、その奥底にある本質を見逃してしまう可能性が
多々ある、という点です。
たとえば、第一に、「企業に理念などいらない」といった言葉が見られますが、
彼の実行した施策の裏には強烈な理念がありますし、この本全体がある意味で
「理念のかたまり」です。
さてその「こころ(その言いたいことの本質)」はどこにあるのでしょうか?
第二に、「空気を読むなんてもってのほか」という表現があります。これは会議などで、
「なんとなくといった雰囲気で」決断をしては駄目だ、ということを言っているのですが、
実は、別の箇所では、暗黙知から学ぶことの大事さを強調しています。
さてその「こころ」は?
第三に、「仕事はお金のためにする」べきで自己実現などといった余計な意味を持た
せるべきでない、と記している部分がありますが、一方で残業をなくすことにこだわった
理由は、「仕事をもっと楽しみたかったから」といっています。
さてその「こころ」は?
こういった読み方をすると、従来の常識にとらわれている頭と行動の改革に、大変よく
効く薬になる本です。ぜひご一読ください。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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