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いーかわらばん vol.221

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2006/04/13
  • vol.221

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

格差社会はホント?、ウソ? 大前研一氏&鈴木敏文氏

■ 2. 山崎発、経営を考える

「術」の繰り返しが発想脳を鍛える

■ 3. 今月の本棚

『99.9%は仮説』 竹内薫 光文社新書

■ 1. 時の話題

<格差社会はホント?、ウソ? 大前研一氏&鈴木敏文氏>

このところ、経済においても、政治においても、「所得格差」を
巡る議論が頻繁に取り上げられます。

もちろん、これをいかにとらえるかは、政府の政策はもちろん、
企業においても、品揃え、価格戦略等、経営に直接に関係す
ることですので、無視して通るわけにはいきません。

そこで少々長くなりますが、「所得格差」に関する見方を大きく
二つに分けて整理してみたいと思います。

まず第一の見方は、所得格差は広がりつつあり、従来の中流
は崩壊している、というものです。

この『いーかわらばん』の昨年12月14日号(vol.206)でもご紹介
した、慶應義塾大学教授、金子勝氏による『下流社会』はこの
第一の見方の代表的なものです。

また、今年の1月に刊行された大前研一氏の著書『ローアーミドル
の衝撃』(講談社)という本もまた、その点を主張しています。

大前氏の主張を要約すれば、

・1990年代以降、「所得階層の二極化」によって、「総中流階級の
 崩壊」が起こっている。すなわち、日本の所得階層の分布はM
 字型を描く「M字型社会」に移行している
・したがって、企業が業績を伸ばすためには、最大マーケットであ
 るローアーミドルクラス(中流の下層・・・金子氏の「下流」の概念
 とかなり重なると思われます)をいかに取り込むかがポイントで
 ある。
・アメリカで、71年の小売業10社のうち8社をGMS(総合スーパー)
 が占め、百貨店も1社がランクインしていたのに、03年には、ウォ
 ルマートがトップに立ち、GMSはシアーズ1社のみ、それもKマー
 トに買収されたことは、ミドルクラスからローアーミドルへのシフト
 現象を物語る

というものです。

一方、第二の見方は、格差はそれほど広がっていない、したがって、
格差が広がったことによって、マーケットも二極化が進むというのは、
間違いだ、という考え方です。

その代表的な意見がセブンイレブン、ヨーカ堂、そごう、西武百貨店
の総帥、鈴木敏文氏です。

鈴木氏は、2006年4月3日号のプレジデント、

『「下流社会」「格差社会」は本当のようなウソである!
 2600万人のデータから掴んだ顧客心理』

という記事の中で、グループの一日の来客数2600万人を見る限り、
日本はアメリカのような真の格差社会ではない、としたうえで、「所得
格差によってマーケットも二極化が進むのか?」という質問に対して、
次のように答えています。

 同様にそれも考えられません。たとえば、カップ麺もコンビニなど
 でよく売れる1個300円前後の高価格商品と、スーパーなどで目玉
 商品にされる100円前後の商品を揃え、ターゲットの所得に応じて
 二極に分けたマーケティング戦略をとれと、評論家やコンサルタント
 たちは言いますが、実態を知らない論語読みの論語知らずです。

 今は一人の顧客が専門店、百貨店、スーパー、コンビニと使い分
 けている。高級輸入家具専門店で購入した後で100円ショップに寄
 る。先進国の中でも日本だけに見られる現象です。

 欧米からモデルを導入しても対応できません。「エブリデイ・ロープ
 ライス(毎日安売り)」で販売する米ウォルマートのような本当のデ
 ィスカウントストアは、格差社会のアメリカでは成り立っても、日本
 では伸びません

さて、格差の広がりは、ほんとうなのか、あるいは、ほんとうのような
ウソなのか、皆さんの見解はいかがでしょうか。そして、それは戦略
上どのように反映していくのでしょうか。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<「術」の繰り返しが発想脳を鍛える>

前回は、私がお昼に食事をした「ファミリーレストラン」をキーにして、
「逆転の発想術」とでもいうべきものを考えてみました。

つい先日、お客様の研修で、同じ「ファミリーレストラン」に「逆転の発
想術」を使って、20人あまりの受講生の方々からアイデアを求めたと
ころ、5分間で、出るわ、出るわ、20個近い案が生まれました。

では、この「逆転の発想術」では、実際には頭の中でどのように「こと」
が運んでいるのでしょうか?

まず最初に、ある一つの事象、この場合には、「ファミリーレストラン」
をキーとして、キーを構成する常識的要素(属性)をまずピックアップ
しているはずです。

たとえば、
・メニューがある
・ウェイトレスがいる
・家族で行くことが多い
・駐車場がある
・明るく、清潔感がある
・注文してから料理を作る

次に、その属性とは逆か、あるいはまったく逆ではなくても、その一部を
否定するような要素を複数ピックアップします。

ここで、「複数」というのは、実際には結構重要です。たとえば、「ウェイト
レスがいる」という常識的属性に対して、さらに中身を考えてみる必要が
あることを示しているからです。

たとえば、「ウェイトレスがいる」という常識的な属性も
① 人間である
② 注文を取りに来る
③ 料理を運んでくれる
④ 一人のウェイトレスを顧客が共有している
というように、いろいろな視点からとらえることができるのです。

そして、最後に、その逆転させた属性、から、アイデアを生み出してみ
ます。

たとえば、同じ「ウェイトレスがいない」という逆転アイデアでも、
①からは、ロボットウェイトレス
②からは、自動販売機あるいはセルフスキャナー注文方式
③からは、セルフ引取り方式(ビュッフェスタイル、回転寿司スタイル、等)
④からは、ウェイトレス指名制
などが生まれてくるでしょう。

まとめますと、
・ 常識的属性のリストアップ
・ 一つにつき複数の逆属性のリストアップ
・ アイデアの拾い出し
といった、あたりまえの手順を頭の中では繰り返しているはずです。

しかし、これを大げさでも「逆転の発想術」として認識し、たとえば、朝の
通勤の電車の吊り下げ広告から、必ず毎朝一つ「逆転の発想術」を使う、
といったことを繰り返すなかで、発想を生み出す脳は活性化していくの
です。

■ 3. 今月の本棚

<『99.9%は仮説』 竹内薫 光文社新書>

副題は、『思い込みで判断しないための考え方』、帯には、「飛行機は
なぜ飛ぶのか?科学では説明できない!」と記されています。

著者は、ミステリー作家(ペンネームは湯川薫)でもある竹内氏で、科学
作家とも言われています。

最近、「仮説」と銘打った本が大変多く発刊されています。その一番大き
な理由は、従来の常識が変化し、当たり前のことをもう一度疑ってかかる
ことが必要になったからでしょう。この本のタイトルでもある、世界の99.9%
は仮説で成り立っている、したがって、それをもう一度確認してみる、作業
が必要なのかもしれません。

この仮説と、遠くて近い話ですが、最近私は、人の成長は、つくづく「幽体
離脱」のポジションだ、と思うようになりました。

自分や、自分の会社や、その周辺を幽体離脱してどこから観ているか、こ
れが重要な一つのレベルである、と感じるのです。

富士山の五合目から観ていれば東しか見えない、8合目からでも東しか見
えないが、かなり広く見渡せる、頂上に立つと東西南北すべてが見える、し
かし、世界は見えない、もっと高い山ならもっと広く見渡せる、宇宙衛星に
乗れば多分地球全体が見える・・・。

大事なことは、幽体離脱した自分のポジションを自分で認識できているか
どうかです。なぜなら仮説そのもののレベルが、そのポジションで決まって
しまうからで、自分の考えがどのポジションに立った仮説からスタートして
いるか、を認識する、あるいは感じ取ることは、大変重要だと思うのです。

これこそが『国家の品格』(新潮新書)にも記されていた「論理の限界」、
であり、また美の存在、跪く心、精神性を尊ぶ風土などと通じるもので
しょう。

とりとめのない話になりましたが、文句なしに面白く頭をやわらかくする
本ですので、ご一読ください。

■ 4. おしらせ

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  日時:8月8日(火)  10:00~16:45 
  テーマ:『事業承継のための自社株対策』
  お問い合せ:SMBCコンサルティング 06-6222-9586  

   
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次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. おしらせ

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