いーかわらばん vol.168
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2005/03/09
- vol.168
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<貯蓄ができなくなった日本人?>
国民経済計算年報によれば、1980年度に17.0%あった貯蓄率は、1991年度
には15.0%、そして2003年度にはなんと7.7%になっています。
貯蓄額についてはどうでしょうか。1991年度の43兆6000億円に対し、2003年
度は23兆2000億円と、これまた、50%近く減少しています。
これにはいくつかの理由が考えられます。
一つ目の理由は、可処分所得の減少です。可処分所得とは、家計収入の総
額から税金などを差し引いたいわゆる「使えるお金」ですが、これがかなり低下傾
向にあることです。
「使えるお金」が減少すれば、消費を削らない限り貯蓄に回せるお金は減ってし
まうのは当然で、これが貯蓄率の低下を招くひとつの要因です。
二つ目の理由は、高齢化現象です。総務省の家計調査によると、世帯主が
60歳以上で決まった職業に従事していない世帯(「高齢無職世帯」)の全世帯
に占める割合は、1986年の8.1%から、2003年には22.2%へと3倍近く増えてい
ます。
そして、この高齢無職世帯の貯蓄率は、マイナス11.5%からマイナス26.0%へと
急降下しているのです。「2007年問題」とまで言われる団塊の世代の定年退職
時期以降、この傾向はますます強くなっていくでしょう。
では、この貯蓄率の低下は、どのような影響を及ぼすのでしょうか。
第一に、経済学には「貯蓄=投資」の事後等式がありますが、それをを持ち出
すまでもなく、貯蓄が少なくなれば銀行が貸し出しに回す資金が減少するわけ
ですから、設備投資総額は結果として減少することになります。
したがって、景気の回復は、より消費に依存せざるをえませんが、前述したように
可処分所得の低下がその邪魔をすることは明らかです。とすれば、良否は別とし
て、海外からの資金流入に頼る割合は大きくなります。
第二に、国債、地方債といった公債の受け皿が枯渇することになります。銀行
引受けも限界、家計引き受けも問題、ということになれば、財政赤字の短期的
な帳尻合わせの方法もなくなっていきます。
こういった悪循環をいかにして断ち切るか、経済政策運営はますます難しくなっ
ていきそうです。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<共創のカスタム化>
前回は、箒状の生産体制にかかわる4種類のカスタム化についてご説明をしま
した。今回は、その中の「共創のカスタム化」について考えてみましょう。
共創のカスタム化は、
(1) 商品・サービス自体を、その提供者が変える
(2) 商品・サービスの表現(外見)を変える
というパターンでした。
前回ご紹介したジェームズ・H・ギルモアと、B・ジョセフ・パインⅡ世は、
コラボラーティブ・カスタマイゼーション(共創のカスタム化)とは、それぞれの顧客
との対話を通して顧客のニーズを明らかにし、顧客のニーズに正確に合致する
商品を見定め、顧客に対してカスタマイズされた商品の提供を行うことである
と定義しています。
そして、具体的に事例として、メガネのパリーミキ社の「ミキシム・デザイン・システ
ム」を挙げています。
そのプロセスを要約すると、最初に顧客の顔をデジタル画像として取り込み、顔の
特徴を分析し、要望にあったサイズと形のレンズを選び、画像に重ね合わせて、
共同作業で納得のいくまで検討し、メガネのデザインを完成させていきます。
そして1時間とたたないうちに、店内でレンズが研磨され、顧客の望みのメガネが組
み立てられるという仕組みです。
このカスタム化は、メガネだけでなく、靴においても、あるいはさまざまな衣服につい
ても可能でしょう。あるいは、そういった身につけるもののみならず、たとえば、住宅
やエクステリアの世界でも現実に行われています。
共創のカスタム化は、箒状の生産体制のアウトプットの部分では、徹底した個客化
を実現すると同時に、その柄の部分においては、一定の用意されたシステムのもとで、
極限まで在庫を縮小することを可能にします。
言い換えれば、個客に生産過程に参加させることにより、「私の一品」を作り上げる
と同時に、企業としては、見込生産によるロスの確率を減らすことによる合理化を図
っているといえるのです。まさに、「顧客最適」と「企業最適」の同時達成です。
次回は、「順応のカスタム化」について検討してみましょう。
■ 3. 今月の本棚
<『本当のようなウソを見抜く』 勝見明著 プレジデント者>
金融規制緩和にともない、ヨーカドーグループのアイワイバンク、
三井住友銀行系のジャパンネット銀行、ソニー銀行、イーバンク
銀行の四つが設立されました。
その中で、金融庁から求められた「3年以内の黒字化」を達成し
たのは、アイワイバンクだけだったのです。
当初、「絶対失敗する」「万が一うまくいったら銀座を逆立ちして歩
く」とまで言われた冷ややかな予想を完全に覆してしまいました。
私自身、ヨーカドーグループに関して、目を通した書籍は、すでに
30冊を超えていると思います。
その他、日々の新聞や雑誌に掲載されている記事を含めると、ヨ
ーカドーグループに関して莫大な量の内容が巷にあふれているの
でしょうが、鈴木氏ほど、読んでいて中身が同じで、しかし読むたび
に「目から鱗」はほかにはありません。
この本で特筆すべきは、
第3章 セブンイレブンの強さを支える「対話力」の極意を学ぶ
です。
鈴木氏曰く、「部下とは上司に対し自己正当化を図る存在である」
だから、
真実37 上司が「仕方ない」と言ったら部下は絶対成長しない
真実38 「ものわかりのよい上司」を演じても業績には結びつかない
「相手の立場に立つこと」と「ものわかりのよいこと」とは根本的に違う
ことを身体で理解している上司は、本当に少ない・・・と思います。
普段陥りやすい勘違いをただす宝庫です。だからこそ、「本当のよう
なウソ」というタイトルなのでしょう。
■ 4. おしらせ
山崎修一オープンセミナーのお知らせ
日時:3月11日(金)10:00~16:45
テーマ:『失敗は許されない!新事業の立案と立ち上げ方』
お問い合せ:SMBCコンサルティング
詳しくは:http://www.smbc-sem.com/kansai/month/200503/sem0503_11.html
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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