中堅・中小企業の発揮能力最大化支援

㈱トップ支援 03-3256-4101
㈱アウトオフィス 06-6300-1787

メールでのご相談はこちら

いーかわらばん vol.233

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2006/07/13
  • vol.233

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

医療モール

■ 2. 山崎発、経営を考える

四つの変換プロセスこそ開発過程

■ 3. 今月の本棚

『やさしさの精神病理』 大平健著 岩波新書

■ 1. 時の話題

<医療モール>

昨日7月11日の日経新聞朝刊では、トヨタと三菱商事が共同で
医療モールを立ち上げる旨の記事が掲載されていました。

「医療モール」とは、どういったものでしょうか?

シンプルに言えば、複数の医院が集まって、同じ場所で診療する
形態を言います。いろいろなお店が軒を連ねた「商業モール」の
医療版という意味が込められています。

実際には、内科、小児科、外科、眼科、耳鼻咽喉科など、診療
科目が異なる複数の診療所と調剤薬局が同居していますので、
利用者は、そこそこの大病院と同じく、1ヶ所で複数の科目を受診
することができます。

一方、医療機関からすれば、待合室、駐車場などの共有施設を
シェアすることができることはもちろん、単独開業するケースに比べ、
医療資材等の共同購入、事務管理部門等の一括アウトソーシ
ング等によって、大幅なコストメリットを手に入れることができます。

また、医療モールと商業モールとを連携させ、コンビニ、ドラッグストア、
生鮮スーパー、郵便局、銀行等の金融機関等を医療モールとあわ
せて1ヶ所に集め、地域住民の利便性を図るとともに、供給者相互
のシナジー効果を生み出そうという企画も生まれてきています。

「ネットワーク」ということばが、いろいろな分野でキーワードになる時代
であることを実感します。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<四つの変換プロセスこそ開発過程>

前回は、暗黙知と形式知の四つの相互変換について、お話をしました。
これを、「開発」という行為に当てはめると、何をすることになるのか、考
えてみましょう。

開発のスタート段階では、顧客の真のニーズがどこにあるかを探るために、
顧客にヒアリングをすることはもちろん、できるだけ顧客の立場で物事を眺
めることができるように、一緒に職場に立って疑似体験をする、といったよ
うなことをします。

これは、暗黙知から暗黙知への変換プロセス、カラダで知を得るプロセス
ということができるでしょう。

また、ある段階まで仮説が確立されると、コンセプト設定の段階を迎えます。
これは、暗黙知から形式知のプロセス、想いやノウハウを言葉やカタチで表
すプロセスの一つであると言えるでしょう。

また、実際にデザイン部門や設計部門、さらには計数項目も加味したうえ
で、それらを統合して、一つの企画を完成させたとすると、これは形式知か
ら形式知のプロセス、さまざまな分野の形式知を組み合わせて、新しい
形式知を生み出したプロセス、といえるでしょう。

そして、これらをもとに、営業部門を巻き込んで、これらの企画を、実際に
顧客に持ち込み顧客からいろいろな評価を得て、その長所・短所を実感
する段階ができ、形式知から暗黙知へのプロセス、言葉やカタチを体得する
というプロセスと考えることができるでしょう。

このように、
顧客との一体感→コンセプト設定→企画統合→実践による検証
という開発プロセスはまさに四つの変換過程そのものと考えることができるの
です。

■ 3. 今月の本棚

<『やさしさの精神病理』 大平健著 岩波新書>

著者は、聖路加国際病院精神科に勤務している、精神医学の専門
家です。

「やさしさ」という概念は、この32年あまりで大きく変化した、というのが
この本の中心にある主張です。

従来の「やさしさ」は、相手が自分の気持ちを察してくれて、わがことの
ように受け容れてくれるときに感じられるものでした。また、自分がやさし
い気持ちになれるのも、相手の気持ちに近づいたとき、共感できた時だ
ったはずです。

ところが、この「やさしさ」の概念が大きく変化します。

まず1970年代の学園闘争のはなやかなりし頃から、自分も他人も傷
ついた、その「互いの傷を舐め合うようなやさしさ」が求められ始めました。

さらに、小学校では、鉛筆を削るのに刃物を用いてはならない、といった
ような状況が起こり、傷つけてならないのはモノやカラダのみならず、ココロ
にも及び始めました。

医学的に表現すれば、「傷ついた傷を治療するやさしさ」から、「お互い
に傷つかないように予防するやさしさ」へ、「治癒」から「予防」へと変化し
たのです。

このことにより、人間関係も変化します。

お互いの共感の結果として受け容れられてきたはずの「涙」は、新しい
時代においては、相手を動揺させ、哀しみを伝染させてしまうものと
して「お断り」の対象となっています。

その他さまざまな変化が日常のケースを通して語られていますが、新しい
「傷つけないやさしさ」を持つ人々の次の二つの共通特徴は、たいへん
おもしろい・・・。

一つは、「決断」することができないこと。
決断が失敗に終わったとき、他人も自分も傷つくのを恐れる(予防する)
のです。

二つ目は、「いちおう」「とりあえず」を連発すること。
失敗して傷つくことからの逃げ道をあらかじめ用意しておく、本能的なセリ
フです。

このあたらしい「やさしさ」が蔓延した社会であるとすると、「失敗を恐れず
チャレンジを・・・」といった掛け声が威力を発揮できるのかどうか、考えさ
せられる1冊です。

■ 4. おしらせ

山崎修一オープンセミナーのお知らせ
  
   
  日時:7月20日(木) 10:00~16:45
  テーマ:『新規事業の立案と立ち上げ方』  
  お問い合せ:SMBCコンサルティング 06-6222-9586  

  日時:8月8日(火)  10:00~16:45 
  テーマ:『事業承継のための自社株対策』
  お問い合せ:SMBCコンサルティング 06-6222-9586  

   
いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載しております。
途中購読の方で興味のある方は弊社ホームページをご覧下さい。
http://www.nksy.co.jp

次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. おしらせ

【web】 https://www.nksy.co.jp
【mail】 mail@nksy.co.jp

☆弊社お客様並びに名刺を頂いた方にもお送りさせて頂いております。
突然の配信をお許しください。
☆展示会等のご案内を掲載させて頂きます、ご一報下さい。
☆メールマガジンの登録・解除は自由です。配信の解除・送信先メールアドレスの変更はお手数ですが、
mail@nksy.co.jp
にご連絡ください。
☆無断転送はご遠慮願います。

いーかわらばん
著者・論文