いーかわらばん vol.311
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2008/02/28
- vol.311
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
世界シェアと日本各社の動向
■ 2. 山崎発、経営を考える
修羅場の効用(その15)・・・ここまでの振り返りと整理
■ 3. 財務ホット情報
法定相続分課税方式から遺産取得課税方式へ
■ 1. 時の話題
< 世界シェアと日本各社の動向>
2007年の第3四半期(7~9月)の薄型テレビのメーカー別販売額の世界シェアの
順位は、液晶テレビが、
1位 サムスン 2位 ソニー 3位 シャープ
4位 フィリップス 5位 LG電子
一方、プラズマテレビでは、
1位 パナソニック 2位 サムスン 3位 LG電子
4位 日立 5位 パイオニア
という結果になっています。(ディスプレイサーチ社発表)
また、携帯電話の2007年の出荷台数の世界シェアは、
1位 ノキア 2位 サムスン 3位 モトローラ
4位 ソニーエリクソン 5位 LG電子
という状況です。(IDC社発表)
いかがでしょうか、日本人のわれわれが日々の消費活動から直感的に思うシェアと
少し隔たりがあったのではないでしょうか。
サムスンとLG電子という韓国勢がすべてに顔を出していることや、携帯電話で日本
企業はわずかにソニーの名前が見えるだけ、ということに隔たりを感じるのでしょう。
「液晶テレビで世界NO.1は?」という質問を日本人10人にすると、9人までが
シャープと答えるそうです。
これは「液晶のシャープ」をうたってきたシャープにとっては、ある意味喜ばしい
ことです。が、薄型テレビにせよ携帯電話にせよ、世界的な拡大市場と言われて数年
が経ち、恐ろしい勢いで価格競争の波にさらされていることは事実です。
その中で、各社の戦略も少しずつ特徴を見せ始めています。
たとえば薄型テレビを例に取ると・・・
シャープは、「液晶」を武器にして、パネルメーカー的色彩を強くする傾向が見られ
ます。完成品としてのテレビそのものより、テレビ、デジカメ、携帯電話、業務用ビ
デオなどのパネルとしての供給を視野におき、東芝やソニーなど、新しい外販先を
模索しているふしを感じます。
一方の松下は、プラズマの浸透が液晶に比べて思うようでないこともあり、日立
グループの液晶子会社を傘下に取り込んで、液晶の強化に乗り出しました。
有機ELにも手を出し、プラズマ、液晶、有機ELの同時展開を目指しているようです。
さらに、ソニーは、2004年にサムスンと液晶パネルの提携をしたことでもわかるよう
に、パネル、携帯電話、映画、音楽等の有力会社と次々に手を組み、「ものづくり」
から一線を画している様相です。
競争と変化の激しい世界で、それぞれの戦略がいかに強みを引き出し、顧客に指示
されるか、正念場を迎えているように思います。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<修羅場の効用(その15)・・・ここまでの振り返りと整理>
前回までの7回は、「10のうち8、聞いているか」をテーマとして、コミュニケーションの
問題を整理してきました。
経営者的人材の育成や修羅場というインパクトのある言葉との関連が薄くなってきま
したので、ここで、今までの全体像を一度整理しておきましょう。
もともと2007/10/18発行のVOL.294から、この欄で「経営者的人材の育成」をテーマに
したお話が始まりました。ここからの流れをキーワードを軸に追ってみましょう。
経営者的人材の原点 cool heads but warm hearts
↓
究極の条件は・・・ <貪欲さ=向上心=真の謙虚さ=受け容れる力>
+
↓ <「情熱」「論理性」「思いやり」>
経営者的人材が育つ「場」
・情熱、思いやり、論理性が要求される場
・貪欲さ、向上心、真の謙虚さ、受け容れる力が要求される場
・リスクチャレンジが要求される場
↓
=「修羅場」!!
↓
修羅場を生み出す条件 ① 先の見えないことへのチャレンジ
② 因果関係(筋書きと結果)の予想違い
③ 短時間 (極度の時間的制約)
↓
*修羅場と「単なる混乱」との違い
「単なる混乱」は ・5W1Hがあいまい
・因果関係がかみ合わない
↑
「単なる混乱」の解決方法
① 「あいまい語」で終わらせない
② アウトプット(具体的成果物)を用意する
↓
これらをクリアしても「修羅場」を迎えてしまう要因
① 人間の力の及ばない突発的な出来事が起こること
② 社会の営みは「人間」がおこなうのものであり、その人間は「命」を
持っているという事実
↓
「命」の本質 = 「役割」と「変化」
人間に潜む「役割」と「変化」は、そこそこ論理的な予想因果関係
をはるかに超越した「感情」「感性」「感覚」といったものに支配
されるものであるため・・・修羅場を迎えてしまう
↓
言い換えれば、人間がお互いに認識する、広い意味での「役割」と「変化」に、
短期間に大きな「ずれ」を生じたときに、修羅場が勃発する
↓
これを解決する唯一の手段 ・・・ コミュニケーション能力
→ 10のうち8、聞いているか?
<その必要性>
① 自分と異なる部分を他人の中に発見する
・頭を空っぽにして聞く謙虚さ
・「心の奥底」を感じ取る察知能力
・他人を通して自分を見る自己客観視
② 他人に自主性、自立性を与える
③ 他人を喜ばせる
→ そして、他人と自分を包括して「2」話す・・・「器」
と、こんな流れになるのです。流れの中でこぼれた部分を補完しながら、次回以降、
次の展開に入っていきたいと思います。
■ 3. 財務ホット情報
<法定相続分課税方式から遺産取得課税方式へ>
自民党が公表した平成20年度税制改正大綱では、中小企業の事業承継を支援する
ために「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設され、課税価
格の80%に対応する相続税の納税が猶予されることが明記されています。この税制
の創設により、事業承継税制では、相続の課税方式を現行の「法定相続分課税方式」
から「遺産取得課税方式」に改めることを検討すべきとしています。
現行の法定相続分課税方式は、相続税の課税価格から基礎控除額を差し引いた額を
法定相続割合で按分して、それぞれの額に相続税率を乗じて相続税総額を算出して、
その総額を相続人の実際の相続割合で按分して個々の負担額を決定します。
この方式では遺産分割のやり方に関わらず、相続税総額はかわりません。
一方、遺産取得課税方式は、相続人が実際に相続した遺産額で相続税を計算します。
基礎控除等や税率構造が変わらないと仮定しますと、遺産分割のやり方次第で、相続
税額が大きく変わることがありえます。
例えば、法定相続人は兄と弟の2人、親の死亡により総額4億円の遺産を全て兄が相続
する場合でみてみましょう。
法定相続分課税方式
遺産総額 4億円 基礎控除額 7,000万円 課税額 3億3,000万円
課税額をいったん法定相続分で按分して相続税総額を計算します。
兄 3億3,000万円×1/2 1億6,500万円 相続税額 4,900万円
弟 3億3,000万円×1/2 1億6,500万円 相続税額 4,900万円
あわせて相続税総額 9,800万円となります。実際は兄が全て相続しますので、
兄が9,800万円を納めます。
遺産取得課税方式
遺産総額 4億円 基礎控除額 7,000万円 課税額 3億3,000万円
兄 3億3,000万円 相続税額 1億1,800万円
弟 0 円 0 円
このように課税の方式がちがうと税負担が2,000万円もちがってくることになります。
なぜ、遺産取得課税方式に改めることが検討されるのかといいますと、「取引相場のない
株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設されると、現行の制度のままでは、事業の
後継者以外の相続人も税負担の軽減を受けることが可能となります。
相続の課税方式を見直すことで、事業承継相続人以外の相続人は減税の恩恵を受けら
れないようにしようということとです。このように事業承継税制の改正で、相続税制も大き
くかわる可能性があり、今後の改正の行方には注目していきたいと思います。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
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- 2. 山崎発、経営を考える
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- 4. おしらせ
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