いーかわらばん vol.151
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2004/10/27
- vol.151
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<教育大改革と裁量幅の拡大>
2002年12月に発表された小・中学生の全国学力・学習意欲調査
は、皆さんの記憶に新しいところだと思います。
子供たちの学力が、国語を除いて大きく落ち込み、算数、数学は全
学年で低下しました。その年の4月に文科省が打ち出した新指導要
領、いわゆる「ゆとり教育」にも批判が集中しました。
教える内容を3割も減らすとはどういうことだ、「ゆとり」どころの話し
ではない、学力低下による国際競争力の低下をどうするんだ、という
声が今は勝っているようです。
一方で、今年4月からは、公立の小・中学校の教職員給与について、
総額裁量制が導入され、都道府県が教師の給与配分を自由に決め
られるようになりました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/009/04012201/003.pdf
この結果、たとえば能力の低い教師の給料を減らし、浮いた人件費
で、非常勤教師を増やし、少人数指導、補習授業、あるいはIT教育
等を充実させる、といったことが地方の裁量で可能となりました。
さらに、構造改革特区では、つぎのような特例メニューが用意されて
います。
・ 構造改革特別区域研究開発学校設置事業
・ IT等の活用による不登校児童生徒の学習機会拡大事業
・ 高等学校等における学校外学修の認定可能単位拡大事業
・ 株式会社、NPO法人による学校設置 等々
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kouhyou/041025/panfu.pdf
富国強兵をかかげる明治政府が学制を定め、初等教育を開始したの
が1872年。その14年後、1886年に義務教育がスタートしました。
それから120年近くが経過しようとしています。
裁量の領域が増えれば増えるほど、画一的な、義務教育、公立学校
などの意義が問われます。税金、財政との関連においても、それらを
真剣に議論しなければならない、時代の変換点に来ています。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<リーチとリッチの同時達成現象>
川上川下逆転をより効率的に実現可能にするものとして、今回は、
「リーチとリッチの同時達成現象」
についてお話をしましょう。
リーチとは届く範囲、すなわち「広さ」です。リッチとは、充実度、親密度
といったいわゆる「深さ」です。たとえば、トヨタという会社は、全世界に
展開している「リーチ」の会社です。一方、たとえば大阪トヨぺットという
会社は、大阪という地域に密着した「リッチ」の会社です。
ついこの間までは、この「リーチ」と「リッチ」は二者択一でした、広さを
取れば、深さがとれない、深さを取れば、広さがとれない・・・。
すなわち、トヨタは全世界に展開しているけど、大阪に住んでいる一個
人の情報は知らない、逆に大阪トヨペットは大阪に住んでいる一個人の
ことには詳しいけれど、全世界のことはわからない・・・。でも、よく考えれ
ばこのことが両者の共存共栄を可能にしていました。
ところが、まさにIT技術の向上と普及により、この二つの同時達成が可
能となりました。
ITを駆使することにより、全世界に展開している会社でも、一人一人の
細かなデータを蓄積でき、一方、ある地域でしか販売できなかった会社
でも、地球の裏側のオーストラリアや、ブラジルに、アプローチすることさ
え不可能ではなくなったのです。
このことはいかなる変化をもたらすでしょうか?
真っ先に言われるのが、「問屋無用論」「中抜き論」です。
しかし、これはとんでもない勘違いです。何の価値も生まないから無用
になるのであって、真ん中にいるから無用ではないのです。真ん中だろ
うが、端っこだろうが、価値を生まない企業は消えていくのです。
ではその価値とは何でしょうか。
今ここに5人の包丁職人がいるとします。また、いい包丁が欲しい主婦が
5人いるとします。この包丁職人と主婦がそれぞれに交渉するとすると、
5×5=25のアクセス数が必要になります。
しかし、ここで信頼できるミドルマン(仲買人、問屋)がいて、包丁職人や
主婦の情報を収集、提供してくれれば、みんなこのミドルマンにアクセス
すればいいわけで、アクセス数は 5+5=10で済むのです。
この効果は大きいものがあります。この浮いた利益のかなりの部分は、
ミドルマンに流れ込むことになるでしょう。これこそが価値です。もちろ
んこのミドルマンには、問屋だけでなく、誰がなってもかまいません。
そして、川上川下逆転の時代には、上の例では包丁を使う主婦の心の
中をより深く知ったものが有利になるという傾向が強い、ということなの
でしょう。
メーカーだから、小売だから、卸だから、どうこうではなく、エンドユーザー
にとって一番近い存在であることが、強さの秘訣であり、無用といわれな
いための第一歩です。
■ 3. 財務ホット情報
<平成16年『税制改正』-PARTⅢ>
前回は、ちょっとコーヒーブレイクをいれましたが、またまた、
改正のほうに戻りまして、今回は、事業承継に関する改正
を取り上げようと思います。
●自社株特例の拡充
特定事業用資産の相続税課税価格の計算の特例について、
軽減対象の上限が3億円から10億円に引き上げられました。
それにより、3,000万から最大1億円の課税価格の軽減を
受けることができます。
<摘要要件>
選択要件:小規模宅地特例と自社株特例が一定の範囲内
で併用可能
対象会社:発行済株式の総数が20億円未満(相続税評価
額)
持株割合:同族関係者の持株割合が50%超
相 続 人 :申告期限まで自社株を保有し、かつ役員として
経営に従事している
軽減税率:10%
●非上場の金庫株取得時のみなし配当課税の特例
相続財産に係る非上場株式を発行会社に譲渡した場合
みなし配当課税の特例規定が創設されました。
今までは、非上場株式を会社に譲渡した場合は、配当と
みなされ、総合課税されるため、最高50%(所得税・住民
税)の税負担が 課せられていました。今回の改正で、一
定の要件を満たす場合譲渡益課税として20%(所得税・
住民税)の税負担ですむ様になりました。
<摘要要件>
相 続 人 :相続等により財産を取得した個人で、その相続
等につき相続税が生じている。
譲渡期間:相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の
翌日以後3年を経過するまで
譲渡株式:相続税の課税価格に算入された非上場株式
次回は所得税に関する改正について、ご説明します。
■ 4. おしらせ
★臨時休業のお知らせ★
11月4日・5日は、社員旅行のため誠に勝手ながら
臨時休業させて頂きます。
よろしくお願い致します。
山崎修一オープンセミナーのお知らせ
日時:10月28日(木)13:30~16:30
場所:神戸商工会議所3階会議室
テーマ:『事業承継のための上手な自社株対策・節税対策』
お問い合せ:神戸商工会議所
詳しくは http://www.kobe-cci.or.jp/
日時:11月17日(水)13:00~18:00
場所:株式会社ジェイック セミナー室
テーマ:新規事業の発掘と立ち上げ方(仮題)
お問い合せ:株式会社ジェイック セミナー事業部
03-5282-7600
アウトオフィス及び財務のお客様へのお知らせです。
6月から、簡易監査を実施しています。
受取手形、売掛金の監査が終了したところから、買換金、支払手形等の監査
に入らせて頂きます。
ご協力お願い致します。
担当:財務指導部 山本雅文
いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載しております。
途中購読の方で興味のある方は弊社ホームページをご覧下さい。
http://www.nksy.co.jp
次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 今月の事務
- 4. おしらせ
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