いーかわらばん vol.305
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2008/01/17
- vol.305
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
ソブリン・ウエルス・ファンド
■ 2. 山崎発、経営を考える
修羅場の効用(その9)・・・自分と異なる部分を他人の中に発見する
■ 3. 今月の本棚
『経験価値ものづくり』 長沢伸也編著 日科技連出版社
■ 1. 時の話題
<ソブリン・ウエルス・ファンド>
ソブリン・ウエルス・ファンド、略してSWF、政府系資産運用ファンド、ということば
をよく新聞等でみるようになりました。
Wikipediaによれば、SWFの特徴は、
・ 米国債への投資が中心であったが、近年企業買収などにも手を出すようになり取引
手法が多様化してきている
・ 投資対象などの情報は公開されることは少ないが、大規模の投資をするため市場へ
の影響が大きく、情報開示が求められている
・ ほとんどの場合、外貨準備高を元に運用する
と示されています。
つい先日、1月12日の日本経済新聞夕刊では、「中東マネー取り込め 現地IR強化」と
いう見出しで、NTTやソニー、旭硝子などの担当役員が湾岸諸国を訪問して、中東での
投資家向けの広報活動に力を入れ始めた記事が掲載されていました。
また、昨年11月26日の日本経済新聞夕刊でも、
「中国の外貨準備運用会社 日本株投資に着手 専門人材を募集」
という見出しの記事が出ていました。
世界最大といわれるSWFは、アブダビ投資庁(ADIA)で運用資産は6,250億ドルといわれ、
国営の石油会社が石油収入の55%を国庫に納付し、そのうち70%を政府がADIAに運用
委託しているとされるものです。
そのほか中東では、
・サウジアラビア通貨庁 約3,000億ドル
・クウェート投資庁 約2,130億ドル
・カタール投資庁 約 600億ドル
などがひしめいています。
(日本経済新聞1月12日夕刊の「中東の主な投資家」による)
さらに、中東以外でも、
・ノルウェー政府年金基金(GPFG) 約3,100億ドル
・中国投資有限責任公司 約2,000億ドル
・シンガポール政府投資公社(GIC) 約1,000億ドル
のSWFがあるといわれています。
基本的には、企業に投資をして、食い荒らした上で逃げる、といった買収ファンドとは
性格を異にしています。2008年はSWFの日本企業への買収元年となりそうな気配です
ので、その動向には注目しておく必要があるでしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<修羅場の効用(その9)・・・自分と異なる部分を他人の中に発見する>
前回は、コミュニケーションにおいて、「10のうち8、聞いているか」を、経営者的人材に
なりうるかどうかの重要なポイントのひとつに挙げました。
たいていの場合、会議やその他さまざまなミーティングの場においては、自分の考えて
いることを主張したり、相手を説得し、納得させることが非常に大事である、と考えて、
話すことに多くのエネルギーを傾けている人が多いと思います。
もちろん、自分の思いを伝えることが中心目的であるならば、それは意味のあることで
しょう。
にもかかわらず、あえて「10のうち8聞くこと」が重要なポイントだと申し上げる本質は
どういったところにあるのでしょうか。ここには人間関係や組織、集団にかかわる奥深い
視点が数多く隠されているように思います。
まず、コミュニケーションをとる目的をどこに置くか、ということが根本になります。
先に記したように、相手を説得することという人もいるでしょう。意見の一致を図ることだ、
と考えるケースもあるでしょう。一致までは行かなくても何らかの妥協点を見出すことを
目的とする場合もあると思います。
このように、実際の個別具体的な場面では、さまざまなコミュニケーションの目的がある
と思いますが、それらを超越した究極の目的は何かと聞かれたら、私は、
自分の思想や立場、考えていることの前提となっていることとは異なった部分を他人
の中に発見し、より広く深い視野を持つことにより、お互いが変化、成長すること
だと考えています。
最後の「変化、成長すること」という部分は、少し前に「命の本質」で申し上げたことです
ので割愛するとして、ここで強調したいのは、
「自分と異なる部分を他人の中に発見する」
という点です。
私は、人間の成長をさせる最も重要なもののひとつとして、
「自分との相違、領域外」
をキーワードにあげています。
自分にないもの、自分の知らないもの、自分では気が付かないもの、自分とは違うもの・・・
そういったものにどれだけ多く触れる、あるいは引き寄せるチャンスを持っているか、
それに接したときにどれだけ真摯に受け止め、考え、将来に活かそうとしているか・・・
そういった姿勢が人間を成長させる根本にあると思っているのですが、人間の性(さが)と
いうべきか、そういったものに出くわしたときに、むしろ、拒絶したり、横柄な態度に出たり、
喧嘩を売ってみたり、あるいは説得を試みたり、ということがしばしばです。
少し話が横道にそれましたが、なぜ10のうち8、聞かなければならないかの第一は、
「自分と異なる部分を他人の中に発見する」
ことにより、次の成長に活かすためなのです。
次回以降は、その聞き方である「自由」「察知」「受容」という点、さらに、その他の重要な
本質に話を進めていきましょう。
■ 3. 今月の本棚
<『経験価値ものづくり』 長沢伸也編著 日科技連出版社>
副題は、
ブランド価値とヒットを生む「こと」づくり
となっています。
「経験価値」ということばについては、このかわらばんにおいても、「時の話題」や「山崎発、
経営を考える」において、何回かとりあげました。
「時の話題」では、
「ものづくり」+「ことづくり」 2007/10/25 vol.295
東京ディズニーランドの「経験マーケティング」 2004/7/28 vol.140
の2回ですが、vol.295では、まさに「ことづくり」という言葉が出ています。
本書では、「経験価値」を
① SENCE 五感に働きかける「感覚的経験価値」
② FEEL 感情や気分に働きかける「情緒的経験価値」
③ THINK 創造性や認知に働きかける「知的経験価値」
④ ACT 肉体的経験価値とライフサイクル全般に働きかける「行動的経験価値」
⑤ RELATE 準拠集団や文化との関連づけに働きかける「関係的経験価値」
の5つに分類整理しています。
そして、それらの経験価値を踏まえた製品として、
・INAX「SATIS」
・NISSAN「XーTRAIL」
・一澤帆布(現、信三郎帆布)の「帆布製かばん」
・J1「アルビレックス新潟」
・京菓子司「末富」
・香老舗「松栄堂」
・「エルメス」
などの例を挙げています。
特に製造業における「おもてなしの心」とは何か、それらを商品としてどのように表現
するか、という点について突っ込んだ研究をしています。単なる読み物としてもおもしろく
書かれていますので、ぜひご一読ください。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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