いーかわらばん vol.173
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2005/04/13
- vol.173
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<イオン、ヨーカ堂 営業減益>
4月8日の新聞は、流通業界の二強といわれるイオンとヨーカ堂の単体の
営業利益がいずれも大幅に減少したことを報じました。イオンが27%、
ヨーカ堂にいたっては64%の減益でした。
さまざまな理由と今後の施策が記されていましたが、前回の「今月の本
棚」でとりあげた鈴木敏文氏の『本当のようなウソを見抜く』という著書の
中身を再度考えてみる必要があると思います。
この本は、躍進するセブンイレブンとの比較において、ヨーカ堂のふがいな
さに対する怒りをぶつけた本ではないのか、と邪推する人もいるくらい、今
の流通業の考え方に対する問題点を暴き出しています。
たとえば、
「安くしなければ売れない」は売り手の勝手な決めつけ!
安売りは「ものまね」にすぎない!
ものまねをする経営としない経営、しない経営のほうが楽だ!
競争は同業他社とするのではなく、変化する顧客ニーズだ!
等々
鈴木氏が言っていること自体は、20年間変わっていません。
一方、さまざまな原材料の値上げのなかで、それを価格に転嫁できない
今の状況が厳しいことも事実です。
しかし、価格に転嫁できない理由を、単に力関係等で論じたり、あるい
は、価格転嫁の要請を原材料の値上げに求めるのではなく、顧客にとっ
ての価値を高めているか否かを視点において、再度価格の中身を検討
していただきたい、と思います。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<「強さ」は、「大きさ」か、「深さ」か>
事業開発をテーマに、川上川下逆転現象に始まり、ターゲット顧客への
フォーカス、便益生態系、胴元ミドルマン、箒状の生産体制とお話をすす
めてきました。
次回からは、こういった考え方の背景にあるもうひとつ大きな概念につい
て整理していきたいと思います。
すなわち、成長経済から成熟経済が定着した今、川上川下逆転が色濃
く現れている中で、上記のような顧客のフォーカス、便益生態系の確立、
胴元ミドルマンの位置取り、箒状の生産体制の構築等をしなければなら
ない究極的に目指すところはどこにあるか、という点です。
それは、企業の強さの源泉が「大きさ」から「深さ」に変わったというところ
にある、といって過言ではないでしょう。
私は、『時代を拓く企業革命』において、
組織は、強く「する」ものであって、大きく「する」ものではない。大きくは
「なる」ものである。 (第5章 第2節「強い組織をめざして」)
と書きました。
一方、この『山崎発、経営を考える』においては、成長経済すなわち「おこぼ
れちょうだい経済」から、成熟経済すなわち「ご指名経済」へのしくみの転換
の重要性を強調しました。
そこではナンバーワンになることの必要性をお話したわけですが、この二つ
の視点を統合しますと、次のような「たとえ」になるのでしょうか。
今までは、湖でナンバーワンといえば、琵琶湖だった。
しかし、よく考えればそれは「大きさ」「広さ」のナンバーワンに過ぎない。
これからのナンバーワンは、「深く、どれだけ見透せるか」である。
すなわち、「深さ」「透明度」等々が、強さの基準になる・・・
次回以降、これらの中身について考えをすすめましょう。
■ 3. 今月の本棚
<『ヘタな人生論より葉隠』 本田有明著 河出書房新社>
「葉隠」という文字を見て、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
三島由紀夫のベストセラー『葉隠入門』を思い出すでしょうか。
武士道の根幹、「武士道といふは死ぬ事と見付けたり」なる言葉が浮かぶで
しょうか。
あるいは、大阪のグルメ通の方なら、うどんのお店を思い起こすかもしれま
せん。
『葉隠』は、正式には、『葉隠聞書』(はがくれききがき)といわれるように、元
佐賀藩の武士、山本常朝が語ったものを、その後輩の田代陣基がまとめた
口述書で、別名『鍋島論語』ともいわれています。
著者はもと日本能率協会のコンサルタントですが、まえがきでは、三島由紀
夫の「あらゆる要請にこたえる書」という評を引用して、人生のさまざまな局面
で道標となる本である、としています。
1章 誓いを立てる
2章 「今」を生きる
3章 気を高める
4章 心を通わす
5章 人を育てる
6章 作法を尊ぶ
の6章立てです。日本の800年をかたち作ってきた武士道の真髄を、現代に
生かす視点は、たいへんおもしろい・・・。ぜひご一読ください。
■ 4. おしらせ
山崎修一オープンセミナーのお知らせ
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お問い合せ:UFJ総研 052-221-0865
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お問い合せ:神戸商工会議所 人材開発センター 078-303-5808
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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