いーかわらばん vol.277
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2007/06/14
- vol.277
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<「社会起業家」ってどんな人?>
「社会起業家」ということばが、結構ポピュラーになってきました。
たとえば、社会起業家の専門研究機関「デモス」があるイギリスは、それが
もっとも進んでいる国の一つです。
小さな政府を志向したサッチャー改革は、かなりの成果を挙げましたが、
一方で、市場主義の強化による福祉の切捨てにつながったことは否めま
せんでした。
そこで、ブレア首相は、市場経済を否定することなく、弱者に対しても暖
かい目を向ける「第三の道」を掲げ、「社会起業家」をその推進役に位置
づけています。
社会起業家とは、補助金や寄付金に頼ることなく、それまでにない画期的
な仕組みを構築することによって、社会貢献し、自立できる組織を創り上げ
る人達のことです。
障害者や高齢者を採用した新しいバイオ農業の構築、経営の立ち行かなく
なった温泉旅館の再生、あるいは有名なところでは、昨年なくなったヤマト運
輸の故小倉昌男氏の福祉財団「スワンベーカリー」などを、社会起業家が
起こした起業の例としてあげることができるでしょう。
今後、少子高齢化の時代を迎えるにあたって、税金や補助金に頼るのでは
なく、自らが生み出した収益によってキチンと継続可能な社会貢献組織
を維持することが必要となります。そのためには、社会起業家の排出と、その
経営ノウハウの確立が、今後の日本にとって、ますます重要性を帯びてくるで
しょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<喧嘩をするほど、仲がよくなる?>
今まで、弁証法的視点として、1~4の四つについて、ご説明をしました。
その四つとは、
弁証法的視点1:矛盾の解決こそ価値を生み出す
弁証法的視点2:量的変化には必ず臨界点があり、それは質的変化に
よって次のステージにあがる
弁証法的視点3:ものごとは、長い目で見れば、反転を繰り返す
弁証法的視点4:よき昔は、(反転しながらレベルアップして)再び来世に
現れる
というものでした。
それでは、視点の五つ目に入りましょう。それは、今までの四つの視点から
導き出されるものです。
たとえば、ネット証券を例示したところで、次のような記述がありました。
ネット専業といわれた証券会社でさえ、必要に応じて、フェイス・
トゥ・フェイスで、さまざまな顧客の投資相談に応じます!といった
サービスが生まれてきているのです。
ここには、「アナログ→デジタル→アナログ」といった反転現象が
見られます。
これは、視点3の「反転現象」の例示でしたが、見方を変えると、「アナログ
とデジタルの融合事例」ととらえることもできます。
私は、1990年代後半、ウィンドウズ95が登場して、世の中に、デジタル化の
嵐が吹き荒れ始めた頃、さまざまな講演や研修、コンサルティング活動で、
これからの時代について、次のように、盛んに申し上げました。
デジタルを駆使した、アナログ勝負の時代
ハイテクを駆使した、ハイタッチ勝負の時代
バーチャルを駆使した、リアル勝負の時代
このことの意味は、あれから10年近くを経過して、ますます重要になって来て
いると思いますが、これは、弁証法的視点から、生み出されたものです。
今回の「時の話題」に取り上げました「社会起業家」という概念も、この視点
から考えますと、
営利企業と非営利企業の融合組織の起業家
私的企業と公的企業の融合組織の起業家
ととらえることができるのです。
したがって、
弁証法的視点5 反転現象は、両者の融合化、類似化をもたらす
ということができるのです。ちょうど、人間同士、喧嘩をしているうちに、
お互いが理解できて、より仲良くなるようなものだといえるでしょう。
■ 3. 今月の本棚
<『これが新成長ビジネスだ!』 三菱総合研究所編著>
バブル崩壊後、日本は、さまざまな旧来型経済の変革を余儀なくされ
ましたが、ここへきて、やっと新たな方向性がかなりはっきりと見えるよう
になってきました。
この本は、新成長ビジネスについて総合的に書かれた数少ないものの
一つだと思います。
序 章 「失われた10年」から「黄金の10年」へ
第1章 先端技術が支えるビジネス
1.情報・通信技術が社会の仕組みを変える
2.ライフサイエンスが生活と環境を変える
3.ナノテクノロジーでモノづくりが進化する
4.フロンティア領域でビジネスチャンスが生み出される
第2章 自分らしい生活を実現するビジネス
1.コミュニケーションが市場を創造する
2.在宅での医療介護ビジネスが加速する
3.健康、安心、便利に注目した新サービスの誕生
4.金融ビジネスは技術と結びつき、拡大し続ける
5.教育ビジネスが多様化、専門化し、拡大していく
第3章 社会を変えるビジネス
1.「省エネ」「代エネ」「新エネ」が本格的に進展する
2.安全な社会システムが形作られる
3.ITにより、交通が安全に、快適に、効率化する
4.企業に環境価値を提供するビジネスが普及する
5.パブリックサービスサポートが一大産業分野になる
6.アジアの金融センターとしての日本
終 章 新成長ビジネスを生み出す「人」と「仕組み」
以上が本書の構成ですが、ここでごく当たり前の二つのことに着目して
おきたいと思います。
一つは、新成長分野というものは、それがどこかにあって、そこに移行す
るものではなくて、従来からわれわれが行っているビジネスの中に、新成
長の分野を発見し、創造するものであること。
もう一つは、どんなに成長が期待される領域であっても、その領域に位
置することが大事なのではなくて、その領域で成長価値を生み出す人
や仕組みを創り上げることが勝負であること。
いずれにしても、自分たちの事業を見直し、成長機会を発見するヒント
が山ほどちりばめられている本です。
■ 4. おしらせ
山崎修一オープンセミナーのお知らせ
日時:6月27日(水) 13:30~16:30
テーマ:『日本型成果主義経営はこう創る』
お問い合わせ:神戸商工会議所 078-303-5808
http://www.kobe-cci.or.jp/seminar/jinzai/070627_seika.html
いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載しております。
途中購読の方で興味のある方は弊社ホームページをご覧下さい。
http://www.nksy.co.jp
次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
【web】 https://www.nksy.co.jp
【mail】 mail@nksy.co.jp
☆弊社お客様並びに名刺を頂いた方にもお送りさせて頂いております。
突然の配信をお許しください。
☆展示会等のご案内を掲載させて頂きます、ご一報下さい。
☆メールマガジンの登録・解除は自由です。配信の解除・送信先メールアドレスの変更はお手数ですが、
mail@nksy.co.jp
にご連絡ください。
☆無断転送はご遠慮願います。