いーかわらばん vol.206
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2005/12/14
- vol.206
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<日本は『下流社会』に向かっている?>
『下流社会』という本が、静かなブームを呼んでいます。
慶應義塾大学の経済学部教授である金子勝氏の著書で、
光文社新書から発売されています。「下流社会」という
言葉も金子教授の命名です。
これは、食うや食わずの下層社会のことではなく、物質的
には足りているが、上昇意欲に乏しい「中の下」的な低所
得者層を指しているようです。
冒頭に、「下流度」チェックがあって、半分以上当てはまると
下流だそうです。
1.年収が年齢の10倍未満だ
2.その日、その日を気楽にいきたいと思う
3.自分らしく生きるのがよいと思う
4.好きなことだけして生きたい
5.面倒くさがり、だらしない、出不精
6.一人でいるのが好きだ
7.地味で目立たない性格だ
8.ファッションは自分流である
9.食べることが面倒くさいと思うことがある
10.お菓子やファーストフードをよく食べる
11.一日中家でテレビゲームやインターネットをして過ごすこ
とがよくある
12.未婚である(男性で33歳以上、女性で30歳以上の方)
「1億総中流」と言われてから40年近くがたとうとしている中で、
中流は、少しの上流と多くの下流へと二極化し、全体では
中流社会から下流社会に向かっているようです。
したがって、「中流」をターゲットにしたのでは、ポイントがずれて、
きわめて中途半端な商品やサービスしか生まれないことになり
ます。
だからといって、下流社会向けのものでは、実は売上も利益も
簡単にはあがりません。人数の増加と市場の増加とは必ずしも
イコールではないからです。
それは、カローラを買う人が数人増えても、レクサスを買う人が
一人増えるだけの市場に満たないことを考えれば一目瞭然でし
ょう。
これからの日本はほんとうに下流社会になるのでしょうか。また
皆様方の商品やサービスは、いかなる根拠で、何をターゲット
にしているのでしょうか。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<顧客市場から見たブランド価値>
今回は、顧客市場から見たブランド価値について考えてみまし
ょう。
顧客価値から見たブランド価値については、
①ブランドイメージ
②ブランドに対する忠誠心
③ブランドに対する態度の予測
などの視点からさまざまなブランド価値の研究が行われています。
主に、企業側の価値としては、
・価格や利益の改善に寄与する
・ブランドの拡張につながる
・流通への影響度が増加する
・競争上の優位性を保つことができる
といった点が指摘され、一方、顧客側からは、
・安心感が得られる
・確信性が得られる
・満足感が得られる
などをあげることができます。
ただ、いずれにしても、顧客価値から見たブランド価値は、事実上、
金銭的価値を測定する、ということについては、放棄しているという
か、関心を示さない見方になっています。
したがって、この視点はきわめて重要ではあるのですが、金額で
デジタル的に考えるのではなく、言葉やその他の伝達手段を用い
てアナログ的に整理するしか方法がないのが現状です。
次回は、いままで数ヶ月にわたって述べてきた「目に見えない資本」
の総まとめと、それらを踏まえた新たなテーマについてお話をしたい
と思います。
■ 3. 今月の本棚
<『ブランドのDNA』 片平秀貴/森攝 共著>
片平教授はブランド研究の第一人者、森氏は経済ジャーナリストで
この両者の筆になるこの本は、理論と実際の両方がよく理解できる
面白い本だと思います。
ちょうど、「山崎発 経営を考える」でここ数回ブランド価値をテーマ
にしていましたので、それを補う意味でも、今月はこの本をあげてみ
ました。
副題が「ブランド戦略、9つのウソとホント」と示されていますように、
1章から順に、ウソとホントについての解説が始まります。
たとえば、
・×→優れた商品、サービスこそが強いブランドの必須条件だ
○→商品・サービスだけでなく、卓越したストーリーが必要だ
・×→大量のマス広告がないとブランドはできない
○→マス広告を打っても顧客の感動は得られない
・×→カリスマ経営者がブランドを作る
○→ブランド企業には意外に地味な経営者が多い 等々
また、強いブランドが持つ「3つのDNA」として、
① 「自分たちは、誰をどう嬉しくさせるために仕事をしている
のか」
② 「顧客が喜んでくれるならば、ためらわずに行動に移る」
③ 「顧客の喜びこそが自分の喜びである」
といった考え方や仕組みこそが、強いブランドに共通するものである、
という指摘には、共感を覚えます。
ぜひ、自社に当てはめて、ご一読ください。
■ 4. おしらせ
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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