いーかわらばん vol.246
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2006/10/19
- vol.246
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<あらためて「マーケティング近視眼」>
鉄道会社は、「輸送事業」とすべき自社の事業の定義を、
「鉄道事業」と考えたために衰退した・・・。
映画会社は、自社の事業を「エンターテイメント事業」ととらえる
べきだったのに、「映画の製作をすること」と考えたために危機
に陥った・・・。
マーケティングをかじった者であるならば、真っ先に学び、それ
なりの感動をもたらした歴史的な論文ともいえる「マーケティン
グ・マイオピア」の著者、セオドア・レビットが、本年6月28日
81歳の生涯を閉じました。
新規事業のお手伝いをいろいろとさせていただく中で、私は、
1960年に発表されたこの論文の奥底について、あらためて
考えてみる必要があるのではないか、という思いにかられます。
「鉄道事業」や「映画制作」といった視点と、「輸送事業」
「エンターテイメント事業」といった視点の本質的な差異は
どこにあるのでしょうか?
もちろん、有形の製品(GOODS)中心の定義か、無形の
サービス(SERVICE)中心の定義か、といった見方もあるでしょう。
しかし、「作る側の視点」か、「使う側の視点」か、というところ
に、より大事な本質が潜んでいると思います。
この機会にもう一度、自分たちの事業の定義を、顧客の視点
から深く再検証してみていただきたいと思います。新しい何かが
見えてくるのではないでしょうか。
最後に、私が一番大きな影響を受けたレビットの言葉を
あげておきます。
近年、アメリカで、4分の1インチのドリルが百万個売れたが、
これは人々が4分の1インチのドリルを欲したからではなく、
4分の1インチの穴を欲したからである。
(『マーケティング発想法』 レビット著 土岐坤訳)
■ 2. 山崎発、経営を考える
<10億食突破商品「におわなっとう」・・・その6>
納豆のヘビーユーザー向けにダメもと覚悟で行った、匂わない納豆
の試作品テストで得た思いもかけない結果とは何だったのでしょうか。
それは・・・、
ヘビーユーザーは、食べる時の匂いは確かに気にならない、しかし、
食べ終わった後、口に残る匂いが気になる・・・
といった事実が浮かび上がってきたのです。
考えてみれば、一口に食べ物の「匂い」といっても、いろいろな「匂い」が
あるわけです。
たとえば、
・ふと街角の家の台所の窓から流れてくる「匂い」
・食卓を賑わすお皿の上から漂ってくる「匂い」
・お箸でつまんで口に入れる瞬間の鼻をくすぐる(鼻を突く)「匂い」
・噛めば噛むほど、滲み出てくる味と「匂い」(香り)
・食べた後に余韻を残す「匂い」 等々
たかが「匂い」、しかし、その「匂い」も、生活シーンやライフスタイルと
無縁に存在するわけではないのです。これこそコンセプト設定の基本
といってもいいでしょう。
ヘビーユーザーは、食べる前、食べる時の匂いは嫌いでなくても、食べ
た後の匂いには抵抗がある、これを本能的に察知している限り、
ヘビーユーザー層にも、大きな市場が期待できるのではないか、ここに
勝負をかけよう・・・、これが新たなコンセプトとなりました。
コンセプト決定の後は、マーケティングの常套手段が続きます。
まずインパクトのあるネーミング、「におわなっとう」。
次に、パッケージは従来とは逆の「黒」で統一。
そして、宮本信子のCM起用。
さらに、耳に残るサウンドロゴ(CMソング)。
最後に、徹底したスーパー等への販促活動。
6週間をかけて、「におわなっとう」の開発物語を、私なりの視点から
ご紹介しました。この6回の一つ一つが、「におわなっとう」から学ぶ
私の「開発成功要因6か条」に対応しています。
次回はこれらの総まとめとして、その6か条を整理したいと思います。
■ 3. 事業承継の真視点
<会社分割の目的と効果・・・その1>
前回(vol.242)では、会社分割の実態について、データをあげて
説明をいたしました。そこでは、会社分割が、決して上場会社や
大法人だけでなく、むしろ、中堅・中小企業により積極的に活用
されている事実が明らかになっていました。
では、積極的に活用する目的や効果はどこにあるのでしょうか。
これは大きく、税金など財務的側面と、より大きな経営的側面に
分けることができますが、後者の経営的側面からスタートしましょう。
私自身の経験から申し上げますと、最初の目論見はともかくとして、
分社する最大の効果は、経営者的人材の育成です。
その証拠に(と言うと語弊がありますが)、中小企業が分社をした場合、
真っ先にぶち当たるのが、分社後新しくできたいくつかの会社の社長
を誰にするか、という問題です。
「いやあ、任せられる人材がいなくて・・・、とりあえず最初は、すべて
の会社の社長を私がやりますわ」
などと言う話が平気で出てきます。これがたいていの中小企業の実態
なのです。
とはいうものの、ほんとうにずっと従来の社長が、すべての社長をしていた
のでは、何の効果もありません。
私の見る限り、「社長の資質」といったものは、インプットで得られるもの
ではありません。社長学の試験で「優」の成績をとったからできるものでは
ないのです。インプットはないよりはあったほうがまし、程度です。
逆に言えば、社長に近い状況をどれだけ真に体験してきているか、たと
え高校のクラブであっても、どれだけリーダーシップを発揮する場を真剣に
積み重ねてきたか、こういった体験が「社長の資質」をはぐくみます。
もちろん、前提として、本人の「真剣なやる気」が必要なことは言うまでも
ありませんが。
そのアウトプットの場を分社は提供してくれるのです。大丈夫かなと思わ
れた「若手」が、苦労をしながらも一流の社長になっていく姿を、何回と
なく目の当たりにしました。
次回は、経営者的人材の育成、以外の効果について、もう少し言及し
てみましょう。
■ 4. おしらせ
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お問い合わせ:神戸商工会議所 078-303-5808
http://www.kobe-cci.or.jp/seminar/jinzai/061128_shikin.html
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 財務ホット情報
- 4. おしらせ
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