いーかわらばん vol.257
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2007/01/18
- vol.257
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
「三角合併」解禁は国際的M&Aを加速する!
■ 2. 山崎発、経営を考える
ヤマハ「光るギター」・・・最終回(友達の友達が開発の主役!)
■ 3. 今月の本棚
『後継学』 加来耕三著 時事通信社刊
■ 1. 時の話題
<「三角合併」解禁は国際的M&Aを加速する!>
「三角合併」ということばが、テレビや新聞で頻繁に出てくるように
なりました。皆様からの質問をいただくことも多くなりましたので、簡
単にご説明をしておきましょう。
昨年の5月1日より新会社法が施行されているにもかかわらず、な
ぜ最近、三角合併が言われるようになってきたのでしょうか。それは、
三角合併の解禁が、一年遅れて、今年5月から施行されることに
なっているからです。
三角合併とは、どういうものでしょうか。
たとえばA社がB社を吸収合併するといった通常の合併では、吸収
されるB社の株主には、存続するA社の株式が交付されます。
ところが、その場合に、B社株主に交付するのは「現金その他の財
産」でもいい、すなわちA社の株式でなくていい、と新会社法では明
確に決められたのです(749条)。
そこで、たとえば、甲社が100%子会社A社を設立しておいて、その
A社が上記と同じくB社を吸収合併したとき、B社の株主にA社の株
式ではなく、親会社である甲社の株式を交付することができるように
なったわけです。
この方式を三角合併といいます。このことは、どんな意味があるので
しょうか。
甲社から見たとき、従来の交付方式であれば、B社の吸収合併によ
りA社を100%子会社として維持することはできません。なぜなら旧B社
の株主には、A社の株式が交付されているからです。
しかし、三角合併の手法では、旧B社の株主は甲社の株主になりま
すから、A社を100%子会社として維持できるのです。言い換えれば、
100%の支配権を保ったまま傘下におさめるといった企業買収が非常に
しやすくなったということです。
たとえば持株会社の100%子会社が、経営困難に陥った類似の事業
会社を吸収合併した場合、三角合併である限り、新存続会社も100%
子会社のまま、傘下に入ることができるのです。
この場合に、甲社が外国企業であれば、国際的企業買収です。この
買収に対する防衛策を講ずるために、新会社法は1年間の猶予期間
を設けたといっていいでしょう。
なお、現税法では、三角合併は適格合併に該当しませんので、課税
の繰り延べができません。前々回のかわらばんの「財務ホット情報」で、
平成19年度税制改正大綱の中に、
「・三角合併等に関する課税の繰延べの適格要件の整備」
という文言が見えるのは、この三角合併に対して、課税繰り延べを
認めようとするものなのです。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<ヤマハ「光るギター」・・・最終回(友達の友達が開発の主役!)>
前々回の「いーかわらばん」では、
「友達の友達がみな友達になって、新しいより価値の高いものを生み
出すために一丸となって議論できる場」
を持つことの大事さを再認識すべきだ、というお話をしました。
今回は、この意味を戦略的に整理して、「光るギター」の最終回とし
ます。
「一丸となって議論できる場」を機能的に整理してみますと、
①新しいアイデアが生まれる場
②アイデアをストーリーに仕立てる場(仮説を作る場)
③アイデアを実際の仕様に組み立てる場(商品設計をする場)
④生まれた仮説や設計仕様を検証し、修正する場
⑤実際に使用し、評価をする場
といったものが含まれていると言えるでしょう。
と言いながら、「仮説を作る」「商品設計をする」といったプロセスは、
なかなか「議論の場」で完成することは少ないでしょう。これらには、
プロとしてのメーカー機能、すなわち専門的知識や技術を必要とさ
れるからです。
裏返しますと、「アイデアを生む」「検証・修正する」「使用・評価を
する」といった機能にこそ、「需要者」である顧客を巻き込む価値が
あると考えてよいでしょう。
このヤマハの「光るギター」の開発秘話から学ぶもっとも重要な点は、
プロであるが故の独善に陥らないためにも、当社に、
・顧客からアイデアをもらい、
・顧客に検証をしてもらい、
・顧客の評価がスムーズに入る
といった「顧客モニター化」の仕組みをいかにして作り上げるか、その
積み重ねが「開発力」に大きく貢献する、という点だと思います。
■ 3. 今月の本棚
<『後継学』 加来耕三著 時事通信社刊>
帯には、「いかに後継者を育てるか、事業をつなげるか!」と記されて
います。
ご承知のとおり、加来耕三氏は歴史作家ですので、当然その視点は、
副題にありますように、「戦国父子に学ぶ」ものとなります。
章立てとそこで紹介されている戦国武将を紹介いたしますと、
第1章 史上最強のリーダーシップ 信秀-信長、家康-秀忠
第2章 先代に学んだ後継者
楠木正成-正行・正儀
真田幸隆-昌幸-信之・幸村
前田利家-利長-利常-綱紀 など
第3章 先代を否定した後継者
尼子経久-晴久
武田信玄-勝頼 など
第4章 「承継」断絶
斉藤道三-義龍
長宗我部元親-盛親 など
最終的に「トップがすべて」であることは否めない事実であるとしても、
その手法はその時、その人によって大きく違います。
うまく進んだ後継の共通点、うまくいかなかった後継の共通点を探す、
といった視点で歴史を眺めるのも確かに意味があると思います。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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