いーかわらばん vol.270
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2007/04/19
- vol.270
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<信長の鉄砲 VS 武田の騎馬戦術 そして地動説・・・>
前回、電子棚札についてお話をした際、「信長の鉄砲」という記載があり
ました。詳しい説明をせずに、突然話に出しましたので、
想像はできるけれど、「人間の役割」とどのように関連するの?
という質問を、何人かの方からいただきました。
そこで今回は、その意味合いを簡単にご説明させていただきます。
私の二冊目の著書『時代を拓く企業革命』に詳しく記しましたが、皆さん
もよくご存知の武田と織田がぶつかった長篠の合戦が、この意味を如実に
表した歴史の一コマであろうと思います。
1543年に種子島に伝来した鉄砲は、それまでの戦術を根本的に変える
可能性を秘めた「化け物」と戦国武将の目には映りました。そして、その
鉄砲を巡って、彼らの間に大きく二つの潮流が生じたのです。
一つは、「これこそ近代兵器、今が戦術の革新をすべき時」と見て、鉄砲
の調達と、そのための軍団の再編成を積極的に推進した武将。
もう一つは、一発打つのに時間がかかり、雨が降ったら使えない、そんな
鉄砲のごときに、従来の集団騎馬戦術が負けるわけがない、と信じて、
その騎馬戦術にさらに磨きをかけた武将。
前者の代表が織田、後者の代表が武田、そしてそのぶつかり合いの典型
が長篠だったというわけです。
ここから学ぶことの一つは、前回ご説明したように、人間が行っていたかな
りの部分が鉄砲に置き換わり、結果として、ほんとうに「人間でしかできない
仕事」にシフトしていく、これが成長、革新の一局面だということです。
しかし、この背景にはもう一つ、重要なポイントがあります。それは、なぜ、
武田軍が鉄砲の導入に消極的だったか、という点です。
おそらくその答えは、「強さ」と「過去のしがらみ」です。
騎馬戦術にかけては右に出るものがなかった、という強さから来る過信。
そして小さい頃から、弓矢と乗馬の厳しい訓練をしてナンバーワンにのし
上がってきた彼らからすれば、今までの苦労を水泡と化す鉄砲など、使う
気にもなれない、といった過去からのしがらみ・・・
目の前にある変化の本質が何かをとらえ、強さに溺れることなく、過去の
しがらみを断ち切ることができるかどうか、これは想像以上にむずかしいこと
です。
ちなみに、私の前述の本に記しましたように、鉄砲伝来と同じ1543年、
それこそ地球の発想を根本的に覆す、コペルニクスの『天球回転論』が
出版されたことは、興味深い符合といえるでしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<四つの矛盾の場面>
前回は「矛盾の解決こそ価値」を考えるスタートとして、弁証法でいう「正・
反・合」について、正と反が「止揚」、すなわち両者を飲み込んで新しい
価値が創出される、というお話をしました。
ここで大事なことは、繰り返しになりますが、「止揚」は、どちらかを選択し、
どちらかを説得する、といった単なる解消ではなくて、両者をともに満足させ
る統合された解決、というところです。
それでは、このような「矛盾」は、どのような次元(場面)で生ずるのでしょうか。
新規の開発に限ることなく考えてみます。あらためて言うまでもなく、マネジメ
ントという行為そのものが、二律背反の状況を除いて、ほとんどこのような矛盾
の解決にある、と言ってもいいくらいでしょう。
まず最も多いのが、金銭的な利害関係が生じるとき。
たとえば価格を巡って、顧客と仕入先と当社。給与改定を巡って労働組合
と経営陣。配当を巡って株主と経営者。ロイヤリティを巡ってフランチャイザー
とフランチャイジー。税金を巡って納税者と税務署。相続財産を巡って相続人
の間で。その他さまざま・・・。
次に重要な場面が、長期と短期の矛盾。
これは、目先の利益と長期の利益をいかに両立させるか、人材採用で、即戦
力を採るか、長期的に育てるか、といった場面で、多くの経営者が日々悩んで
いることでしょう。
三つ目には、公的か私的かの矛盾。
一番分かりやすいのが公害でしょう。あるいは、文化的貢献に寄与するあまり、
倒産してしまっては元も子もない、という例もあります。
四つ目には、理念(イデオロギー、目的)の矛盾。
たとえば、自由か、規制か。自己責任か、福祉充実か。より経営的には、価格
勝負か、品質勝負か。売上高重視か、利益重視か。あるいは、利益重視か、
サービス重視か。マス市場狙いか、ニッチ市場狙いか。等々。
そのほかにもいろいろ考えることができますが、私は、
① 金銭矛盾
② 期間矛盾
③ 公私矛盾
④ 理念矛盾
の四つの矛盾を四大矛盾として、常に経営の現場、特に開発の際に意識をして
います。なぜなら、この側面で、矛盾の解決に独自性を生み出せたとしたら、相当
強力な武器になるからです。
ところが、この四つの矛盾をより深く考えて見ますと、その中身に非常におもしろい
兆候がいくつかあることに気が付きます。そして、これがまた弁証法の原理につなが
っていきます。次回以降、それらについて、さらに深めてみましょう。
■ 3. 事業承継の真視点
<非上場会社の自己株式取得>
前回は、上場会社の自己株式取得の目的や活用方法について整理しました。
今回は、前回の予告のとおり、非上場会社における自己株式について考えてみま
しょう。
非上場会社が自己株式を取得するケースは、純粋の事業再編のケースを除くと、
ほとんどは承継がらみ、といっても過言ではないでしょう。
それでは、「事業承継がらみ」の中身を整理しますと・・・。
一つ目は、なんと言っても「納税資金の獲得」です。
将来発生するだろう相続時に、多額の納税が予測される場合、その納税資金
の獲得のために、株式を自社に売る、というケースです。
二つ目は、「株式所有割合の調整」です。
たとえば、株式が分散し、後継者の支配割合を少しでも高めたい、といった状況
のときに、単純に後継者が他人から買い取るのではなく、分散した相手から自己株
式として会社が買い取る、といったケースです。
自己株式として自社が購入した株式は、議決権には含まれませんから、相対的に
後継者の持分割合を増加させることができます。
三つ目は、前の二つほど多くはありませんが、平成14年以後、通達改正によって、
自己株式であっても、従来よりは物納しやすくなったため、それを活用するケース
もあります。
四つ目は、非上場会社ではあっても、近々、上場を視野に入れている場合、1株
あたりの利益などを調整する手段として用いられることもあります。
次回は、自己株式を購入した場合の税金の注意点について、整理しましょう。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
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- 4. おしらせ
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