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いーかわらばん vol.160

  • いーかわらばん
  • 株式会社アウトオフィス
  • 2005/01/12
  • vol.160

▼INDEX▼

■ 1. 時の話題

2007年問題への対処

■ 3. 今月の本棚

『イノベーションの本質』(野中郁次郎 勝見明著)

■ 1. 時の話題

<2007年問題への対処>

「○○年問題」というと、またコンピュータに何らかの不具合が生じる
のかな、と思われる人も多いかもしれません。

しかし、これは、コンピュータの話ではありません。2007年前後で、
かつての技術立国日本の生産現場を支えてきた、優秀な「匠のわざ」
をもった人たちが、定年を迎える現象を指すのです。

神武、岩戸、いざなぎの各景気を通じて、日本を経済大国に押し上げ
た原動力の重要な一つに、繊維、石油化学、鉄鋼、自動車、家電とい
った各分野における、ものづくり技術がありました。

そういったものづくり技術を持った「腕」は、大量生産を背景に、自動
化機械へと置き換えられていきました。しかし、ここへ来てまた、その
「腕」を無視することができない状況になってきたのです。

その最も大きな理由の一つは、最高レベルの多品種少量生産が要求
される時代になったことです。

三つの「高」、すなわち高機能、高品質、高付加価値が要求される結
果、より精密で安定した加工技術と、他社の追随を許さない独自性の
ある設計、組立、施工の技術が必要となるからです。

たとえば、松下電器の最近の復活の背景には、門真工場における
「技能道場」の存在があるといわれています。

ここでは、かつて生産の現場でその腕を競った「匠」技能者2人が指
導者となって、技能を見込まれた若手社員をさらに3年間、磨きをか
けます。目標は、技能五輪でのメダル獲得です。

大ヒットデジカメ、ルミックスの心臓部にあたる非球面レンズをはじめ、
世界市場で40%のシェアを誇るDVDレコーダーの読み書き用光ピッ
クアップの組付作業などは「匠のわざ」があればこそ実現できたもので
しょう。

さて、皆さんの会社において、そういった「匠のわざ」を持った人はいま
すか。そして、その伝承はそのような仕掛けでおこなわれているのでし
ょうか。貸借対照表には計上されない無形の重要財産を維持、強化す
るために、真剣に取り組むべき課題です。

■ 2. 山崎発、経営を考える

<胴元ミドルマン>

便益生態系の構築と相前後して考えなければならないのは、ネットワ
ークの重要性です。

従来のコアビジネスからすれば、ターゲット顧客の利便性を重視した生
態系の商品、サービスの範囲は広範に及びます。それらをどのように
提供していくべきでしょうか。

大きく三つのことが考えられます。

一つ目は、全部自社でやろう、という発想です。

これは、よほどの余裕がない限り、とんでもないことになります。多大の
投資と時間が必要になり、結果として大きなリスクを背負い込むことに
なります。

二つ目は、得意な部分、できそうな部分だけやって、あとはアウトソーシ
ングしよう、という発想です。

これは「選択と集中」という昨今はやりの視点からすれば、良さそうに感
じます。ところが、実際に私の指導経験からすれば、うまくいかないこと
が多いのです。なぜでしょうか。

得意なところ、できるところにのみ、金と時間とエネルギーが注ぎ込まれ
てしまい、結果として、便益生態系全体があるからこそ差別化できるはず
の利便性が疎かになってしまうのです。レベルの低いアウトソーサーに任
せっぱなし、などという状況も往々にして生まれます。

私の経験上、最もよい方法は、すべてをアウトソーサーに任せる発想か
らスタートするものです。「エッ!」と思われるかもしれません。でも、ここ
にはいくつかの条件があります。

第一の条件は、従来のビジネスをも一つのアウトソーサーと考えることで
す。たとえば、ニュービジネスが子会社としてスタートした場合、その親会
社も、一つのアウトソーサーととらえて妥協を許さないといった、もう一段
上位に立った視点が必要です。

アスクルも親会社であるプラスを一つのアウトソーサーと考えたからこそ
成功した典型例ということができるでしょう。

第二の条件は、アウトソーサーは、自分たちのビジネスの本質をしっかり
わかってくれているナンバーワン企業を選ぶべきです。これについては、
次回詳述します。

第三の条件は、あらゆる努力をしても最高レベルのアウトソーサーが見つ
からない領域があれば、それこそ自社で本気の取り組む価値がある、とい
う点です。その分野は、完全な空白地帯であることを意味するからです。

こういった三つの条件を満たす存在を私は「胴元ミドルマン」と呼んでいま
す。次回はさらにこの役割を掘り下げながら、バックヤードの充実について
お話をすすめます。

■ 3. 今月の本棚

<『イノベーションの本質』(野中郁次郎 勝見明著)>

前々回の「時の話題」では、ジュニアボードついて述べましたが、その中で
野中郁次郎氏が提唱している「ミドルアップダウン」について触れました。

この本は、その発想から生まれた13の製品をケーススタディ方式で解説
したものです。

帯には、
  立て、ミドル 傍観者になるな!
  思いが人と組織を動かす。
  命運を握っているのは、君たちだ!
というミドル層への熱いメッセージがあります。

13の製品は、
   ・サントリー 「DAKARA」
   ・ホンダ 「アコードワゴン」
   ・デンソー 「二次元レーザーレーダーシステム」
   ・キャノン 「IXY DIGITAL」
   ・スズキ  「チョイノリ」
   ・富士通 「プラズマディスプレイパネル」
   ・ヤマハ 「光るギター」
   ・黒川温泉観光旅館協同組合 「黒川温泉」
   ・日清食品 「具多 GooTa」
   ・松下電産 「遠心力乾いちゃう洗濯機」
   ・ミツカン 「におわなっとう」
   ・スタジオジプリ 「千と千尋の神隠し」
   ・海洋堂 「食玩」
です。

これらの開発から、私が特に興味を持ったキーワードは、
「技術のブラックボックス化」
「現在搾取の誘惑」
の二つです。そこには、いかなる意味が込められているのでしょうか。
ぜひご一読ください。

■ 4. おしらせ

山崎修一オープンセミナーのお知らせ
  
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 テーマ:『失敗しない事業承継 オーナー社長の打つべき手』
 お問い合せ:SMBCコンサルティング
 詳しくは:http://www.smbc-sem.com/kansai/month/200502/sem0502_01.html

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次回のテーマは以下の通りです。

  • 1. 時の話題
  • 2. 山崎発、経営を考える
  • 3. 事業承継の真視点
  • 4. 事業承継の真視点

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いーかわらばん
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