いーかわらばん vol.226
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2006/05/25
- vol.226
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<遺言信託>
「遺言信託」という言葉を新聞や雑誌でよく見るようになりました。
「なんとなく分かるけれど、どんなもので、どれくらい費用がかかるの
ですか?」とよくご質問を受けますので、概要をご説明しましょう。
遺言信託とは、まず遺言を書くときに、法人である信託銀行に
相談をするところから始まります。
そして、遺言執行者としてその信託銀行を指定をすることにより、
実際に相続が発生した後、遺言に書かれているとおりに財産の
分割に関する手続きなどを行ってもらう業務を委託すること、です。
流れを要約しますと、
事前相談 → 遺言書作成 → 遺言保管約定書提出 →
遺言書保管 → 相続発生 → 遺言執行者就職 →
財産目録作成 → 遺言執行 → 遺言執行完了
ということになります。
遺言信託の費用としては、通常次の三つのものが必要です。
① 遺言作成、保管時手数料
② 保管手数料
③ 遺言執行完了時の手数料
これらの金額は金融機関によって異なりますが、
①は、おおよそ5万円~30万円程度
②は、年間5,000円~1万円程度
③は、執行対象財産の1%~2%程度
が相場のようです。
もちろん、信託銀行にできるのは、財産に関することだけですので、
たとえば子供の認知など身分に関する遺言執行や、相続税の申
告業務などは行うことはできません。
平成9年には15,000件だった遺言信託は、16年には40,000件近く
にまで増えてきました。「遺言」というものについて、改めて研究を
していただくことをお勧めします。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<その「行動」は、その場所、その時以外にないだろうか?>
前回と前々回で、「時間空間移動発想術」について、ご説明をしま
した。
前回もお話したとおり、マーケティング手法に置き換えると、空間移動
は顧客セグメントのポジション移動、時間移動はライフスタイルの焦点
移動ととらえることが可能です。
今回は、この発想術の締めくくりとして、この発想をより豊かにするため
に、常に意識する視点について、述べておきましょう。
時間、空間の発想を豊かにするためには、
対象となる人の「行動」に注目して、
この行動が、この場所、この時以外で
行われる可能性はないか?!
と自問自答する「習慣」を身につけることです。
この視点は、BtoB、BtoCを問わず、重要です。
たとえば、
・「シャンプーをする」のは、この場所で、この時だけか?
・「コーヒーを飲む」のは、この場所で、この時だけか?
・「グリコのお菓子を食べる」のは、この場所で、この時だけか?
という疑問を常に持つことにより、朝シャン、ワンダモーニングショット、ある
いはオフィスグリコに繋がるわけです。
もちろん、その場所、その時の状況に合致した新たな「価値」を創出さな
ければならないことは言うまでもありません。
したがって、先ほどのマーケットセグメンテーション、ライフスタイルマーチャン
ダイジングと呼ばれる手法も、表面的に分類をするのではだめでしょう。
たとえば、単なる性別、所得別、居住地域別といった従来のセグメント
基準だけでは限界です。
その奥底にある、顧客の、ひとつひとつの「行動」に焦点を当て、そこから
発想を広げていく習慣をぜひとも身につけていただきたいと思います。
■ 3. 事業承継の真視点
<株式売渡し請求は、相続時点の乗っ取りにも繋がる?>
先月の「事業承継の真視点(vol.222)」では、株式譲渡制限株式
は、定款に定めることにより、株主の相続等の発生後、株主総会の
決議によって、株式の売渡しを請求することができる、とお話しました。
そしてこのことによって、相続を経て、望ましくない人間に株式がわたる
ことを防止することができる、という点で朗報であることもご説明しました。
ただし、場合によっては、とんでもない乗っ取り劇に繋がる可能性もあり
ますので注意が必要です。
今、会長であるオーナーの長男が社長で、オーナー家以外の取締役が
3名いるとしましょう。会長であるオーナーが死亡して、その株式は当然
長男である社長に相続されたとします。
ここで、オーナー家以外の取締役がオーナー家に謀反を起こしたと想定
しましょう。取締役会が、社長である長男に対して、売渡し請求をす
る旨の議案を株主総会に提出する旨の決議を行ったのです。まさに
「想定外」のできごとです。
取締役会は持株数に応じた議決権があるわけではなく、人数で賛否
が決まりますから、3人のオーナー家以外の取締役に、社長1人が反対
してもダメです(会社法369条第1項、あるいは同条第2項の「特別利
害関係」に該当してしまうかもしれません)。
さて、取締役会で決議されたこの売渡し請求は、最終的に株主総会
の決議が必要です。しかし、会社法第175条第2項では、売渡し請求
をされた相続人は株主総会で議決権を持つことができません。
したがって、議決権が全て相続人で占められているような特殊なケースを
除いて、オーナー家以外の株主の賛成が多ければ、この長男は株式を手
放さざるをえないのです。
社長である長男がまさに「望ましくない人間」になってしまったという悲劇で
すが、これが、あっという間の乗っ取りにつながることは否定できません。
自分たちに都合のいい面だけを見ていると、こういった落とし穴に気づきま
せん。したがって、置かれている状況やリスクの全貌を深く検討した上で、
この規定を定款に織り込むか否かを決定する必要があります。
■ 4. おしらせ
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