いーかわらばん vol.269
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2007/04/12
- vol.269
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
電子棚札、信長の鉄砲、CAD、・・・と人間の役割
■ 2. 山崎発、経営を考える
聖徳太子は、弁証法の祖?
■ 3. 今月の本棚
『中国社会のとことん深い闇』 湯浅誠著 ウェッジ刊
■ 1. 時の話題
<電子棚札、信長の鉄砲、CAD、・・・と人間の役割>
スーパーで特価品をかごに入れて、レジへ行って、さて支払いという時になって、
価格が高いままになっていて喧嘩になった・・・、という例はかつてはよく見られた
ものです。
ところが、最近、この種のトラブルは格段に少なくなりました。その背景には、電
子棚札の普及があります。
大手の食品スーパーに行くと、それぞれの商品の価格が、液晶で表示されてい
るのを皆さんもご存知だと思います。
この電子棚札には、液晶の表示部分のほかに、赤外線の受光装置が埋め込
まれています。ではその赤外線はどこから発信されているのかというと、実は天井
などに張り巡らされているのです。
この発信装置は、店舗のホストコンピュータにつながっており、POSレジともリンク
しています。したがって、たとえば、閉店間際に生鮮食品の時間割引を行おう
とすれば、ホストコンピュータと棚札、レジが全てリンクし、必ず一致するわけです。
2005/10/5発行の「かわらばんvol.197」では、ICタグのお話をしましたが、バック
ヤード、フロントヤード双方で、それらの低価格化に伴い、IT化は着実に進んで
います。
この本質はどこにあるのでしょうか。
従来、人間が行っていた「処理業務」が、人間以外に置き換わっていっている、
ということです。
機械やITの進歩によって、人間が行っていた業務のかなりの部分がそれらに置き
換わり、結果として人間は、ほんとうに「人間でしかできない業務」にシフトしてい
かなければならない、ということでしょう。
現に電子棚札の例でも、値札の書き換えをしていた人は、不要になりました。そ
の代わり、価格をいつどのようにコントロールすれば、売上や利益が最大になるか
を考えることのできる人材がより重要になったのです。後者は、人間でしかできな
い仕事だからです。
技術の進歩と人間の役割の変化は、信長の鉄砲から、CAD、インターネットに
至るまで、絶え間なく続いています。ただ、その変化のスピードは、ドッグイヤー
(7倍)ともマウスイヤー(18倍)とも言われるくらい、速くなってきています。
人間が、技術の進歩を超越した能力を身につけることを意識しなければならな
い時代、技術との真の「共存共栄」とは何かを考える時代であるといえるでしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<聖徳太子は、弁証法の祖?>
前回は、「春はあけぼの、ズレはあけぼの」と称して、
矛盾を感じたときが、新しい価値創造の曙光である
ということを申し上げました。この発想自体が弁証法的視点の根本です。
ヘーゲルの弁証法によれば、
①ある命題、
②それと矛盾する命題、
③それらを統合した命題、
の3つが存在します。
ここで、①ある命題を正(テーゼ)と称し、②それと矛盾する命題を反(アンチテーゼ)、
③統合した命題を合(ジンテーゼ)と呼びます。
これが、どこかで聞いたことがあるはずの、「正・反・合」の意味なのですが、大事な
ことは、最後には、「正」と「反」の矛盾した二つは止揚(ドイツ語では「アウフヘーベン」)
されて、「正」と「反」の両者を飲み込んだ「合」に至る、ということです。
「A or B」とどちらかを切り捨てるのではなく、 「A and B」と止揚することによって、「C」
という新しい価値が生まれてくる、という考え方です。
再度、前回の24時間開店の例にあてはめてみますと、
① 24時間開店する(正)
② 24時間開店はしない(反)
のいずれかを採用するのではなく、両方の本質を探ったうえで、その両方の真意を満たす
方法(合)はないか、と考えることによって、新しい価値が生まれるという視点です。
実は、日本人はこの「正・反・合」を、ものの見事にやり遂げてきた歴史を持っていると
思います。
たとえば、538年、仏教が伝来した時にそれを排除することなく、従来からの神道と両立
させたことは、聖徳太子の手柄だと言われています。日本独特の文化が生まれた一つ
の重要な側面であることは否定できません。
あるいは、大和朝廷が「大いなる和」という字を当てたこと自体、「正反合」精神の表れ
のような気もします。
ともすれば自己主張がない、と揶揄されることはありますが、日本人得意のこの正反合
による価値創造のプロセスを、次回以降、実際の開発事例にあてはめて、さらに深めて
みたいと思います。
■ 3. 今月の本棚
<『中国社会のとことん深い闇』 湯浅誠著 ウェッジ刊>
「厚黒学 厚かましくかつ腹黒く生きよ」
「厚黒を行使する際には、仁義・道徳のオブラートでつつむべし」
「あなたは一日24時間のうち、何時間金儲けのことを考えていますか」
「私たちは24時間、どうやったら金儲けできるかを考えています。
もちろん寝ている間も」
これが、この本の「はじめに」に記されているエピソードの一部です。著者は元東洋
経済新報社の論説委員ですが、タイトルのとおり、中国社会の闇の部分を徹底
的に露出させた本だといえるでしょう。
確かにこの本の内容が、中国社会のすべてにあてはまるかどうか、私にはわかりま
せん。しかし、見たり聞いたりしたところから判断するに、「当たらずとも遠からず」の
部分が多いように思います。
第一部 中国社会に潜む不気味な「闇」
第二部 「拝金主義・腐敗主義」は中国の伝統
第三部 密かに狙う「アジアの覇者」
第四部 果てしなく続く混乱と独裁
の四部構成です。
北京オリンピックまで残り1年半を切り、オリンピック後、あるいは上海の万博後の
中国はどうなるのか、といった論評も頻繁に見受けられるようになりました。その判
断をするためにも、一読の価値は十分にあります。
■ 4. おしらせ
山崎修一オープンセミナーのお知らせ
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お問い合わせ:神戸商工会議所 078-303-5808
http://www.kobe-cci.or.jp/seminar/jinzai/070627_seika.html
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
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- 4. おしらせ
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