いーかわらばん vol.134
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2004/06/16
- vol.134
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
<石油価格上昇の要因>
前回の「いーかわらばん」の「時の話題」では、『デフレとインフレの板挟
み』というタイトルで、中国需要の増加による素材価格の上昇と、中東
情勢による石油価格の上昇がインフレの主たる理由である、と書きまし
た。
何人かのお客様から、石油価格の上昇も中国需要の増加が理由では
ないか、というご指摘をいただきました。その通りですので、さらに整理し
て、説明を付け加えさせていただきます。
私は、1バレル40ドルという13年ぶりの高値には、大きく三つぐらいの
理由があると考えています。
一つは、皆さんのご指摘のとおり、中国需要の増大です。
あれだけの人口を抱える国で、年率10%前後の高度経済成長が、石油
消費量を押し上げるのは、当然といえば当然でしょう。自動車の台数も
急増し、あっという間に、日本を抜いて石油消費量世界第二位になって
しまいました。
中国も大慶油田を抱えていますが、その産出量はピークを越えています
し、一方で、東シナ海等の油田開発は遅々として進んでいません。
二つ目の理由は、前回触れたように、中東情勢です。
OPECの結束が従来に比べてかなり強く、七油種平均1バレル22~28
ドル程度という目標水準を維持すべく、増産を控える傾向が強くなって
います。
それに加えて、イラクの混乱、サウジアラビアでのテロ発生によって、供
給の不安定要因がつきまとっています。イラクの石油増産も、今のまま
ではとても進まないだろう、という状況です。
三つ目は、世界で、期待の大型油田の開発が遅れている、という要因
です。
サウジアラビアは増産余力は日産100万バレルが精一杯、北海油田や
メキシコはほぼ限界に達し、埋蔵量豊富なロシアは、パイプラインが不足
していて、採掘しても送れない、といった現況です。
世界の電子化は、良質な電気の供給により成り立っているわけですが、
特に我が国では、原子力発電が、安全性に対するアレルギーから思う
ように進まず、結局、まだまだかなりの部分を、火力に頼らざるを得ない
のが現状です。
一歩間違うと「オイルショック」になっても不思議ではない状況です。
再度、省エネの精神で、需要を抑える方策を強化する必要があると思い
ます。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<クレームとPOUとの関係>
前回は、使用価値が、主として、機能価値と情緒価値に分類できること、
そして、特に情緒価値が強くなればなるほど、商品の価格弾力性がなく
なること(価格が高くなっても需要が減ることはない!)を申し上げました。
ここで、少し横道にそれますが、クレームと使用価値の関係を簡単に整
理しておきましょう。
とりあえず、クレームを、人的クレームと物的クレームに分けて考えます。
人的クレームとは、接客の不満など人の対応のまずさに対するクレーム
です。
一方、物的クレームとは、商品の機能不全や異物混入等、「モノ」そのも
のに対するクレームです。
考えてみれば当然、しかし重要な、四つの点を、確認しておきましょう。
一つは、物的クレームは、目で見てすぐわかるケースを除いて、販売時
点で発生することは少ない、ということです。逆に言えば、ほとんどが使用
時点での発生です。
二つ目は、そういった使用時点でのクレームを、使用者が販売元、製造元
に伝えるケースは、かなり少ない、といった傾向があることです。むしろ、
二度と買わない、あるいは、不満を周辺にぶちまける、といった行動に出る
確率のほうが高いのです。
三つ目は、人的クレームは、うまく処理しないと、情緒価値を台無しにする、
ということです。
したがって、四つ目は、クレームが、その販売元、製造元にスムーズに届く
仕組みが勝負である、という点です。
次回はこの四つ目について、開発との関連で少し詳しく整理していきましょう。
■ 3. 事業承継の真視点
<無知は悲劇の大元!>
相続の分け前を巡り、さんざん一族で揉めたあげく、結局、自社株以外何も
取得できないかたちで社長に就任した長男には、その後、どんな運命が待
っていたのでしょうか。
まず、自社株にかかる高い相続税を払うために、自分の過去の預金をはた
いても足りない分、かなりの額の借金をしなければなりませんでした。
さらに、揉めに揉めた結果、専務や常務をしていた実弟、義弟は会社を離れ
独自に会社を興しました。そして、
「所有している株式の買い取りをして欲しい、もし買いとれない場合は、買い
たい人がいるので、その人に売る」
と言ってきたのです。
商法には、「株式譲渡自由の原則」といった精神が底流にあります。
もちろん、株式の譲渡制限を定款等に規定している場合は、取締役会の承
認がなければ譲渡できませんが、その場合でも、もしノーというなら、2週間
以内に買い取る人を指定しなければならないことになっています。
結局、長男は、今後のことを考え、自分が買い取ることにしました。ここで、
また、高額の借金をしなければならない「ハメ」になったのです。
さらに、長男は、会社の資金繰りを少しでもよくしようと、実弟、義弟の興した
会社に、従来の営業の一部を譲渡しました。
ところが、それが、会社法の規定する株主総会の特別決議を経ていなかった、
ということで、株式を持っている従業員から、徹底的に突き上げを食らうことに
なりました。
自社株対策の重要性に加えて、商法の企業防衛法としての知識を持つことの
必要性がこの事例からおわかりだと思います。
次回はこういった「会社相続の掟」を整理しながら、さらにその対策を深めて
いきましょう。
■ 4. おしらせ
<オープンセミナーのお知らせ>
日時:7月22日(木)14:00~16:30 場所:阪急グランドビル19F関西文化サロン
テーマ:『オーナー企業の会社の譲り方・引継ぎ方』
お問い合せ:ビジネスエージェンシー 高島 090-1021-0421
申し込み方法は当社ホームページ講演予定をご確認下さい。
http://www.nksy.co.jp
アウトオフィス及び財務のお客様へのお知らせです。
6月から10月にかけて、簡易監査を実施したいと思います。
6月15日以降、順次、ご訪問時に実施させて頂きますので
ご協力お願い致します。
6月は、現預金・借入金に関係する項目につき監査させて頂きます。
詳しくは、担当者からご連絡させて頂きますのでよろしくお願い致します。
担当:財務指導部 山本雅文
いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載しております。
途中購読の方で興味のある方は弊社ホームページをご覧下さい。
http://www.nksy.co.jp
次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 財務ホット情報
- 4. おしらせ
【web】 https://www.nksy.co.jp
【mail】 mail@nksy.co.jp
☆弊社お客様並びに名刺を頂いた方にもお送りさせて頂いております。
突然の配信をお許しください。
☆展示会等のご案内を掲載させて頂きます、ご一報下さい。
☆メールマガジンの登録・解除は自由です。配信の解除・送信先メールアドレスの変更はお手数ですが、
mail@nksy.co.jp
にご連絡ください。
☆無断転送はご遠慮願います。