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いーかわらばん vol.273

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2007/05/17
  • vol.273

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

あらためて「ヒヤリハット」

■ 2. 山崎発、経営を考える

ブランコもシーソーも弁証法?!

■ 3. 今月の本棚

『超リタイア術』 野口悠紀雄著 新潮文庫

■ 1. 時の話題

<あらためて「ヒヤリハット」>

吹田の万博公園のジェットコースターの事故は記憶に新しいところですが、
なぜ、常に大惨事になってから、当事者も行政も動き出すのでしょうか。
その前に、それらを未然に防ぐことはできないものでしょうか。

ここに、従来から唱えられてきた「ヒヤリハット」をあらためて考えてみる必要
があると思います。

「ヒヤリハット」ということばは、ミスや失敗、事故、災害が話題にのぼるときに、
必ず語られる言葉の一つです。例の福知山線の脱線事故の際には、この
単語が新聞や雑誌を賑わせました。

「ひやりとした」「はっとした」というわれわれが日常使う言葉をつなげたものです
が、この言葉の真意は、アメリカ人の安全技師であるハインリッヒが唱えた
 「1:29:300の法則」
に基づいています。

彼は、一つの重大災害の背景には、29の軽症の事故があり、そのまた裏には、
300に達する無傷の事故がある、ということを労働災害の統計に基づき、発表
しました。

これを応用して、安全活動のなかで、大きな事故の背景に、小さな事故が
29あり、その裏に300の「ヒヤリハット」があるというわけです。

このことから、大きな事故や災害を防ぐ一番「おおもと」は、「ヒヤリハット」の段
階、すなわち「予兆」の段階でその先を起こさないマネジメントを行うことが大事
だ、ということになります。

ところが、実際には、なかなかそれが実行されません。そこには、その予兆に
一人一人が気づかない、あるいは気づいても望ましくないことを言いたくない、
といった心理が働くからだといわれています。

「ヒヤリハット」をできるだけ多く報告し、共有し、その対策を考えることが、組織
と個人のレベルアップにつながる、大きな事故もそこから撲滅できる、といった認
識を全員が持つしくみが必要になっているといえるでしょう。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<ブランコもシーソーも弁証法?!>

「弁証法」に入って、前回までに次の二つの視点について整理いたしました。

弁証法的視点1:矛盾の解決こそ価値を生み出す
弁証法的視点2:量的変化には必ず臨界点があり、それは質的変化に
           よって次のステージにあがる

さて、弁証法視点の三つ目は、視点の2から派生してくるものです。まず、一
定の臨界点がどこにあるか、という問題を考えてみましょう。実はこれは前回の
事例の中で既に述べています。

すなわち、「ブランドが一般化して誰でも手に入るようになったとき」、あるいは、
「これ以上値下がりしたらとても採算ベースに乗らなくなったとき」といった表現
がひとつの回答になるでしょう。

それぞれにおいて絶対と言い切れる水準はないけれども、「通俗的」「一般的」
といえる状態になったとき、言い換えれば、それほど無理をしなくても手に入る
状態になったとき、確実に臨界点に近づいている、ということがいえます。

一番分かりやすいのが、かなり前(2004/9/29 vol.147)の「時の話題」に記し
ました「情報社会では、情報がタダになる!」というテーマです。

真の情報社会になって、「そこそこの情報」であればだれでも簡単に手に入るよう
になったとき、そういった「そこそこの情報」自体は価値がなくなっていき、もっと高い
レベルの「知恵」とでもいうべき質のステージに上がっていくということです。

では、質的競争に臨界点は無いのでしょうか。

答えは「あり」です。質的競争が激化し、新しい大きな影響を及ぼす、ディファクト・
スタンダードになりうるような質の変化が生み出されると、そこからまた量的変化が
始まるのです。

蒸気機関、電気、自動車、インターネット等々あらゆる大きな質的変化(発明)
が、そののち量的変化をもたらしています。

すなわち、量的変化 → 質的変化 → 量的変化 → 質的変化 → ・・・
が繰り返しが起きている、ということなのです。

しかし、実は量と質だけの問題ではありません。より普遍的に次のようなことがいえる
のです。これが、弁証法的視点の3番目です。

弁証法的視点3 ものごとは、長い目で見れば、(ブランコやシーソーのように)
           反転を繰り返す

次回は、この視点3をさらに深めて、実際の社会で生じている事例を考えてみまし
ょう。

■ 3. 今月の本棚

<『超リタイア術』 野口悠紀雄著 新潮文庫>

著者は皆さんよくご存知の『「超」整理法』『「超」勉強法』で有名な、経済学者の
野口氏です。

この本によれば、「リタイア」とは、
 将来のために現在を犠牲にして働く時代を卒業し、自己実現のために働くこと
と定義しています。

江戸時代は、武士よりも、商人や農民の方が、充実した隠居生活を送っていた
そうです。その理由は、商人や農民が「自由業」だったのに対し、武士は藩に属す
る「組織人」だったから、というのはなかなか興味深い視点です。

Ⅰ リタイア後人生を待ち望もう
Ⅱ 高齢化社会と年金
Ⅲ サラリーマンよ、立ち上がれ

という三つの編から成り、さすがに、経済学者らしく、年金問題を大きく取り上げて
いますが、年金との関係で、「サラリーマン法人」の設立を推薦しているのも、氏なら
ではの発想です。

「老後」の過ごし方が下手、といわれている日本人にとって、必読書の一つかも
しれません。

■ 4. おしらせ

山崎修一オープンセミナーのお知らせ
 
 日時:6月27日(水) 13:30~16:30
 テーマ:『日本型成果主義経営はこう創る』
 お問い合わせ:神戸商工会議所 078-303-5808
http://www.kobe-cci.or.jp/seminar/jinzai/070627_seika.html

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次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. おしらせ

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